脳卒中センター

脳卒中センターとは

脳卒中ケアユニット(SCU)を設置し、地域医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、患者搬入後直ちに診断し速やかに治療(rt-PA静注療法、血管内治療、脳神経外科治療)を開始し、厳重なリスク管理のもと早期リハビリテーションを開始できる診療体制を持つ施設の名称です。

当院は、他施設で困難な脳卒中の高度医療にも対応し、再発防止、患者・家族支援を含む、包括的脳卒中センターとして地域に貢献いたします。

  • SCU では、多職種(医師、看護師、リハビリテーションスタッフ等)からなる専属の脳卒中チームが24時間体制で治療を行います

  • SCUと隣接するリハビリテーション(ADL)室では、早期から厳重な管理のもとリハビリテーションが行われます

  1. 脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit, SCU)とは、「多職種からなる 専属の脳卒中チームが配属され、他疾患と明確に分離された厚生労働省の施設基準を満たす脳卒中患者専用の病棟」です。
  2. 脳卒中センターとは、日本脳卒中学会から認証を受けた施設の名称です。

対象疾患

  1. 脳梗塞
  2. 脳出血
  3. くも膜下出血
  4. 一過性脳虚血発作

病院前から始まる超急性期医療:救急隊との連携

  • (救急隊の評価したMPSS>3では血管内治療を受ける可能性が高い。Suzuki Y, et al. Acute Med Surg 4:68-74, 2016)

    1. 病院前脳卒中評価スケール(MPSS)による連携体制を堅持し、ワイドトリアージを容認する受け入れを行います。
    2. 最良の治療成績を得るべく、救急隊からの脳卒中患者搬送依頼第一報を得た段階から診断治療の体制に入り、時間短縮に努めます。
    3. 市民を対象とした「顔・腕・言葉 で すぐ受診(ACT-FAST)」の初期対応啓発を進めます。
    *MPSS:川崎市、横浜市で平成19年から使用されている脳卒中 評価スケールです。

迅速な診断で超急性期治療への対応

脳卒中の病巣は、発症した瞬間から刻々と拡大を続け、時機を失すれば不可逆的かつ広範な脳細胞の死に至る病です。24時間365日「高い専門性」と「時間との闘い」を両立できる医療体制を整えています。

迅速測定機器による評価

  • 患者搬入後直ちに血清クレアチニン(左)と凝固能(右)を測定し、検査室の測定結果を待つ時間を短縮して、直ちに最適な診断・治療法の選択を行います。

IVR-CT装置

  • IVR装置は、CTと血管撮影を同一の検査台で繰り返し行うことのできる画期的な装置です。患者搬入後、検査台に乗り替えまずCTを撮影、迅速測定器の結果等を含め、血栓溶解療法(rt-PA静注)の適応があれば静注を開始し、そのまま血栓回収、血管内治療に進むことができます。入室から治療開始までの時間が短いほど、これらの治療成績は良好となります。

全ての脳卒中急性期治療に対応

2020年8月現在、一次脳卒中センター(24時間常時t-PA静注ができる施設)の認証が完了しています。また本年中にその中核となるPSCコア施設の認証が予定されています。

t-PA静注、血管内治療に加え、高度な脳卒中の外科的治療、地域医療施設からの転送依頼を24時間365日行うことのできる施設を包括的脳卒中センターと呼んでいます。

  • 脳梗塞

  • 脳梗塞

    ①薬で溶かす(発症4.5時間以内)、②カテーテルを用いた機械的血栓回収療法で閉塞血管を再開させる(最大24時間まで)治療のいずれか、または両方を行います。治療直後から麻痺が改善する症例も多く、1分でも早い治療開始が有効です。

  • 脳出血(左)くも膜下出血(右)

  • 脳出血・くも膜下出血

    急性期に専門医が適切な管理と治療を行うことで、血腫の増大を防ぎ、再出血を防止できます。脳血管撮影、CT angiography、MRI等先進の医療機器を24時間稼働させ、原因に応じた治療を行います。

急性期の進行増悪と再発を防ぎ最大の回復を目指す

急性期の病態は極めて不安定で、専門医による正確な病態把握が、進行・増悪、再発を防ぎます。またこれらの評価によって厳重なリスク管理下に行う早期リハビリテーションの開始が可能となります。これらを可能とする病棟が脳卒中ケアユニット(SCU)です。

脳血管、脳循環評価技術

  • 内頚動脈に高度狭窄を認め(A)、頸動脈超音波で狭窄部位の粥種評価を行う(B)、更にBB法MRIにより粥種の不安定性を確認することができます(C)。また脳血流測定(D)等を駆使して、緊急手術、内科的管理等の適応判定、安全な施行を行います。

全身病としての脳卒中

  • 比較的大きな脳梗塞(A)で、できる限り早くリハビリテーションを開始したい症例ですが、経食道心エコー検査で左房内に大きな血栓がまだ残っており(B)、抗凝固薬による治療とともに慎重な安静度拡大を図ります。

  • 多発する比較的小さな脳梗塞(C)で症状はごく軽度の片麻痺ですが、大動脈解離(D)による多発脳塞栓症と考えられ、厳重な血圧管理等を要します。脳卒中はたとえ軽症であっても重篤な病気の表れであることがあります。

下肢静脈エコー

  • 一見脳卒中と関係がないように思えますが、下肢の静脈血栓(いわゆるエコノミークラス症候群)から脳梗塞を発症する場合もあり、下肢静脈エコー(左)による検査が有用です。その早期運動療法開始や弾性ストッキング(右)の使用は、最新のガイドラインに従って、再梗塞を防ぎつつリハビリテーションを行います。

医師紹介

脳卒中ケアユニットでの多職種医療が、脳卒中後遺症を最小限に抑えます

「脳卒中治療は時間との闘い」と言われるように、脳卒中から生還し、後遺症を最小限にするためには、1分でも早く専門の病院にたどり着き、診断・治療を開始してもらうことが大切です。当院では超急性期の診断・治療から、後遺症に対する治療、リハビリテーション、社会復帰、再発予防の健康管理に至る、長い一連の医療を切れ目なく提供できる体制を整えております。  地域医療を支える多くの方々と連携を深め、「すべては患者さんのために」の言葉を胸に、常に最新の医療を提供すべく邁進してまいります。脳卒中や神経症状でお困りの方は、なんでもご相談ください。

  • 長谷川 泰弘
    脳卒中センター センター長

    1980年 鹿児島大学医学部卒業
    1981年 国立循環器病センター、内科・脳血管部門
    1990年 国立循環器病センター研究所病因部脳血管障害研究室
    1992年 米国マサチューセッツ州マサチューセッツ大学神経内科
    1995年 国立循環器病センター研究所病因部脳血管障害研究室室長
    1996年 国立循環器病センター内科・脳血管部門医長
    2005年 聖マリアンナ医科大学内科学(神経内科)教授
    2020年 新百合ヶ丘総合病院脳卒中センターセンター長
    日本神経学会神経内科専門医・指導医/日本脳卒中学会専門医・指導医/ 日本内科学会認定内科医・指導医