ドクターコラム

花粉症について

2017/4掲載

花粉症について(症状)

  • 花粉症について
  • ’花粉症’とは身体に花粉が入ることによって起こるアレルギー疾患のことをいいます。アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎の症状が現れ、アレルギー反応は即時相反応と遅発相反応があります。

・即時相反応【そくじそうはんのう】

鼻に花粉が入るとくしゃみ・鼻水が出て、その後鼻づまりが起こります。
鼻の粘膜は風邪のように腫れるため、風邪の症状と間違うこともあります。
早い段階で目のかゆみ・充血・涙などの症状が現れます。
頭痛、微熱等の症状が現れる場合もあります。

・遅発相反応【ちはつそうはんのう】
鼻の粘膜が花粉に繰り返しさらされることによって、その後に家の中など花粉がない場所に移動しても鼻づまりが続きます。

花粉の種類

スギ

関西から九州にかけては1月頃から飛散し始め、2月中旬~3月中旬にはピークを迎えます。
東北では1月下旬頃から飛散するのでピークは3月いっぱいです。
関西から九州あたりは5月のゴールデンウィークあたりまで、東北は5月いっぱい飛散し続けます。

ヒノキ

関東では1月末から飛散しはじめ3月4月でピークを迎え、7月頃まで飛散します。中部から九州にかけては3~4月、東北では4月となっています。

カバノキ科(ハンノキ属)

関東エリアは3~4月、関西エリアでは3月がピークです。
北海道では3月中旬~5月初旬あたりに飛散します。

カバノキ科(シラカンバ属)

北海道から東北にかけて5月くらいに飛散します。

イネ科

5月と8月に二度のピークを迎えます。

・ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ

夏の終わりから秋にかけて、9~10月頃に飛散します。

検査について

花粉症の検査は大きく分けて、アレルギー反応による症状かどうか調べる検査とアレルギーの原因を特定する検査に分かれます。

問診・鼻鏡検査

問診では、症状、症状が発生する時期、 合併症、アレルギー既往歴、過去の治療歴から、年齢、職業、家族のアレルギー歴まで詳しく聞きます。
鼻鏡検査では、鼻鏡を使って鼻腔を視診します。アレルギー鼻炎であれば鼻腔は青白く腫れた状態で、花粉症であれば赤く腫れた状態になります。

血液検査

血中のIgEの総量を調べる検査と花粉に反応する特定のIgEを調べる検査があります。
アレルギー反応の有無だけではなく、反応の程度も6段階でわかるため、より効果的な薬の処方につながります。

副鼻腔X線検査、CT検査

アレルギー性鼻炎や花粉症では、約15〜20パーセントの割合でX線、CT撮影にて副鼻腔に異常がみられます。

血液・鼻汁好酸球検査


採取した鼻水を薬品を用いて彩色し、採取した鼻水や血液の中の好酸球の有無や量を調べます。

現在の治療法について

薬物療法

抗アレルギーの内服薬、局所ステロイドの点鼻薬などの治療があげられます。
内服薬の場合、眠気、喉の渇き、集中力の低下などの症状が現れる場合があります。

免疫療法

注射や舌下投与などで、アレルギー物質を少しずつ体内に入れて、免疫力を付ける方法です。
身体をアレルゲンに慣れさせて、体質を改善させるのを目的とします

レーザー治療

下鼻甲介粘膜という部位をレーザーで焼灼する治療法です。(レーザー下鼻甲介粘膜焼灼術)
アレルギー反応を抑制する効果が見られます。
症状が改善されない場合は、 後鼻神経切断術という手術を選択する方法もあります。

後鼻神経切断術について

後鼻神経切断術とは・・・

難治性の鼻炎症状を治療するための手術です。

  • 後鼻神経切断術とは・・・
  • 後鼻神経とは鼻の奥の蝶口蓋孔と呼ばれる骨の穴から鼻腔に入ってくる神経で自律神経と知覚神経を含んでおり、この神経は多くの鼻の症状に関与していると言われています。アレルギー性鼻炎や温度変化に反応する鼻過敏症などではこの神経が過敏に反応してくしゃみ、鼻汁の症状をひきおこすことは以前から知られており、この神経を人並みに鈍感にすることによって鼻の症状が改善される事もわかっていました。

内視鏡が普及する以前は、歯茎を切って副鼻腔の裏でこの神経を切断する手術が施行されておりましたが、身体の負担や合併症が大きい方法でした。 現在では内視鏡を用いることで、顔面や歯茎に傷をつけずに鼻腔から手術が可能となり、身体の負担が少なく劇的な効果が得られるようになりました。

後鼻神経切断術の効果

■鼻水、鼻づまりが改善された
■鼻炎薬を使うことがなくなった
■鼻づまりによって起きていた睡眠障害が改善され、良く眠れるようになった
■鼻水、鼻づまりが改善され集中力、判断力、記憶力がアップした
■においが分かるようになったので、食事が美味しく感じられるようになった

手術

手術は全身麻酔で行なわれ、症状の程度や個人差によって手術内容が異なるため、後鼻神経に加えて鼻中隔や下鼻甲介の手術、麻酔の導入覚醒を含めて、概ね2〜3時間程度の手術となります。当院での入院期間は平均1週間程度となっています。

手術後

暫くの間は出血が見られるので、止血のための処置等も行なわれます。
術後1ヶ月程度は飲酒や激しい運動、重い物を持つなどといったことは控えてください。