ホーム 医療コラム 筋肉の性質を理解し、運動療法に活かそう!

2018年10月号-1

筋肉の性質を理解し、
運動療法に活かそう!

リハビリテーション科 理学療法士 坂本 恵

私たち理学療法士の仕事は、身体に障害のある方に対し、主に基本的動作能力(日常生活に必要な動作能力)の回復を図るため、運動療法(体操やトレーニング)物理療法(電気刺激、温熱)を実施します。そこで、今回は運動療法を進めていく上でとても大切な「筋肉」についてのお話をします。

筋肉(骨格筋)は、通常、関節をまたいで、骨から骨へと付着します。血管や神経も走行する筋膜という膜に包まれた筋繊維は、さらに筋原繊維の集まりと言われています。筋原繊維にはアクチンミオシンの2つがあり、その2つがうまく滑走することで、は筋肉が収縮する=関節が動くということになります。このようなことが、必要な関節で生じることで私たちは運動・動作することが成り立っています。つまり、私たちが仕事をしたり、家事をしたり、さらに言えば、食事を摂ったり、トイレに行ったり、動作して生きていくために、筋肉は必要不可欠なものなのです。

筋肉の性質には、さまざまありますが、その一つに筋伸張性が挙げられます。筋肉には、伸びたり、縮んだりする性質があります。例えば、安静臥床(寝たきりの状態)や、何かしらの怪我でギブス固定をした場合など、一定の期間、同じ格好で固定されることがあります。固定することで、筋肉の伸張性は低下し、関節可動域制限を生じることで、関節の不動状態が長期化し関節拘縮が生じます。約4週間で関節拘縮は生じると言われ、起きてしまった場合、温熱(温めること)持続伸張(時間をかけてゆっくり筋肉を伸ばすこと)が効果的と言われています。

また、筋肉には負荷を与えると強化される性質があります。これは、過負荷の原則と言われています。毎日階段を登り降りしていたり、決まった回数の腕立て伏せを行うことで徐々に楽に回数こなせるようになったりします。残念ながら、加齢も関係しており、定期的に筋力トレーニングを行っていない成人では、30歳から40歳にかけては年間200g、50歳以上では年間500g以上の筋量の減少が認められるとも言われています。つまり、定期的な運動や、適度な負荷を与えることが筋力を維持・向上することがうかがえます。

このように筋肉の性質を理解した上で、十分に身体を動かせる状態を保つことは、健康に過ごす第一歩だと思います。最後に、運動療法の実施については、個人差もあり、身体の状態は人それぞれなので、一度、担当医やリハビリテーション専門職員とご相談の上、始めることをお勧めいたします。