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2019年5月号

がんのリハビリテーション

リハビリテーション科 理学療法士 梶 登士次

近年、がん治療の進歩により、がんと共生する時代へと変わりつつあります。当院においても、さまざまな病期のがん患者さんが入院や外来にて治療を受けておられ、私たちリハビリテーション科のスタッフもチームの一員として関わらせていただいております。そこで今回は、がんのリハビリテーションについてご紹介します。

がんのリハビリテーションとは

がんのリハビリテーションとは

がん患者さんの生活機能と生活の質(quality of life:QOL)の改善を目的とする医療ケアであり、がんとその治療による制限を受けた中で、患者さんに最大限の身体的、社会的、心理的、職業的活動を実現させることと定義されています。また医師、看護師、リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、管理栄養士など、さまざまな専門職からなるチームによって提供されます。



がんのリハビリテーションの病期別の目的

がんになると、がんそのものや治療に伴う後遺症や副作用などによって、患者さんはさまざまな身体的・心理的な障害を受けます。がんのリハビリは、がんと診断されたときから、障害の予防や緩和、あるいは能力の回復や維持を目的に、あらゆる状況に応じて対応していきます。図のように予防、回復、維持、緩和と4期に分けて考えていきます。

がんのリハビリテーションの病期別の目的
予防的・・・ がんと診断されてから早い時期(手術、抗がん剤治療、放射線治療の前)に開始します。機能障害は起こっておらず、その予防を目的とします。手術後の合併症予防に向けた呼吸リハビリなどを行います。
回復的・・・ 手術や抗がん剤、放射線治療により二次的に生じる、機能障害や筋力や体力の低下に対して最大限の機能回復を図ります。
維持的・・・ がんが増大し、機能障害が進行しつつある患者さんに対して、運動能力の維持・改善を試みます。環境調整や動作のコツなどのセルフケアや、低活動状態による関節拘縮や筋力低下などの廃用症候群の予防も含みます。
緩和的・・・ 患者さんの要望を尊重しながら、身体的、精神的、社会的にもQOLを高く保てるように援助します。

医師の指示のもと、がんのリハビリテーションは患者さん一人一人に合わせてチームで介入していきます。現在、一部のがんで入院患者さんのみが対象となっていますが、疾患によってはリハビリテーションを行うことが可能となっています。何かお困りのことがありましたら、お気軽に主治医やリハビリテーション科にご相談ください。