リハビリテーション科コラム

脳卒中における回復期リハビリテーションの役割について

リハビリテーション科 理学療法士

2023/5/26掲載

日常生活において医療とあまり関わりのない方であっても、脳卒中という単語を一度は耳にしたことがあるかと思います。今回は脳卒中を発症した際の回復期リハビリテーションにおける役割を紹介します。

リハビリテーションには大きく分けて5つの分野があります。

  • 医学的リハビリテーション
  • 職業リハビリテーション
  • 社会リハビリテーション
  • 教育リハビリテーション
  • リハビリテーション工学
  • リハビリテーション
  • その中でも病院や診療所などの医療機関で行うものを①医学的リハビリテーションといい、医師、看護師の他理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士の専門職がチームを組んで実施します。

脳卒中とリハビリテーション

脳卒中は日本において三大疾病の一つとされており、従来から注目されている疾患の一つです。主な初期症状として、顔面の歪み・片側の腕の麻痺・言葉の障害等がありその症状は様々です。また脳卒中が疑われた際は、これらの症状がいつ出たかを記録し伝えることも最善の治療へ繋がり、可能な限り早く病院へ行くことが予後へと大きく影響します。

症状の回復過程として、リハビリテーションは治療の一環として取り入れられており、実施する上で「急性期・回復期・生活期」の3段階に分けることができます。その中でも回復期は最も効果的に身体機能の回復や日常生活に必要な動作の改善が見込めると考えられており、集中的にリハビリテーションを行うことで、その後安定した日常生活を維持することにもつながります。

当院でもこの重要となる期間にリハビリテーションを実施し、障害された機能の回復や残された能力を最大限に高める事で身体的・精神的・社会的に自立した生活が送れるよう援助しています。

回復期から生活期へ

脳卒中と聞きその後遺症を想像する方は少なくないかと思います。実際に発症後何らかの後遺症が残る可能性は約70%以上と報告されており、その場合治療をした後の生活を共に考えていく事が必要です。その為回復期でのリハビリテーションを終えた後、生活期へと繋げる事でケアをしていける環境を整える事も重要な役割と言えます。

退院時にはその後の生活に向け介護保険サービスの利用などで地域の事業と相談し、その後の方針を決め患者様、ご家族様と協力しサポートをする事や、仕事復帰・社会復帰を目指す患者様に対して、その職業等に合った実践的な訓練を行う事、就労移行支援サービスといった福祉サービスを活用し、元の生活・新たな生活の道を共に模索し、その後の人生をより良くする援助を行うことが主な役割となっています。

【参考引用】
公益社団法人 日本脳卒中協会
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会