リハビリテーション科コラム

食事姿勢を見直そう!

リハビリテーション科 理学療法士 井出 綾芽

2023/10/13掲載

普段何気なく食事をしているかと思いますが、背中は丸まってないですか?

年齢を重ねると骨粗鬆症や、脊椎圧迫骨折による骨の変形、加齢による姿勢を支える筋肉(脊柱起立筋など)の低下等が起きやすく、猫背などの姿勢不良になりやすい状態となります。姿勢不良のなかでも特に円背(えんぱい)になる方が多い印象です。円背とは背骨が丸まった姿勢のことで一般的に「猫背」ともいい、円背になると顎が自然と上を向いてしまうため誤嚥のリスクが高くなってしまいます。

誤嚥とは・・・

食道に入るべき食べ物や水分、唾液などが気管に誤って入ることです。
誤嚥により、細菌が付着した食べ物や唾液が気管から肺に入り炎症を起こすことで誤嚥性肺炎になります。

頚部伸展‥・首が後方へいき、顎が上を向いた状態※頚部伸展‥・首が後方へいき、顎が上を向いた状態

誤嚥を防ぐ方法として様々ありますが、今回は姿勢について紹介していきたいと思います。

~誤嚥予防のための食事姿勢~

誤嚥を予防するために食事の姿勢を見直してみましょう!
一般的に良いとされる食事姿勢のポイントを紹介していきます。

  • 誤嚥予防のための食事姿勢を見直しましょう
    1. 顎を引く
      →「頚部前屈位」にすることが大切。「頚部前屈位」とは下顎と首の間(上の図の①)を3横指(指3本を横に並べて入る)程度がよいと言われている
    2. 股・膝・足関節が90度くらいになるようにする
    3. 足底全体が床につくようにする。椅子が高い場合は雑誌や台等を使用し調整する
      →足底を床につくようにすることで座っている姿勢が安定し、体に余分な力が入らずリラックスできる
    4. 腰が後ろに倒れすぎる場合は腰と背中の間にクッションを入れて軽い前傾姿勢をとり、重心が前にくるように保つ
  • 円背が強く姿勢の修正が難しい方は・・・
  • 円背が強く姿勢の修正が難しい方は・・・

    「①顎を引く」を意識しましょう!

    ~対策~

    1. 背もたれの高い椅子を使用
    2. 少し浅めに座り骨盤をやや後傾(背筋を伸ばさないで座ったときに骨盤が後ろに倒れる状態)し、体を後ろに倒すことで顔が前を向き顎が引けた姿勢となる

    ※椅子と背中の間にできる隙間はバスタオルやクッションなどを挟むことで安定した姿勢が得られます。

今回は食事姿勢について紹介させていただきました。分からないことがありましたら、気軽にリハビリのスタッフへお尋ねください。

【参考文献】
誤嚥を防ぐ ポジショニングと食事ケア