2019年7月掲載 薬剤科コラム

セルフメディケーションとは

薬剤科 安藤 喬登士

まだまだ暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか? 熱中症対策で水分補給や塩分補給をしっかり行っていますか? 実は皆様が自然と行っている水分補給、塩分補給をする行動、それがセルフメディケーションのひとつです。あまり聞きなれない方も多いかと思います。そこで今回はセルフメディケーションについて、お得な制度も合わせて紹介させていただきたいと思います。

セルフメディケーションとは?

  • セルフメディケーションとは
  • 皆さんは風邪をひいた時はどうしますか? 病院に行き、診察を受けますか? それともドラッグストアなどに行き市販の医薬品(以下OTC医薬品)を飲む、あるいは医薬品に頼らず栄養のあるものを食べて普段より早く寝て休養を十分とりますか? 世界保健機関(WHO)ではセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。

上記の例ではOTC医薬品の服用、栄養のあるものを食べて十分休養をとることがセルフメディケーションに当てはまります。つまり、診察を受けて処方箋をもらう必要のないOTC医薬品をドラッグストアや薬局で購入し、上手に利用しながら病気の予防や体調管理を行い、自身の健康を自身で守ることがセルフメディケーションとなります。

セルフメディケーション税制とは?

この制度は2017年1月から始まった制度です。どのような制度かというと、本人または生計を一にする家族がOTC医薬品を購入した際に、その年間の合計額が税込12,000円を超えた分(上限88,000円)について、翌年の確定申告を行うことで所得控除を受けることができる制度です。
ただし、誰でもこの制度を利用できるというわけではありません。

・所得税及び住民税を納めていること
・現行の医療費控除を利用していないこと
・特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のいずれかを受けていること

これらすべての条件を満たすことで、セルフメディケーション税制を利用することが可能となります。

また、全てのOTC医薬品が対象かというとそうではありません。いわゆるスイッチOTC医薬品といわれる、医療用医薬品で使われている薬効86成分が含まれているOTC医薬品でないといけません。 厚労省のホームページに対象成分が掲載されています。
ホームページはこちら

  • セルフメディケーション税制とは
  • 正直、ホームページを見ても分からない人の方が多いと思います。そんな方のために目印がつけられています。このマークが目印になります。 このようなマークがOTC医薬品の箱に表示されていたり、陳列棚に掲示されています。表示義務、掲示義務があるわけではないので、必ずしもこのマークが無いからといって対象外になるとは限りません。

対象かどうか判断に迷う場合は、薬局あるいはドラッグストアの薬剤師に聞いてみてください。

セルフメディケーション税制を使ったらどれくらいお得になるか具体的に例を挙げてみてみましょう。所得税率20%、個人住民税率を10%とし、年間60,000円のOTC医薬品を購入したとすると、12,000円を超えた差額分が控除の対象金額となるので48,000円が対象となります。そうすると…
48,000円(控除額)×20%(所得税)=9,600円
48,000円(控除額)×10%(住民税)=4,800円
上記を足して、減税額の総額は9,600円+4800円=14,400円となり、かなりお得になります。

セルフメディケーション税制の申請の際には必ず領収書(レシート)の提出が必要となるので大切に保管してください。

セルフメディケーション税制、いかがでしょうか? 普段病院に通っていない方や、忙しくて病院に行く時間のない方にもおすすめの制度となっています。医療費控除に縁がなかった方はこちらの制度で税の控除を受けることができるのでぜひ利用してみてください。また、この制度は令和3年12月31日までが対象期間となっています。

現在、OTC医薬品はかなり多くの品目が販売されています。OTC医薬品を購入される際は、以下の情報を薬剤師に伝えていただくと症状に合った医薬品をスムーズに提案することができるので参考にしてください。

  • セルフメディケーション税制とは
  • ・いつから症状がでたのか
    ・どのような症状がでているか
    ・現在治療中の疾患、内服中の医薬品はあるか
    ・購入したOTC医薬品を誰が服用するのか
    ・アレルギーや医薬品で副作用がでたことがあるか

ただし、あくまでセルフメディケーションは医師の診察なしで行うものになります。OTC医薬品を服用していてもよくならない、症状が悪化する場合にはすぐに医療機関を受診するようにしましょう。