NO.172019年10月掲載 薬剤師コラム

食中毒(細菌性)の原因菌
~予防方法そして食中毒の時の対処方法とは~

薬剤科 峯岸 功明

  • 予防方法そして食中毒の時の対処方法とは
  • 秋冷がさわやかに感じられるようになりましたが、時折暑い日があります。最近は暖房により部屋の中の温度が高くなっており、涼しくなる時期や、冬の日でも取扱いを誤ると、食中毒が発生してしまいます。

    冬の時期にはウイルス性の食中毒が多くなりますが、細菌性の食中毒を起こさないためにも食品の取扱いを確認して、疑いのある時はもったいないですが廃棄する事も大切です。

菌種 特  徴 防御のポイント

ウエルシュ菌

人や動物の腸管や土壌などに広く生息する細菌。酸素のないところで増殖し、芽胞を作るのが特徴です。食後6~18時間で発症し、下痢と腹痛が現れます。カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付けなどの煮込み料理が原因食品となることが多い。 室温で長時間放置しない。

ブドウ球菌

自然界に広く分布し、人の皮膚にもいます。調理する人の手や指に傷があったり、化膿している場合は、食品を汚染する確率が高くなります。汚染された食品の中で菌が増殖し、毒素がつくられると食中毒を起こします。汚染された食物を食べると、3時間前後で急激におう吐や吐き気、下痢などが起こります。 傷がある場合には、完全に覆う手袋などを着用し調理する。

腸管出血性大腸菌(O157やO111など)

家畜の腸の中にいる病原大腸菌の一つ。毒性の強いベロ毒素を出し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。食肉などに付着し、肉を生で食べたり、加熱不十分な肉を食べたりすることによっておこります。 肉を十分に加熱調理する。

サルモネラ属菌

牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。牛・豚・鶏などの食肉、卵などが主な原因食品となるほか、ペットやネズミなどによって、食べ物に菌が付着する場合もあります。菌が 付着した食べ物を食べてから半日~2日後ぐらいで、激しい胃腸炎、吐き気、おう吐、腹痛、下痢などの症状が現れます。 卵を取扱いする前後には手洗いをする。

カンピロバクター

牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。この細菌が付着した肉を、生で食べたり、加熱不十分で食べたりすることによって、食中毒を発症します。吐き気や腹痛、水のような下痢が主な症状です。 肉を十分に加熱調理する。

寄生虫
アニサキス

新鮮な魚であってもアニサキスは潜んでいることがありますので、適切に調理されたものを食するようにしましょう。 適切な調理。
冷凍。

食中毒の予防の基本

  • つけない
  • 増やさない
  • やっつける
  • つけない

    食中毒の原因を付けない=洗う!

    手には雑菌がたくさん、調理を始める前、生の肉や魚、卵などを取り扱う前後、トイレに行ったり鼻をかんだりした後、おむつの交換後、動物に触れた後、食卓につく前に必ず手洗い。
    また、まな板からの汚染に気を付けましょう。加熱しない食品を先に取り扱う。生の肉や魚などを切ったまな板は使用の都度洗う。
    焼肉などの場合には、生の肉をつかむ箸と焼けた肉をつかむ箸は別のものにしましょう。
    食品の保管の際にも、細菌が付着しないよう、ジッパー付き密封容器に入れたり、ラップをかけたりすることが大事です。
  • 増やさない

    食中毒の原因菌を増やさない=低温で保存する!

    細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になります。菌を増やさないためには、低温で保存することが重要です。肉や魚などはできるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。なお、冷蔵庫に入れても細菌はゆっくり増殖するので、早めに食べることが大事です。
  • やっつける

    食中毒の原因菌をやっつける=加熱処理!

    ほとんどの細菌は加熱によって死滅します。肉料理は中心までよく加熱することが大事です。中心部を75℃で1分以上加熱が目安です。
    ただし、毒素を作り出す細菌は死滅しても毒素が残り食中毒の原因になります。
    布巾やまな板、包丁などにも細菌が付着します。特に肉や魚、卵などを使った後の調理器具は、洗剤でよく洗ってから、熱湯や殺菌剤を使用しましょう。

病院に行くべきか?

「食中毒かな?」と思ったら症状が軽い吐き気、便がゆるい場合には よく水分を取り様子をみましょう。

下痢や嘔吐がひどいとき、水が飲めないとき、脱水症状のとき(尿が少なくなる、めまい、口が渇く)、腹痛がひどい場合、吐物や便に血が混ざる場合、妊婦さん、乳幼児、高齢者、他の病気の病み上がりなどは、病院を受診してください。

「食中毒かな?」のときのお薬は?

「下痢止め禁止」
食中毒の時に下痢止めは服用してはいけません。悪いものを排出しようとする体の防御反応です。この下痢を止めてしまうと、病原菌が腸に長くとどまってしまい、回復が遅れてしまいます。

整腸剤、胃腸薬は使用できます。
しかし、下痢止めが配合されているものもありますので、注意するようにしましょう。
薬局で購入する場合には必ず薬剤師に相談しましょう。

ちなみに、食中毒と思われるときには、本人が調理するのはやめましょう。
二次感染をおこす可能性がありますので、食中毒をおこした本人は調理をしてはいけません。

食中毒の時の対処方法

下痢、嘔吐の時には体内の水分が不足しています。しかし、腸が大変弱っていて水分の吸収がうまく行われませんので、すこしずつ、ちょこちょこがポイントです。
スポーツ時の脱水とは違うので、冷たいスポーツドリンクをゴクゴク飲むのは、かえって下痢、嘔吐をひき起こしてしまうので、体をいたわるように水分を補給しましょう。

「下痢、嘔吐がひどい時の対処方法」
腸が疲れていますのでしばらく絶食しましょう。飲み物は温かい白湯。
白湯も吐いてしまう場合には病院に受診しましょう。

「下痢、嘔吐が少し良くなったら」
飲み物をスポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)に変えましょう。
不足した水分と電解質を補います。
この時に、冷たいのをゴクッと飲んではいけません。

「温かくして、すこしずつ、ちょこちょこ」と
「下痢、嘔吐が少し良くなったら」
雑炊やスープなど温かい消化の良い物から、急にたくさん食べずに、少しずつ食べるようにしましょう。

体調が悪い時には、急に力が入らなくなり立てなくなることもあります。携帯電話等を近くに置いて連絡を直ぐにとれるようにしておきましょう。


【参考資料】 厚生労働省「食中毒」
政府広報オンライン