2021年 5月号

「食物アレルギーについて」

栄養管理科 須山 直美

  • 食物アレルギーについて
  • みなさん、「食物アレルギー」という言葉を耳にしたことがあると思います。実際にはどういうことに気を付けなければいけないか、どういう症状があるのかご存知でしょうか?

    今回はこの「食物アレルギー」についてと、これから離乳食を始める方の参考にしていただければと思います。

食物アレルギーの定義

「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」とされています。

食物アレルギーの症状

  • 食物アレルギーについて
  • 食物は通常経口摂取されて消化管を通過することで症状が出現しますが、皮膚や気道粘膜に接触することもあり、それによる食物アレルギーも含まれます。

表1 食物アレルギーの症状

臓器 症状
皮膚 紅斑、蕁麻疹、血管性浮腫、掻痒、灼熱感、湿疹
粘膜 結膜充血・浮腫、掻痒感、流涙、眼瞼浮腫、鼻汁、鼻閉、くしゃみ、口腔・咽頭・口唇・舌の違和感・膨張
呼吸器 喉頭違和感・掻痒感・絞扼感、嗄声、嚥下困難、咳嗽、喘鳴、陥没呼吸、胸部圧迫感、呼吸困難、チアノーゼ
消化器 悪心、嘔吐、腹痛、下痢、血便
神経 頭痛、活気の低下、不穏、意識障害、失禁
循環器 血圧低下、頻脈、徐脈、不整脈、四肢冷感、蒼白(末梢循環不全)

食物アレルギー診療ガイドライン2016年HPより抜粋(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会作成)

食物アレルギーの原因食物

  • 食物アレルギーについて
  • おもな食物として鶏卵、乳製品、小麦、甲殻類、果物、そば、ナッツ類、ゴマ、大豆、魚類、魚卵、肉類などがあります。

このアレルギーを引き起こす原因のアレルゲンの本体はたんぱく質です。これは20種類のアミノ酸が1列に繋がった鎖でできています。アミノ酸は順番に繋がっており、この並び順や構造は無限の可能性があると言われています。ヒトは自分の体の中にない構造のたんぱく質を異物と認識し、免疫力を発揮してそれを除去しようとします。そのときに出来る免疫グロブリン(IgE抗体)がアレルゲンに反応するとアレルギー症状が引き起こされます。

しかし、IgE抗体が全てのアレルギー症状を引き起こす訳ではなく、抗体が陽性でも食べられる方もいます。

下記の表は新規発症の年齢別と食物アレルギーの多い食物となります。調査をした中で、0歳児は全体の約51%、次いで1歳児で約18%とこの2つだけで全体の約7割を占めています。乳児期の食物アレルギーはアトピー性皮膚炎に合併して見つかることが多いです。

食物アレルギー診療ガイドライン2016年

食物アレルギー診療ガイドライン2016年HPより抜粋(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会作成)

食物アレルギーで気を付ける事

先述にもありましたが、食物アレルギーの患者の割合は乳児~幼児に多くみられます。 この時期はちょうど離乳食をはじめている頃と重なります。乳幼時期の食事は、身体発育だけでなく正しい食習慣の発達など心身においても重要な意味を持ちます。離乳食は「食べる」ことの練習時期であるため、複数の食物を除去しなければならない場合でも、食べられる食物を利用して行きましょう。実際に除去が必要となった場合、栄養不足にならないためにも代用できる食品を知っておくことが必要になります。

例えば、鶏卵アレルギーの場合、鶏卵1個(50g)たんぱく質6.1gの代替えは、肉薄切り2枚(30~40g)、魚1/2切れ(30~40g)、豆腐(絹ごし)1/2丁(130g)に相当します。

  • 食物アレルギーについて
  • 食物除去は、食物アレルギーの症状誘発を回避するための第一選択です。食品を買うときアレルギー食品の表示はもちろん、原材料の確認を忘れずにしましょう。

離乳食を開始する時は、月齢に合わせた食物から始めましょう。不安なときは、かかりつけの医師へ相談しましょう。乳児期に始まった食物アレルギーは、小学校入学までには9割は耐性化すると言われています。

当院では、食物アレルギーに対しての栄養指導を行っております。ご希望の方は、主治医とご相談ください。

<参考図書:医歯薬出版株式会社 食物アレルギーの栄養指導・臨床栄養2018年6月号、日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌2009年7月号、食物アレルギー小児アレルギー学会・食物アレルギー診療ガイドライン2016年、日本食品成分表2020年版> <参考資料:食物アレルギー診療ガイドライン2016年HP