栄養管理科コラム
満腹でも食べられる『別腹』ってあるの?!
2018/12掲載
別腹って?
これ以上食べられないくらい満腹なのに、「食後のデザートは食べたい。別腹!」と言ってついつい食べてしまうことが多いですが、本当に「別腹」は存在するのでしょうか?
物理的に考えれば、満腹なので胃袋の容量はパンパンになっており、それ以上の食べものが入るスペースはないように考えられます。しかし、ここでポイントとなるのが、「満腹感」です。
食べたものの糖分が分解されて血液に取り込まれると血糖値が上昇し、大脳の中枢神経は胃の拡張や血糖値の上昇を感知すると、それを「満腹感」として認知され、それ以上食べられない様にします。しかし、食後のデザートを目の前にして「食べたい!」と感じると、大脳がそれに反応してオレキシンというホルモンを分泌します。食欲をコントロールする中枢神経に働きかけ、新たな食欲を生み出します。大脳から指令を受けた胃は、何とか食べ物の一部を小腸へ送り出し、新たに食べ物を受け入れるスペースを作るのです。
これが「別腹」ができる仕組みであり、決して初めから別腹が用意されているわけではないのです。
ダイエットへの活用(別腹の回避法)
- ①食事で満腹感を得られたら「お腹いっぱい!」と言い、満足感に浸る。
- ②目の前にさらに食べたいものを置かないようにする。
- ③「別腹」を予定している場合は、食事を適量・個別盛(大皿ではなく)・お替り追加なし。
- ④強い意志を持つ。
現実的には難しいかもしれませんが、一旦習慣化すれば無理なダイエットでストレスを溜めるよりもリバウンドをしにくくなります。
身体に役立つ知識:みかんの栄養
かんきつ類の原産地は主にインドから東南アジアで、中国渡来のものから偶然生まれたのが「温州(うんしゅう)みかん」という日本独自の品種といわれています。また、皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」といい漢方薬として用いられ、咳を鎮め、胃を丈夫に保ち消化不良などの胃の不快感を取り除く効能があります。私たちの身近なところでは「七味唐辛子」に使用されています。
みかんに含まれている「ビタミンC」は動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の原因になる過酸化脂質を抑制し、オレンジ色の色素である「カロテン、β-クリプトキサンチン」は紫外線の害から日焼けやしみを予防します。“袋”や“筋”に含まれる「ヘスペリジン」はビタミンCの吸収率を高め、毛細血管を強化してくれます。ついつい捨てがちの“袋”や“筋”も捨てずに食べるとよいです。
【新百合ヶ丘総合病院 ある日のお食事】