2020年8月掲載 薬剤師コラム

接触感染とは

薬剤科 別府 真子

残暑厳しい中、皆様いかがお過ごしでしょうか。世間では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が再び増加しております。今回は、主な感染経路ついてお話していきたいと思います。

感染経路の種類

接触感染は、母子感染といわれる垂直感染と、ウイルスや細菌が主に口や鼻、喉などを経由して体の中に入ってくる水平感染に分けられます。

①垂直感染

お母さんから病原体が胎盤、産道、母乳を通じて、赤ちゃんに直接伝わる感染経路を垂直感染と言います。いわゆる、母子感染と言われるものです。風疹やトキソプラズマ、B型肝炎などがあります。母子感染を予防するために、HBe抗原陽性のお母さんから生まれた赤ちゃん(無症候性キャリア)は生後12時間以内にB型肝炎免疫グロブリンの注射と同時にHBワクチンの接種を行います。他にも、出生後に新生児は眼感染予防に抗菌薬点眼をします。

②水平感染

水平感染は、感染源が周囲の人やものから広がるもので、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類することができます。

接触感染、媒介物感染

感染者と直接接触、または汚染されたドアノブや医療器具を介して間接的に接触することで感染すること。
手指衛生が不十分であったり、医療器具の滅菌・消毒が不十分であったりすると引き起こされる。

飛沫感染

ウイルスや菌を含む飛沫を吸い込んだり、鼻や目などの粘膜に付着したりすることにより感染すること。

空気感染

空気感染は、ウイルスや菌を含む飛沫核や塵埃を吸い込み、直接気管支内に感染すること。さらに、飛沫核感染と塵埃感染に分けられる。

飛沫核感染と飛沫感染
  • 飛沫核感染と飛沫感染

  • 空気中に飛び散った微粒子の中で比較的大きく、水分を含んだものを“飛沫”、比較的小さい飛沫から水分が蒸発し、軽くて非常に細かい粒子になったものを“飛沫核”と言います。飛沫は、直径が0.005mm以上の大きさのもので、水分を含むため、届く範囲は感染源から1〜2m程度と言われています。そのため、マスクの着用や、感染源から距離をとることが有効な対策となります。

  • 飛沫核感染と飛沫感染

  • 新型コロナウイルス(COVID-19)は今分かっている感染経路が接触感染と飛沫感染とされています。現在、厚生労働省より公表されている「新しい生活様式」にあるように、「人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける」、「手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う」、「咳エチケットの徹底」などの行動が接触感染を防ぐのに効果的です。

石けんがウイルスを除去する仕組み

  • 石けんはどうして油をとることができるのでしょうか? 石けんは界面活性剤と呼ばれます。界面活性剤とは、水とくっつく部分(親水基)と油とくっつく部分(親油基)の両方を持っている物質です。つまり、水と油の両方とくっつくことができます。そして、皮膚にこびりついた油に界面活性剤がやってくると、親油基の方を油と結合させます。油を囲って取り込み、球体のミセルと呼ばれる集合体を作ります。あとは、水で洗い流せばミセルごと取り除かれます。

  • ウイルスには、表面にエンベロープという殻をもつものがあります。新型コロナウイルス(COVID-19)はエンベロープを持つウイルスです。油を落とす作用で皮膚から取り除くことができます。手洗いするときは、ただ石けんをつけるだけではなく、よく泡を立てて、よく洗い流すようにしましょう。

病棟薬剤業務

入院患者さんに対する最適な薬物療法の実施による有効性・安全性の向上を図るため、各病棟に薬剤師を配置しています。入院時に、今までの内服歴やアレルギーの確認、入院後の治療に使われる薬剤の説明、今飲んでいる薬の説明などを行っています。薬によっては食前に飲むなど服用時間が決まっている薬もあります。なぜその時間に飲まなければいけないのかを知ることで退院後も内服忘れを防ぐよう説明したり、退院薬の服用間違いを防ぐために薬を1つにまとめて1包化することを提案したりしています。医師、看護師からの医薬品に関する問い合わせの対応や、薬剤の面から治療に使われる薬の提案も行っています。同じ効果の薬でも複数ある薬もあり、患者さんの状態や内服回数、予想される副作用などから患者さんにあった薬を選定、提案しています。多剤併用による有害事象(ポリファーマシー)が起こっている患者さんもいます。同じような薬を複数飲んでいる場合には薬を整理し、不要な薬の中止を提案しています。また、病棟内の薬剤の在庫管理や期限管理も病院薬剤師の業務の一つです。院内にある薬剤を管理することで医薬品の適正使用、有効利用に努めています。

病院薬剤師は入院中の患者さんの治療に薬の面から他職種と協力してチーム医療にかかわっています。入院中に薬について気になることがありましたら、遠慮なく相談してください。

【参考】
〈参考資料〉 薬剤師法、病院薬剤師会HP