広報紙 vol.37しんゆりニュースレター

適切な外傷救急医療の実現と
後遺障害の機能再建に向けて

新百合ヶ丘総合病院
外傷再建センター センター長
まつした たかし
松下
【プロフィール】
東京大学卒業。1998年帝京大学整形外科学講座主任教授。2015年福島県立医科大学外傷学講座教授(寄附講座)。総合南東北病院外傷センターセンター長を兼任。2020年4月より現職を兼任。

日本整形外科学会整形外科専門医/ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター

適切な外傷救急医療の実現と
後遺障害の機能再建に向けて

新百合ヶ丘総合病院
外傷再建センター センター長
まつした たかし
松下
【プロフィール】
東京大学卒業。1998年帝京大学整形外科学講座主任教授。2015年福島県立医科大学外傷学講座教授(寄附講座)。総合南東北病院外傷センターセンター長を兼任。2020年4月より現職を兼任。

日本整形外科学会整形外科専門医/ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター
  • 外傷再建センターとは、病気ではなく、外傷(ケガ)を治療するセンターで、外傷の救急医療からリハビリテーション、後遺障害の機能再建までを含みます。救急医療については、治療の遅れが死に繋がる危険性の高い重傷外傷や脊髄損傷、四肢や手指の切断から単純な骨折まで、すべての外傷患者さんを対象としています。骨折は適切な時期に適切な治療をしなければ、骨が繋がらなかったり、変形して繋がったりして運動機能に障害が残ります。外傷再建センターでは、このような機能障害や死亡を最少にすることを目指して治療するとともに、後遺障害が起こってしまった患者さんを広く受け入れ、マイクロサージェリー、イリザロフ法、チッピング法など様々な治療法を駆使して元どおりに機能再建します。当初は二次救急外傷(命に関わらないケガ)の治療から始めますが、なるべく早くヘリコプター搬送を用いた広域かつ24時間受入れ可能な態勢にしていく予定です。救急医療では、約2割が疾病、約2割が外傷です。外傷は数が少ないために軽視され、通常の3次救命救急センターでは救命だけが重視されて機能回復はおろそかにされているのが現状です。この軽視されている外傷患者だけを集約して、救命に加えて運動機能を元どおりに戻すこ

  • とも重視して治療するのが外傷再建センターです。

    私は若い頃から骨折に興味を持ち、その治療技術の向上に努めてきました。またロシアで開発されたイリザロフ法が西側諸国に広まった80年代の早期からその技術の習得と国内での普及に努めてきました。1998年に帝京大学整形外科の主任教授に就任してからは、救急科と連携して外傷治療の向上に努め、2009年の新病院棟完成に合わせて全国で初めて大学病院に外傷センターを立ち上げました。現在では東京都の開放骨折の1/2以上が帝京大学外傷センターで治療されています。2015年に帝京大学の定年に合わせて、福島県立医科大学に寄附講座として外傷学講座を設置していただき、総合南東北病院に外傷センターを立ち上げました。人口や医師の数に比べて県の面積が非常に広い福島県は医師と患者の集約化を行わなければ高いレベルの治療を行うことはできません。福島県の外傷を集約して治療する外傷センターを目指しています。

    このような経験を踏まえて今年4月に設立した当外傷再建センターでは、首都圏すべてから難しい新鮮骨折を受け入れるとともに、日本全国から難治化している骨折や骨折後遺障害の患者さんを集め、最高の外傷治療を行っていきます。

外傷再建センター

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

  • 対象疾患

    ■ 手外科
    ■ 切断四肢の再接着・再建治療
    ■ 関節内骨折
    ■ 難治性骨折・感染性偽関節
    ■ 重度四肢開放骨折・組織損傷
    ■ 多発外傷・骨盤外傷

  • 放射線診断科医師
    「外傷再建センター」の医師
    髙群 浩司 澤口 毅 松下 隆 峰原 宏昌 工藤 俊哉
※全国的にも珍しく、単一グループで一貫して皮膚~骨までの幅広い外傷治療が行える強みを生かし、「他院で感染した」「骨折が治らない」など、外傷後の後遺症・難治性骨軟部感染症の治療も行っております。
※各疾患の詳細につきましては、当院ホームページ「外傷再建センター」をご覧ください。

■骨再建・矯正術

緩徐延長 + 一期矯正術

  • 骨再建・矯正術
  • 右下肢が外傷により40度内旋し、1cm短縮骨癒合している症例です。この障害を創外固定による骨再生で矯正治療しました。

■重度関節内骨折・関節外科

左大腿骨粉砕骨折

  • 重度関節内骨折・関節外科
  • 多発外傷で肝損傷も伴っていたため、一次的創外固定後に髄内釘に交換した症例です。迅速良好な骨癒合が得られました。

■重度四肢外傷再建術

  • 重度四肢外傷再建術
  • 皮膚から筋・腱・骨格・神経・血管にいたる損傷を修復します。採取した自己組織を移植することで、損傷部位を直接補填する究極の治療技術です。なかでも、自己組織移植・組織補填治療は、外傷治療における感染率・治療成功率ともに大きく改善させました。昔なら切断となる四肢外傷例でも温存できる可能性があります。

■多発外傷・骨盤骨折

骨盤骨折の最終的内固定

  • 多発外傷・骨盤骨折
  • 多発外傷は、交通事故に代表される「高エネルギー」により全身に強い外力が加わって身体に複数箇所の外傷を生じた状態です。とりわけ、内臓を守る骨盤の骨折は、生命に危険を及ぼす重症骨折です。骨盤骨折には、大きな外力外傷によって骨盤の環状構造が破綻する「骨盤輪骨折」と、股関節の関節面を形成する寛骨臼が骨折する「寛骨臼骨折」と、主に成長期のスポーツ外傷によって筋肉の付着部が裂離する「裂離骨折」があります。 不安定型骨盤輪骨折は出血性ショックを呈し、生命に危険が及ぶこともある重度骨盤外傷です。輸血、止血術やダメージコントロールで全身状態を安定化させた後に、体内固定金属材にて最終的な内固定を行います。その後、積極的なリハビリテーションを行います。

■手・上肢外傷再建

右示指完全切断

  • 手・上肢外傷再建
  • 母指の機能と手指知覚は、高度な機能を発揮するために必要不可欠です。また手を正確な位置に運ぶのが関節(指関節・前腕・肘関節・上腕・肩関節)であり、その機能も重要となります。手の機能を最大限に発揮するためには、上肢全体を1つの機能単位と考えて再建治療を行うことが必要とです。さらに手は、美容的な重要性と、握手や手話などのように社会的な役割も担っており、人間のQOL(Quality of Life)につながります。


薬剤科コラム

病院薬剤師の仕事について

薬剤科 竹内 絵美


新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で過ごす時間が多くなり、生活の変化が著しかったことと思いますが、体調にはくれぐれもご注意ください。今回は、近日放送予定となっているテレビドラマでも取り上げられている、病院薬剤師の仕事についてご紹介します。

○薬剤師とは

薬剤師法という法律の第一条は、「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」とされています。薬剤師になるには国家資格である薬剤師免許が必要となり、取得には大学の薬学部を卒業しなければなりません。薬剤師の仕事として皆さんが多く目にする機会があるのは、保険調剤薬局で働く薬剤師ではないかと思います。薬剤師は他に、製薬会社の研究開発やMR(医薬情報担当者)、保健所等の行政など、様々な業種で活躍しています。

○病院薬剤師の仕事

当院では外来患者さんの薬は院外処方箋の発行を行っており、薬の受け渡しなどでかかわる機会もないため、病院薬剤師の仕事内容についてはあまりイメージできない方も多いと思います。病院薬剤師は主に、入院患者さんの薬の管理や院内の薬剤の管理を行っています。仕事内容は多岐にわたりますが、ここで内容の一部を紹介します。

①調剤

調剤とは医師から発行された処方箋の医薬品を患者さんに交付することです。病院では内服薬・外用薬のほかに注射薬の調剤を行い、相互作用や投薬効果の確認を行っています。入院時にお薬手帳の確認をさせていただきますが、お薬手帳には今飲んでいる薬やアレルギーなどの記載欄もあり、調剤に必要な情報を得ることができるため、ご持参いただくようお願いいたします。内服薬には錠剤、散剤(粉薬)などの剤形があります。市販の薬では錠剤しかない薬をつぶして散剤に変更することもあります。患者さんの内服状況に合わせた調剤をしています。

  • ②無菌調製

    抗がん剤の曝露による健康被害を防ぐため、抗がん剤の調製は無菌室のなかの安全キャビネットという密閉空間で行います。投与する患者さん本人はもちろん、調製を行う薬剤師、投与時にかかわる看護師を抗がん剤の曝露から守るため、抗がん剤による汚染を広げないよう作業を行っています。

③病棟薬剤業務

入院患者さんに対する最適な薬物療法の実施による有効性・安全性の向上を図るため、各病棟に薬剤師を配置しています。入院時に、今までの内服歴やアレルギーの確認、入院後の治療に使われる薬剤の説明、今飲んでいる薬の説明などを行っています。薬によっては食前に飲むなど服用時間が決まっている薬もあります。なぜその時間に飲まなければいけないのかを知ることで退院後も内服忘れを防ぐよう説明したり、退院薬の服用間違いを防ぐために薬を1つにまとめて1包化することを提案したりしています。医師、看護師からの医薬品に関する問い合わせの対応や、薬剤の面から治療に使われる薬の提案も行っています。同じ効果の薬でも複数ある薬もあり、患者さんの状態や内服回数、予想される副作用などから患者さんにあった薬を選定、提案しています。多剤併用による有害事象(ポリファーマシー)が起こっている患者さんもいます。同じような薬を複数飲んでいる場合には薬を整理し、不要な薬の中止を提案しています。また、病棟内の薬剤の在庫管理や期限管理も病院薬剤師の業務の一つです。院内にある薬剤を管理することで医薬品の適正使用、有効利用に努めています。

病院薬剤師は入院中の患者さんの治療に薬の面から他職種と協力してチーム医療にかかわっています。入院中に薬について気になることがありましたら、遠慮なく相談してください。

〈参考資料〉 薬剤師法、病院薬剤師会HP

新百合ヶ丘総合病院 新棟

新棟へ移転し、リニューアルオープンしました!


  • 新棟(B棟)は2020年4月1日に一部オープンし、5月1日にフルオープンいたしました。既存棟(A棟)の377床に加え、新棟(B棟)の186床(一般病棟45床、回復期リハビリテーション病棟100床、緩和ケア病棟21床、救急専用病棟20床)が増床し、当院は563床となりました。

    新棟の地下1階には手術室を増設し、1階には救急センターを移設、2階では外来診療を行っています。3階には回復期リハビリテーション病棟、4階には緩和ケア病棟と一般病棟、屋上にはヘリポートを新たに設置。3階と5階にはリハビリテーション室を開設し、5階リハビリテーション室内には、日常生活動作(トイレや入浴動作、調理動作など)の訓練が可能なスペースを設置しています。

    すべては患者さんのために、高度急性期病院として今後も地域の医療に貢献してまいります。

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

日頃より当院主催の健康講座に足をお運びいただきまして、ありがとうございます。
諸般の事情により、7月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止することといたしました。
その替わりとしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信いたしますので、ご覧ください。

掲載日 :
7月20日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「肝機能検査値の見方と肝臓の病気
~血液検査結果が気になる皆さまへ~」
講師 :
消化器・肝臓病研究所所長 井廻 道夫 先生

2020年5月の救急車受け入れ台数は502台でした。