広報紙 vol.39しんゆりニュースレター

糖尿病は味方につければ
怖くない

新百合ヶ丘総合病院
糖尿病・内分泌代謝内科 部長
にしの かずよし
西野 和義 医師
【プロフィール】
東京医科歯科大学医学部卒業。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。松江赤十字病院内科。静岡県立総合病院内分泌代謝科医長。日本バプテスト病院内科部長。十条武田リハビリテーション病院副院長・糖尿病内科部長・内科系診療部長。2014年より現職。
日本内分泌学会専門医/日本老年医学会専門医/日本糖尿病学会専門医/日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

糖尿病は味方につければ
怖くない

新百合ヶ丘総合病院
糖尿病・内分泌代謝内科 部長
にしの かずよし
西野 和義 医師
【プロフィール】
東京医科歯科大学医学部卒業。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。松江赤十字病院内科。静岡県立総合病院内分泌代謝科医長。日本バプテスト病院内科部長。十条武田リハビリテーション病院副院長・糖尿病内科部長・内科系診療部長。2014年より現職。
日本内分泌学会専門医/日本老年医学会専門医/日本糖尿病学会専門医/日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
  • 私は2014年5月より当院に赴任し、以来糖尿病を中心に内分泌代謝疾患を専門に診療してまいりました。赴任当時、糖尿病内科の常勤医は私一人しか在籍しておらず、2012年の当院開設当時から東大と聖マリアンナ医大より派遣されていた3名の外来非常勤医の支援を得ながら診療していました。

    まずは糖尿病専門診療の要である看護師・薬剤師・栄養士・検査技師・理学療法士からなる糖尿病チームの立ち上げに取り掛かりました。各分野一人ずつからなるチームを立ち上げた後に、チーム全員でもう一つの糖尿病専門診療の要であり、糖尿病教育の推進のためのエンジンである糖尿病教室の構築に取り掛かりました。これには随分と時間がかかり、専門病棟での教育入院と教室の内容、各スタッフの担当業務の決定など多岐にわたる内容についてスタッフ会議を重ねて検討しましたが、本格的に糖尿病教育入院を開始したのは2015年だったように記憶しています。今尚、理想の教室像には程遠く、進化途上ですが、現在までこの初期に決めた体制にほぼ沿って教育入院は運営されています。

    糖尿病医としての孤軍奮闘の頑張りが限界を迎えつつある頃、2018年4月より元東京女子医大教

  • 授で糖尿病学会の重鎮であられる岩本安彦先生が当院へ赴任される予定の報に接した時は、まさに青天の霹靂でした。今後当院の糖尿病診療はさらに進化を遂げていくものと期待されましたが、そのためには若い戦力が必要でした。嬉しいことに横浜市大から2名の医局員の赴任も同時に決まり、当科の発展は揺るぎないものと期待されました。医師の面ではほぼ充実した布陣が敷かれましたが、課題としてコメディカルの専門スタッフの養成がまだ残っており、特に糖尿病教育において役割の大きい専門看護師が病棟・外来いずれにおいても不足しています。今後、看護部のサポートを得ながら専門スタッフを養成していく必要があります。

    糖尿病は放置していると怖い病気ですが、普段から生活習慣に注意し、医療機関への通院により血糖コントロールの改善を続けている限り怖いものではなくなり、むしろ健康寿命を伸ばすことにつながる病気でもあります。糖尿病を自分の味方につけるか否かは、患者さんご本人の病気の捉え方と取り組み方によっているのです。是非、糖尿病を自分の味方につけるように希望を持って日常生活を送っていただきたいものです。

糖尿病・内分泌代謝内科について

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

◎内分泌代謝内科について

糖尿病・内分泌代謝内科では糖尿病のみならず、甲状腺を中心に内分泌疾患の診療も担当しています。当院開設当初、「内分泌代謝外来」は内分泌内科の専門医が行っておりましたが、昨年より担当医が不在となりました。私はもともと大学で内分泌疾患の診療に携わっており、また新しく入職した若い医師も内分泌疾患診療の経験があったので、2年前から当科において内分泌疾患の診療を担当するようになりました。当科の名称も以前は「糖尿病内科」でしたが、4年前から「糖尿病・内分泌代謝内科」に変更しており、甲状腺疾患を中心に下垂体、副腎、副甲状腺疾患など、広く内分泌疾患を診ています。現在、当科の表示がまだ「糖尿病内科」のままになっているところがあり、早く正式な名称に変更されることを望んでいるのですが、これを機に今後は認識が広まることを期待しています。

◎内分泌疾患とは

  • 内分泌疾患とは内分泌疾患とは内分泌疾患とは
  • みなさんは「内分泌」という言葉はご存知でしょうか。ある組織が生体内で働く微量な物質を作って血液へ分泌する働きのことで、この物質を通称「ホルモン」と呼んでいます。ただし、モツ肉のホルモンとは全く異なるものなのでご注意ください。冗談はさておき、内分泌を担当している臓器には種々のものがあり、視床下部や下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、卵巣や精巣(性腺)が代表的ですが、他の臓器でもホルモンを作ることがあり、がんの中には内分泌の真似をしてホルモンを作るものがあることや、最近では脂肪組織(特に内臓脂肪!)や心臓がホルモンを出していることもわかっています。内分泌臓器の調子が狂って血液中のホルモンが増えすぎたり減りすぎたりするのが内分泌疾患なのですが、日常で最もよく見られるのが甲状腺の病気で、橋本病やバセドウ病が代表格です。内分泌臓器はそれぞれが特有のホルモンを作って出していますが、一つの臓器からいくつもの種類のホルモンを出しているものもあり、下垂体や副腎がそうです。それぞれのホルモンごとに増えすぎたり出すぎたりすると病気になり、また内分泌疾患は複数重なって発症することもあるので、内分泌疾患の症状は非常に多彩で複雑で奥深く、病気の方には失礼ですが大変興味深い分野です。

貧血や心臓病、肝障害、腎障害、糖尿病などの身近な病気は、特有の症状や通常の血液検査ですぐにわかるので発見しやすいのですが、ホルモン検査は通常の血液検査のセットに含まれていないものが多いので、内分泌の病気を疑って検査をオーダーしない限り、病気が見逃されてしまいがちです。調子が悪いので医者にかかったけれど通常の検査では異常なく「気のせい」と片付けられてしまうことの多い病気ともいえるのです。もちろん原因が不明なものは全てホルモンの病気というわけではありませんが、念のために調べておく必要はあるかもしれないということです。調べてみて問題なければ万々歳ですが、万一ホルモンの病気であることがわかっても、きちんとした治療法はあります。自分の病状にどうしても納得がいかないという場合、ホルモンの病気である可能性を疑って一度担当の医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

(糖尿病・内分泌代謝内科 部長 西野 和義)

◎11月14日 世界糖尿病デー

  • 世界糖尿病デー毎年11月に開催される糖尿病教室には、患者さんやご家族が多く集まります世界糖尿病デー勉強会参加者は、運動の前後で採血して血糖値の変化を調べる体験もできます
  • 11月14日の世界糖尿病デーは、世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するために1991年にIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定し、2006年12月20日に国連により公式に認定されました。11月14日は、インスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日であり、糖尿病治療に画期的な発見に敬意を表し、この日を糖尿病デーとして顕彰しています。  世界糖尿病デーは、世界でも有数な疾患啓発の日となっており、この日を中心に全世界で繰り広げられる糖尿病啓発キャンペーンは、糖尿病の予防や治療継続の重要性について市民に周知する重要な機会となっています。

    当院でも毎年11月にキャンペーンイベントを行ってまいりました。今年はコロナ禍により中止となりましたが、来年2021年は「インスリン発見100周年」の年であり、世界中で大規模なキャンペーンが行われる予定です。当院でもイベントを行う予定ですので、ご期待ください。

看護部コラム

がんによる痛みを緩和して、生活しやすくするために

がん性疼痛看護認定看護師 栗原 香織


がん性疼痛とは何か?

「がん性疼痛」という言葉をご存知でしょうか? 日本人の2人に1人ががんになるといわれる時代になり、がんの治療(手術や抗がん剤治療・放射線治療など)やがんの進行状態によって痛みを抱える人が増えています。「がん性疼痛」とは、からだに生じる痛みだけでなく、こころの辛さや生活する中での辛さを全般的に指しています。

からだの痛みをとるために使用される医療用麻薬やその他の鎮痛剤は、使用する患者さんの苦痛を軽減させ、社会生活をする中で役立つ薬剤になっています。痛みを我慢していると、からだが辛いだけでなく集中力が途切れやすくなったり、趣味や楽しみを満喫できなくなったりしてしまい、生活の中のいろどりが失われてしまいます。薬剤の使用により、十分に痛みは緩和することができます。

当院の緩和ケアチームについて

がんの患者さんやご家族が抱える辛い体験をサポートするのが緩和ケアチームです。緩和ケアチームは医師・看護師・薬剤師・リハビリテーションスタッフ・社会福祉士などで構成され、これら様々なスタッフが患者さん・ご家族に関わらせていただきます。患者さん・ご家族の持ついろいろな辛さを軽減させるために、日々活動しています。

現在の活動

  • 現在の活動患者さんがお茶をたててくださいました
    現在の活動患者さんやご家族の方々が短冊を書いています
  • 5月にオープンした緩和ケア病棟で、がんの患者さんと日々多くのからだの痛みやこころの辛さに向き合う生活をしています。その中で私はがん性疼痛看護認定看護師として、患者さんの心身の不調を聞きながら医師や薬剤師と適した薬剤を調整したり、リハビリ部門や社会福祉士などの職種の協力を得たりして、生活する中での不便さを解決できるように関わらせていただいています。

    現在は社会復帰のためのリハビリ療養や、療養をしながらご家族との有意義な時間を過ごす場所となっています。そのため四季のイベントを大切にし、患者さん自身がリハビリ目的の飾りつけなどで、病棟はいつも賑やかな景色を見せてくれています。

    がんと診断された時から、緩和ケアはあなたのそばで一緒に頑張ります。毎日をあなたらしく生きるためにおぼえてください、 『緩和ケア』。

緩和ケア病棟

  • 人生会議
  • 緩和ケア病棟は、がん患者さんのからだや気持ちの“痛み”“苦しみ”“辛さ”などの症状緩和を望まれている方が、日々安らかに過ごせるように支援する病棟です。苦痛の緩和、生活の質の向上のため、さまざまな医療の専門職(医師や看護師、薬剤師、心理士、栄養士、リハビリテーションスタッフ、ソーシャルワーカーなど)がチームメンバーとなって、患者さんとご家族にケアを提供させていただきます。
    緩和ケア病棟について詳しくはこちら

    【対象】

    悪性腫瘍の診断を受けており、悪性腫瘍に伴う身体的、精神的苦痛があり、緩和医療が必要と診断された場合

    【病棟設備】

    病床数:21床 (個室9床・4床室3部屋)

    【入棟基準】

    1. 悪性腫瘍と診断されていること
    2. 悪性腫瘍に伴う身体的、精神的苦痛があること
    3. 本人、およびその家族が緩和ケア病棟について理解し、緩和ケア病棟への入院を希望していること
    4. 原則として、本人が病名・病状を理解していること

    ※緩和ケア病棟を希望される場合は、まず緩和ケア内科の受診(完全予約制)が必要となります。

  • 【入院までの流れ】

    人生会議(*)入院受け入れ不可能な場合もご連絡します
  • 【お問合せ】

    1. 一般の方からのお問合せ

      ※可能な限り、現在おかかりの医療機関よりご連絡をくださいますよう、お願いいたします。紹介状がある場合は、お知らせください。

      TEL. 044-322-9991〈代表〉
      (土日祝日を除く、平日午前9時~午後5時)

    2. 医療機関専用 お問合せダイヤル

      ※医療機関関係者の方専用ダイヤルです。一般の方はご遠慮ください。

      TEL. 044-322-8113〈地域医療連携課〉
      (土日祝日を除く、平日午前9時~午後5時)

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

諸般の事情により10月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止する替わりといたしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信しますので、ご覧ください。

掲載日 :
10月15日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「知っていますか? がんのこと ~予防、診断から治療まで~」
講師 :
がん化学療法看護認定看護師 有安 晴美 看護師
掲載日 :
10月30日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「ステージⅢ期 非小細胞肺がんの治療 ~肺がんを治す時代に~」
講師 :
呼吸器内科 部長 中嶌 賢尚 医師

2020年8月の救急車受け入れ台数は661台でした。