掲載日:2022年3月17日
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マグネシウム(化学式;Mg)は一般には無名な栄養素かもしれませんが、主要ミネラルとして大変重要な位置を占めています。
漢字で書くと「鎂」となります。中学校で習うように燃焼させるとまばゆい光を放つ意味と、人体を根本的に美しく保つために重要との意味が込められていると考えます。
マグネシウムとは
マグネシウムの約3分の2は骨に存在し、カルシウム(Ca)とともに骨を構成しています。
骨を丈夫にするほか多彩な機能を発揮するビタミンD(2019年2月号にて既述)の活性化を助ける働きも知られています。残り3分の1は筋肉細胞に存在し、300種類以上の酵素の働きを助け、筋肉収縮、エネルギー産生、体温調節、神経伝達、ホルモン分泌など様々な身体機能調整に関わります。
マグネシウム値は血液検査で測定可能ですが、血液中に存在するマグネシウム量は全体の1%以下と少なく、また一定濃度に調節されてしまうため過不足の判断にはあまり役立ちません。
現代におけるマグネシウム不足
現代人は概してマグネシウム不足の傾向にあります。昔も今も多い「脚が攣る」現象の多くはマグネシウム不足による筋肉の過収縮が原因と考えられています。
カルシウムと兄弟関係のミネラルであり本来等分に摂取した方がよいのですが、有名なカルシウムを一生懸命摂取する人はいても、マグネシウムを一生懸命摂取する人はあまり多くありません。これはマグネシウムの重要性を軽視してきた我が国の歴史的背景があり、その結果摂取量に偏りが生じてしまったためと考えられます。
元々日本人は様々な自然食材からマグネシウムを必要量摂取していました。玄米の糠もその一つです。しかし戦後の1960年代頃から精米技術が機械化・大規模化したため、玄米が食卓に上がる頻度が激減しました。
さらに1972年(昭和47年)塩田全廃が実施され、食卓の塩はマグネシウム豊富な天然塩から、工業的に生産された高純度塩化ナトリウムに置き換わってしまいました。それまで海水を天日干しした天然塩からマグネシウムを摂取出来ていたものが、一気に無くなったのです。
さらに現代的要因としてアルコール摂取量の増加や炎症性腸疾患の増加、さらには利尿剤や胃酸抑制剤の多用に伴うマグネシウム減少も指摘されています。こういったマグネシウム不足の背景に伴って日本人の体調がおかしくなり始めたとする見解があります。高血圧や糖尿病が激増し、花粉症やアトピー性皮膚炎といった現代的疾患の増加がそれに当たります。
マグネシウム摂取を増やすための食材
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マグネシウム摂取を増やすためには、時に玄米食や五穀米を食べるのもよいでしょう。いわゆる「まごわやさしい<豆・ゴマ・わかめ・野菜・魚・椎茸・イモ>」を重視し、食卓で使う塩は、ラベルにマグネシウム含有量が多めに記載されている天然塩を使いましょう。
またどこのスーパーでも購入できる「にがり液」も扱いやすい商品です。毎日口にする味噌汁やスープなどに数滴垂らして飲むようにしてください。さらにはエプソムソルトという入浴剤を、皮膚からマグネシウムを吸収させる方法も有効なやり方です。
日本内科学会雑誌vol.110,no.7,pp.1475-1479
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横田邦信「医師が教える!マグネシウムのすごい力」主婦の友社、2019