広報紙 vol.42しんゆりニュースレター

疾患の最終診断や治療
方針の決定の場面での
重要な役割に応える

新百合ヶ丘総合病院
病理診断科 部長
ふくなが まさはる
福永 眞治 医師
【プロフィール】
東京慈恵会医科大学卒業。1975年より2015年まで同大学病理学講座に在籍。1987年より1989年、米国George Washington University留学。東京慈恵会医科大学病理学講座教授、附属病院病院病理部部長。2015年より現職。
日本病理学会専門医/日本臨床細胞学会専門医・指導医/日本婦人科病理学会理事/International Society of Gynecological Pathologists, Board member

疾患の最終診断や治療
方針の決定の場面での
重要な役割に応える

新百合ヶ丘総合病院
病理診断科 部長
ふくなが まさはる
福永 眞治 医師
【プロフィール】
東京慈恵会医科大学卒業。1975年より2015年まで同大学病理学講座に在籍。1987年より1989年、米国George Washington University留学。東京慈恵会医科大学病理学講座教授、附属病院病院病理部部長。2015年より現職。
日本病理学会専門医/日本臨床細胞学会専門医・指導医/日本婦人科病理学会理事/International Society of Gynecological Pathologists, Board member
  • 私は2015年4月より当院に赴任し、以来、病理診断業務に携わってまいりました。赴任時、病理診断科の常勤医は私1人しか在籍しておらず、病理検査技師は3人でした。その後1人の非常勤病理医の支援を得ながら、病理検査技師(全員細胞検査士)5人とともに主に診断業務に専念してきました。毎日、私たちは臨床サイドよりのお叱り、顕微鏡下での小さな当惑、失望、後悔、驚き、発見、挑戦の連続です。

    病理診断科の使命は精度の高い診断を迅速に行い、患者さんに貢献することです。主な業務は病理組織診断、細胞診、術中迅速組織診断、病理解剖です。

    年間の組織診断約7,300例、細胞診約13,000例、術中迅速組織診断約130例、病理解剖約5~10例です。地方の国立医科大学附属病院に相当する症例数です。各診療科のご協力、情報交換、また幸い病理診断科のスタッフにも恵まれ、ほぼ順調に現在に至っています。

  • 当院の診療科からは全分野にわたり全臓器、組織や細胞診の検体が提出され、病変は多岐にわたり、かつ希少病変も少なくありません。難解症例については内外のその分野の専門病理医にコンサルトしています。また症例検討会、研究会に問題症例、難解症例を積極的に提示し、病理診断、治療方針を検討しています。

    コロナ禍にもかかわらず症例数が増加し、また昨年4月に新設されたB棟のフル稼働により、主に手術症例の急増が予想されます。来春より常勤病理医2人体制、病理検査技師の増員でそれに対応する予定です。今後は当院の特徴を生かすべく、各スタッフの得意分野での益々の活躍、目標設定、生き甲斐のある職場環境を目指して、患者さん、病院、また研修医の教育にも貢献できるよう努力したいと思っています。さらに近隣医療機関での病理診断のセカンドオピニオンにも積極的に携わっていければ幸いです。

病理組織診断について

  • 病理診断科の医師と臨床検査技師(細胞検査士)病理診断科の医師と臨床検査技師(細胞検査士)

  • 近年、病理診断では免疫染色が広範に普及し、一部の悪性腫瘍では遺伝子検査も積極的になされる傾向がありますが、一方、医療費の高騰が懸念されます。また近い将来でのAI(人工知能)の病理診断への導入について活発な議論があり、その法的な制限(診断責任所在)も今後の課題とされています。

一般的に病理組織診断はヘマトキシリン・エオジン(HE)染色標本でなされます。その形態診断方法は廉価で迅速性に優れ、一世紀以上継続されている普遍的なものです。免疫染色、その他の手法はあくまでも補助診断法であり、組織像より鑑別診断を挙げ、その区別のため用いるのが基本的なスタンスです。組織像と関連して適切な複数マーカーの選択をします。現況としてとりあえず免疫染色を施行し、その後組織像を検討する傾向があり残念です。免疫染色が患者さんへの経済的負担、診断の遅れの原因の一つとなりかねません。組織診断の方法論は時代とともに進化し、現在の診断が数十年後必ずしも適切な診断であるとは限りません。病理医、細胞検査士にとって最も重要なのは、組織像、細胞像を愚直に観察し詳細な所見を記載することであり、それが最も普遍的なものと考えます。

《 診断業務 》

■病理組織診断

内視鏡検査や手術時に病変の組織を採取し、約3ミリマイクロの厚さに薄切し、染色を施し顕微鏡でどんな病気か診断する検査です。

■細胞診断(細胞診)

喀痰、尿、子宮、胸水、腹水などの細胞を集め、顕微鏡で観察し、その細胞の性状、良性、悪性を判断します。また、治療の効果判定や経過観察のためにも行う検査です。

■術中迅速組織診断

手術中に病変の一部を採取し、病理組織診断を行い、術前診断の確認、リンパ節の転移の有無、診断 の確定、手術方法、切除範囲の決定などを行います。

■病理解剖

当病院で亡くなられた患者さんを解剖し、全身の状態、臨床診断との一致、不一致について、がんであ ればその広がり、治療の効果、亡くなられた原因などについて詳細に検討します。

《 病理診断科 年度別実績 》

病理診断科 年度別実績

リハビリテーション科コラム

健康寿命をのばそう!

リハビリテーション科 科長 松本 浩一


  • 平均寿命と健康寿命の差
  • 健康寿命とは、健康で日常生活を支障なく送ることのできる期間のことで、男女共に平均寿命との間に“差”(男性:約9年・女性:約12年)が見られます。この“差”は「日常生活に制限のある期間」といい換えることができ、この“差”をいかに短くできるかが、QOL(quality of life)=「生活の質」を保つ意味でも重要であるといえます。

「日常生活に制限のある期間」は「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「肺炎」、「脳血管障害(脳卒中)」など生活習慣が深く関与する「生活習慣病」が原因で生じることが多いため、「生活習慣病」を予防することが健康寿命をのばすことに繋がるといえます。

生活習慣病を予防するための取り組みとして、栄養バランスに配慮した食生活、定期的な健康診断の受診、禁煙などに加え、適切な運動習慣の獲得が挙げられます。適切な運動習慣によって、血流改善による新陳代謝の促進、中性脂肪量や血糖値・尿酸値などの改善、心肺機能の強化、高血圧の改善、ストレスの軽減など様々な効果が期待できます。気軽に取り入れられると思いますので、皆さん、運動習慣を身に付け、健康寿命をのばしましょう!

【運動時の注意点】 軽めの運動から始め、長期間継続することができそうな運動を取り入れましょう。

専門外来のご案内

特別疾患外来
脊柱靭帯骨化症外来

  • 水野順一水野 順一 医師
  • みずの じゅんいち
    水野 順一 先生

    脊椎脊髄末梢神経外科 部長
    低侵襲脊髄手術センター 上級顧問

    1976年名古屋大学農学部卒業。83年愛知医科大学医学部卒業。米国ジョージア州アトランタ市エモリー大学脳神経外科研修、藤田医科大学などを経て、2010年12月から低侵襲脊随手術センター長、20年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医/日本脊髄外科学会指導医

脊椎(背骨)にはいろいろとやっかいな病気がありますが、脊柱靭帯骨化症もその1つです。脊柱靭帯骨化症に特化した外来が、2021年1月に開設します。

脊柱靭帯骨化症の特徴

脊椎には頚椎、胸椎、腰椎そして骨盤(仙椎)がありますが、その中(脊柱管)には脳から続く大切な脊髄、馬尾と呼ばれる神経が入っています。脊柱管には後縦靭帯、黄色靭帯と呼ばれる支持組織があり、脊髄神経を取り囲んでいます。この靭帯が何らかの原因で骨化すると神経に重大な障害が出てきて、手足の感覚や運動機能が障害されます。日常生活にも重大な影響が出るため適切な治療が必要で、厚生労働省の特定疾患に指定されています。

脊柱靭帯骨化症の症状と治療方法

頚椎には後縦靭帯骨化症が、胸椎・腰椎には黄色靭帯骨化症が起こりやすい特徴があります。症状は脊椎の部位により異なりますが、手足の痛み、しびれ、筋力低下、手の使い方がぎこちない、歩行障害などが出てきます。もちろん、頚部痛や腰痛も起こります。治療は軽症なら保存治療(薬やリハビリテーション)で、重篤なら手術も考慮しないといけません。

患者さんへ

脊柱靭帯骨化症は以前は難病といわれていましたが、今ではそれなりに治療ができる病気になりました。脊髄神経の専門医に相談して、きちんとした知識をつけて正しい治療法を選択することが重要です。

診察日

◆2021年1月より 毎月第1(学会などで不在時は第3)火曜 8:30~12:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456 【予約制
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

諸般の事情により1月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止する替わりといたしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信しますので、ご覧ください。

掲載日 :
1月15日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「動脈と静脈 ~あなたの足は治療適応?~」
講師 :
血管外科 医長 百瀬 匡亨 医師
掲載日 :
1月29日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「腎臓病の経過を知る ~発見と治療の流れについて~」
講師 :
血液浄化療法センター長/腎臓内科・透析内科部長 篠﨑 倫哉 医師

2020年11月の救急車受け入れ台数は559台でした。