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腰椎椎間板ヘルニア

ヘルニア(herniation)は、英語で本来ある部位から組織が逸脱することを意味します。例えば腸の一部が股のあたりから出ることもヘルニアと言い、正確には鼠径ヘルニアと呼ばれます。腰椎部でのヘルニアというと、椎間板が脊柱管内に出てしまうことを意味します。無症状のこともありますが、時に突然の腰痛と足の痛みが出て困ることになります。ぎっくり腰と違う点は足にも痛みが出て、それが腰や臀部から足先に向かって走るような感じが加わります。まずは慌てずに安静にして湿布や鎮痛剤を使用して、2-3週間経過を見ます。

それでも痛みが和らぐ感じがしなければ、専門医に相談しましょう。MRIが最も診断能力があり、かならずMRIで確認することを勧めます。症状が継続する、痛みが引かない、大きなヘルニア塊が認められるときには手術も検討されます。多くは顕微鏡によるラブ法という方法が用いられますが、最近では内視鏡手術が広がってきてその良い適応として注目されています。

  • 腰椎椎間板ヘルニアの症例

  • 腰椎椎間板ヘルニアの症例で、L5/Sに大きなヘルニア塊を認める。
    (左)術前のMRIで、ヘルニア塊があり、内視鏡手術を行い、(右)ヘルニア塊は消失している。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

腰椎(腰の骨-背骨と骨盤周囲)は体の軸であり、年とともに劣化や変形が進みます。腰部脊柱管狭窄症はそのような加齢性変化の代表的な病気であり、すべり症やそくわん症などを合併することもかなりあります。そうなると腰痛、下肢痛やしびれ、長く立っていたり歩けない(間欠性跛行:かんけつせいはこう)などの症状が出てきます。運動療法やダイエットなどを始めて、場合によってはお薬を用いることもあります。それで症状が緩和すればいいのですが、どんどんひどくなる時には手術が必要になります。私たちの手術には手術用顕微鏡を用いて、細かい作業を行う方法で手術効果をあげています。狭くなった脊柱管を広くしてあげることで、腰椎の神経(馬尾神経、坐骨神経)の回復を図る方法です。すべり症といって腰椎が前後にずれている時には、固定術を追加することもあります。

固定術は以前は大きな皮膚切開や筋肉の剥離を必要としましたが、今では比較的小さな皮膚切開で手術が可能になりました。また背骨が左右にずれているときはお腹からも背中からも手術が必要でしたが、数年前から後ろ横からでできるようになりました(XLIF,OLIF)。さらに内視鏡の進歩により、比較的軽度な狭窄症に対しては、直径16mmの円筒形の内視鏡で十分に坐骨神経の圧迫が取れるようになってきました。こうした手術の低侵襲化により入院期間の短縮化が可能になり、生活の質を落とすことなく楽しみのある人生後半の時間を過ごすことが出来るようになってきました。

  • 顕微鏡手術(左:術前、右:術後)
    黒くなっていた神経が、白く戻ってきて正常に近い形態に復元されている。

  • XLIF手術により術前に曲がっていた腰椎(左)が、術後かなりまっすぐに戻っている(右)。

腰椎すべり症、側弯症(変形性腰椎症)

生まれつきや若いころの若年性側弯症などを除けば、腰椎は加齢とともに形態にも変化が出てきて前後や横にずれが生じてくることがあります。前後にずれが生じることをすべり症、左右にずれることをそくわん症と呼びます。年とともに背骨が曲がることは当たりませなのですが、それがひどくなるとこのような病態となり腰痛や下肢痛が出てきます。特にずれている部分が不安定になると状況が悪くなり、手術でしか治せないこともでてきます。この場合の手術は固定術(矯正術、制動術)となり、スクリューやスペーサーなどのインプラント(チタン製金属)の使用が必要です。その分手術も大きくなり、術後のリハビリにも時間のかかることが多くなります。

とは言っても過去のようなとんでもない大きな切開や骨切除は不要になってきており、手術後数日で歩行開始になりリハビリが始まります。輸血することは、ほとんどありません。

  • 腰椎すべり症
    (左)第2度のすべり症により、腰痛と間欠性跛行が生じたため、(右)チタン製のインプラントで腰椎の並びを矯正し、症状の改善を得た。