はじめに
今年の冬は厳しい寒さが続いています。冬は風邪やインフルエンザが流行します。これは『低温・乾燥を好むウイルスに都合がよい条件である』、『低気温で体温が下がり人の免疫力が低下』、『咳やくしゃみの飛沫が小さくなり感染範囲が広がる』ためといわれています。赤ちゃんもこの時期に感染症になりやすいことが多く、お薬を飲ませる機会が増えてきます。今回は赤ちゃんへのお薬の飲ませ方について説明します。
お薬の飲ませ方・使い方
初めて赤ちゃんにお薬を飲ませるとき、どのようにして飲ませたらいいのか戸惑うお母さんも多いようです。それでなくても赤ちゃんは病気で機嫌が悪く、慣れていないお薬の味を嫌がって飲んでくれないこともあります。飲ませるためのちょっとしたコツや工夫を知っておきましょう。
① シロップ(水薬)
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容器をゆっくり振って、中身を均一にさせて、1回量をきちんと量ります。スプーン、スポイト、哺乳瓶の乳首、小さなカップなどで飲ませ、その後に水やミルクを飲ませてください。
注意すること
- 使用したスポイトやカップは細菌が繁殖する可能性があるので、必ず使用後はよく洗い、乾燥させてください。
- シロップなどの水薬はカビや細菌が繁殖しやすいので冷蔵庫で保管してください。水で薄めている場合は長くても2週間たったら捨ててください。
② 粉薬
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粉薬に1~2滴の水を加えてペースト状に練ります。清潔な指ですくい取り、頬の内側や上あごに塗ったあとに、水やミルクを飲ませます。味覚が敏感な舌の上に薬を乗せてしまうと、薬を吐き出してしまうこともあるので、吐き出しづらく、飲み込んでくれやすい頬の内側や上あごに塗るようにするのがポイントです。
そのほか少量の水やぬるま湯に粉薬を溶かして、スポイトやスプーンなどで飲ませてもかまいません
(①参照)。
注意すること
- お薬を飲んだ後、口の中に薬が残らないように水やミルクなどを飲ませてください。
- 水に溶けにくい粉薬もあるので注意してください。
- 溶かしてしばらくすると苦みがでたりすることがあるため、お薬を飲む直前に溶かしてください。
- 熱湯は使用しないでください。温度が高すぎるとお薬が変化してしまうことがあります。
- ミルクに混ぜると、ミルクの味が変わり、ミルクを嫌うことがありますのでミルクには混ぜないでください。
② 大きくなって食べられるものが増えたら・・・
- 水の代わりにお茶・ジュース・スポーツ飲料などに溶かしてもかまいません。また、好みの食べ物(アイスクリーム、メープルシロップ、チョコレートクリーム、ゼリー、ジャム、ココア、きな粉など味や香りが強く、コクがある食べ物)に混ぜると飲みやすくなります。しかし薬によっては、ヨーグルト、オレンジジュース、リンゴジュース、スポーツ飲料など酸味のあるものに混ぜると苦みが強調されることがあります。薬剤師にどんな食べ物と合うか確認しておきましょう。
- 氷やアイスクリームなど冷たい物を食べておくと、一時的に味覚が鈍くなるため、お薬を服用しやすくなります。
③ 座薬
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使用量を指定された場合は、カッターやはさみでシートごとカットしてください。清潔な指でシートから取り出し、オムツを替える要領で赤ちゃんの足をあげ、とがった方を手で少しあたため、丸みをもたせてから、肛門にすばやく挿入します。挿入した後は、10秒ほど肛門をティッシュなどでおさえておきましょう。挿入の刺激で排便するかもしれないので、なるべく排便後の使用がいいです。
④ 点眼薬
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赤ちゃんをあおむけに寝かせ、お母さんの股で頭を固定します。目をつぶった状態で目頭付近に1滴点眼し、まばたきをさせるとお薬が入っていきます。あふれた薬液はふき取ってください。怖がって嫌がるときは寝ているときにさしてもかまいません。赤ちゃんが泣いているときは、目薬が涙で流れでてしまうので避けましょう。
⑤ 点耳薬
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薬が冷たいとめまいをすることもあるので、薬の容器をお母さんの手でしばらく握って人肌に温めます。頭を横にして薬を入れる側の耳を上にして、耳の穴の壁に沿うように薬を入れます。耳たぶを軽く回して薬をなじませたら、しばらくそのままの姿勢を保ちます。あふれた薬液はふき取ってください。
お薬は楽しい雰囲気で飲ませましょう
赤ちゃんは、ミルクを飲んだ後は満腹になってお薬を飲めなかったり、飲むのを嫌がったりします。お腹の空いている時やミルクを飲む前にお薬を飲ませる方が飲んでくれます。「毎食後内服」の薬でも、あまり食事の時間などは気にせず、1日3回の薬なら朝・午後・夜の適当な時間に飲ませてください。また、お母さんがお薬を飲ませることに一生懸命になってしまうと、赤ちゃんはその雰囲気を敏感に感じとり不安になりますので、お薬を飲むときは楽しい時間だという雰囲気を作るように心がけてください。そしてお薬を飲めたときはたくさん褒めてあげてくださいね。
おわりに
気をつけていても赤ちゃんや子どもは病気になります。その都度免疫を獲得し、少しずつ丈夫になっていくので、気にしすぎることはありません。病気の症状が長引いて親子共につらい思いをしないためにも、お薬を上手に飲ませて、少しでも早く病気が良くなるといいですね。重症にならないよう気をつけて冬を乗り切りましょう。