栄養管理科コラム

「脂肪は脂質異常症や狭心症、
脳梗塞などを引き起こす危険な物!?」

栄養管理科 須山 直美

2021/6掲載

脂肪酸について

3大栄養素の一つ「脂質」は、大きく2つの脂肪酸<飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸>で構成されています。今回はこの脂肪酸についてご説明します。

  • 脂肪酸について
  • 脂肪酸は、人間のからだの細胞を作るために必要な栄養素です。エネルギー源としても使われるので食品を通してバランスよくとる必要があります。

    ただし総エネルギー量に対して脂質の割合が多くなるほど、脂質異常症や肥満を誘発し、動脈硬化性疾患(狭心症などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管障害)を引き起こすリスクが高くなります。

飽和脂肪酸

一般的に形状は固形で、乳製品や肉類の脂身の多い部位やレバーなどの臓物類、卵黄などの動物性脂肪、ココナッツやピーナッツなどのナッツ系に多く含まれています。

働き:エネルギー源、細胞やホルモンなどを構成、皮下脂肪として臓器や外部刺激からの保護、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収促進をします。

不飽和脂肪酸

  • 不飽和脂肪酸
  • 形状は常温では液状、植物油に多く含まれています。
    オリーブオイル・コーン油・サラダ油・アボカド・魚などに多く含まれています。
    不飽和脂肪酸にも種類があり一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3や6系脂肪酸)です。

    働き:脳の働きを正常に保ち、血液中の中性脂肪を低下させ、それにより動脈硬化や高脂血症の予防します。

トランス脂肪酸

ここでもう一つご紹介するのが、一時期話題になりました<トランス脂肪酸>も実はこの不飽和脂肪酸の一つです。 トランス脂肪酸は、自然由来と工業由来の2種類があります。

  • トランス脂肪酸
  • 自然由来のものは、牛などの反芻(はんすう)動物の胃で微生物により生成され、乳製品・肉の中に含まれる脂肪酸の中にもトランス脂肪酸が存在します。
    工業由来のものは、例えば植物油を精製する工程で、不飽和脂肪酸の構造上トランス脂肪酸が生成されるため、サラダ油等、精製された植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれることがあります。

2003年に全世界的な観点からWHOは「食事からのトランス脂肪酸(水素添加油脂)摂取を非常に少なくし、総エネルギー摂取量の11%未満とすべき」と勧告基準を定めました。身近な食材のマーガリンやショートニングに多く含まれるので、摂取に注意が必要です。

  • トランス脂肪酸
  • 先述にもありますが、脂質に偏った食事は、動脈硬化性疾患など健康に影響を及ぼす可能性がありますので、バランスの良い食事を心がけましょう。

    当院では、脂質異常症・高血圧・肥満などについて栄養指導を行っております。ご希望の方は、主治医とご相談ください。

新百合ヶ丘総合病院のお食事

夏メニューのご紹介:当院では6月~8月に夏メニューをご提供しています。

新百合ヶ丘総合病院では毎月2回行事食を提供しています。旬の食材を使用したメニューや行事にちなんだ料理を提供し季節を楽しんでいただけるようなお食事作りを心がけています。

  • 夏メニュー
  • 6月9日昼食《メニュー》
    サラダうどん(レタスの上にのっているのは鶏ささみ)・ゴマダレ・なすの揚げびたし・アジサイゼリー

  • 夏メニュー
  • アジサイゼリーは病院内厨房で手作りしました。
    杏仁豆腐のゼリーを土台にグレープゼリー・サイダーゼリーをクラッシュしてのせた、梅雨時期ジメジメの気持ちをリフレッシュさせる、さわやかなゼリーです。

<参考図書:最新決定版食材事典 学研プラス、栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版、日本人の食事摂取基準2020年版、医歯薬出版 臨床栄養2019-7月号No.135> <参考HP:農林水産省食品安全委員会