掲載日:2026年1月10日
くびの痛み(頚部痛)は様々な疾患によって起こります。
- 脳血管・末梢神経・筋肉の疾患:リウマチ性多発筋痛症、椎骨動脈解離など
- 脊椎・脊髄の疾患:頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚椎骨折、脊髄損傷など
- 肩関節の疾患:腱板断裂、腱板炎、肩関節周囲炎など
- 内科的疾患:心筋梗塞、胸部大動脈瘤、帯状疱疹、がんの転移など
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1~2週間程度で改善するくびの痛みであれば、肩凝りや筋肉痛などの延長で起こっていることが多く、おおむね心配する必要はありません。ストレッチやマッサージ等の対処で多くは問題ありません。また、長時間のデスクワークやスマートフォン操作をしないようにすること、猫背などの姿勢を取らないようにすることも大切です。
一方で交通事故や転倒・転落、スポーツなどによる怪我(外傷)をきっかけに生じた痛みは注意が必要です。激しい衝撃(外力)が加わっている場合、頚椎骨折や脊髄損傷などを起こしている可能性があります。特に高齢者の場合、軽度の転倒でもこれらの怪我を起こすことがあります。
耐えられないようなくびの痛みや、手・腕のしびれ、脱力などの症状が見られる場合には、脳神経外科医もしくは整形外科医の診察を受けましょう。CTやMRIなどの画像検査を受け、これらの疾患が隠れていないかどうかを確認してもらうことが大切です。
放置することで症状が進行する可能性があります
適切な治療(ネックカラーなどによる外固定)を行わなかった場合、症状が進行したり、骨折線が拡大したりするなど、場合によっては後遺症が残ることも起こりえます。
外傷後であったとしても、耐えられる程度のくびの痛み「単独」であれば、それほど慌てる必要はありません。受傷機転(前に倒れたか、後ろに倒れたか、首をねじるように倒れたかなど)によっても状況は異なりますが、多くは頚椎捻挫(いわゆる「むちうち症」あるいは「外傷性頚部症候群」)です。
多くは靭帯や椎間関節の損傷であり、MRIなどの画像には反映されません。したがって、外傷の受傷状況と自覚症状から頚椎捻挫と診断することになります。頚椎カラーの装着や鎮痛薬・筋弛緩薬、外用薬(いわゆる「湿布」です)等にて症状改善を図りますが、症状が長引くことも少なくありません。
当科(脊椎脊髄末梢神経外科)を受診される方の多くは、②(脊椎・脊髄の疾患:頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚椎骨折、脊髄損傷など)のうち、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症による神経痛によるくびや肩の痛み、上肢のしびれなどを訴えられます。頚部痛がない、あるいは軽度のこともありますが、外傷がなくとも起こりうるのがこれらの疾患です。これらの疾患の場合は、頚椎捻挫と異なり、通常の鎮痛薬や筋弛緩薬では症状改善が得られません。時には手術が必要となることもあります。脊椎・脊髄の専門医(脳神経外科ないしは整形外科医の中に専門家がいます)を受診するか、かかりつけ医に専門家を紹介していただくようにしましょう。
さいごに
中には③(肩関節の疾患:腱板断裂、腱板炎、肩関節周囲炎など)や④(内科的疾患:心筋梗塞、胸部大動脈瘤、帯状疱疹、がんの転移など)のような他の領域や内科疾患などが原因で起こっていることもあります。適切な検査の結果、これらの疾患が疑わしい場合はそれぞれの専門診療科の医師へ紹介をさせていただきます。
当院では、脳神経外科専門医を有し、かつ、日本脊髄外科学会認定技術認定医・技術指導医を有する専門家が頚椎に限らず、胸椎から腰椎、末梢神経まで多岐にわたって診療にあたっております。お困りの際にはお気軽にご相談ください。
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