栄養管理科コラム
慢性腎臓病の食事療法
栄養管理科 腎臓病療養指導士 山室 美紗恵
2021/2掲載
当院の腎臓病食(たんぱく質制限食)
今回は慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)の食事療法を簡単に紹介します。
CKDとは腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。
年をとると腎機能は低下していきますから、高齢者になるほどCKDが多くなります。
CKD患者数は約1330万人と推定され、これは日本人の成人の8人に1人に相当すると言われています。またCKDは心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。
腎臓の状態により個々に食事療法の内容は異なりますが、基本的な4項目と、当院の食事を紹介します。
【塩分の制限】
塩分の摂りすぎは高血圧やむくみの原因となります。腎臓は血流量が多い臓器で、血管の壁も薄く圧がかかりやすくなっています。
血圧をコントロールし腎臓に負担をかけないために減塩します。
【たんぱく質の制限】
たんぱく質は体内でエネルギーとして燃やされた場合、水と炭酸ガス以外に窒素化合物などのたんぱく終末産物が生じます。腎臓が正常な場合は、それらは腎臓から排泄されるため問題ありませんが、腎機能が低下している場合、たんぱく質の摂りすぎは腎臓に負担をかけます。
【適切なエネルギーの確保】
エネルギーが不足すると低栄養状態になってしまいます。
たんぱく質を含まない、糖質や脂質を使いエネルギーを補給します。
【カリウム制限】
腎機能が低下しカリウムが体に溜まると、高カリウム血症になります。
高カリウム血症になり、重篤な場合心停止を起こすことがあります。
【ある日の新百合ヶ丘総合病院のお食事】
「一般食」と「たんぱく質コントロール食」のご紹介
■一般食1日 1800kcal・たんぱく質75g・塩分7.5g
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《メニュー》夕食
ご飯・白身魚フライ+ソース・グリーンサラダ+ドレッシング・こんにゃくのピリ辛炒め・バナナ
1日 1800kcal・たんぱく質40g・塩分6g未満・カリウム制限
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《メニュー》夕食
低たんぱくご飯・白身魚フライ+タルタルソース・茹グリーンサラダ+ドレッシング・こんにゃくのピリ辛炒め・高カロリーゼリー
【ポイント】
たんぱく質を控える為に、ご飯は低たんぱく質に処理された米を使用し、魚は1切にします。
エネルギー不足とならない様、タルタルソースや高カロリーゼリーで補います。