広報紙 vol.14しんゆりニュースレター

広報紙 vol.14しんゆりニュースレター

救急車の受け入れ台数年間1万台を目指して

新百合ヶ丘総合病院
救急センター センター長
いとう としたか
伊藤 敏孝 医師
【プロフィール】
1992年防衛医科大学卒業。 2004年防衛医科大学校医学研究科卒業。航空自衛隊第3術科学校業務部衛生課長。05年横浜市みなと赤十字病院救急部副部長。07年同病院救急部部長。12年より現職。

日本救急医学会 専門医・指導医・評議員/日本集中治療医学会 専門医/日本外傷学会 専門医/日本外科学会 認定医/日本DMAT隊員/統括DMAT隊員/DMATインストラクター/JATECインストラクター/MCLSインストラクター/JPTECインストラクター/ICLSワークショップディレクター/ISLSインストラクター/JTAS開催世話人/Ai登録医/航空身体検査判定医/JATECインストラクタートレーナー
  • 当院の救急センターは「患者さんを断らない」ことを目標に運営しています。2次救急医療施設ではありますが、その概念に固執することなく、脳卒中といわれる脳血管障害、心筋梗塞などの重症患者さんに対応する救急初療室を4室(及びホールディングベッド13床)完備して受け入れを行なっております。また、日中には救急専属医により、小児〜ご高齢の方までわけ隔てなく救急要請を受け入れています。

    患者さんが搬送されてこられた時には、まず命にかかわるような疾患であるかどうかを見極めながら、必要に応じた処置を行います。腹痛や消化器系の疾患、発熱、めまい等の症状で来院される方が多いのですが、例えば、めまいで来院された方が脳の疾患なのか、耳の疾患なのか、心臓の疾患なのか、すぐに診断するのは難しいことです。ですから先入観はもたずに全身を診るようにしています。救急センターだけで治療が完結することは少なく、我々が病院の入口となり、そこから各診療科の専門の先生が治療に当たっていく、という流れになります。救急科医には救急医学の知識が必要とされます

  • が、院内の医師、看護師、検査技師、放射線技師、事務職員とうまく連携をとって動くことも大切です。全体のまとめ役として機能することが重要なのです。

    救急搬送されてこられる患者さんは突然の病気や怪我に襲われて、ご本人もご家族も不安でしょうから、そのような心情を慮りながら最善の治療を尽くすことを心がけています。瀕死の状態の患者さんの治療戦略を立てて命を救うことができ、その患者さんが元気に歩いて帰宅される時などは、とてもやり甲斐を感じます。

    当院の救急車受け入れ台数は年々増加しており、2017年度は約7,200台でした。2年後に新棟が増設されると救急センターも拡充されます。センターの隣にできる集中治療室を兼ねた病床に入院することが可能となります。また、センター内に血管造影室や透析室をつくり、今以上の治療を行うことができるようになります。センターの拡充に合わせてスタッフを増員すれば、年間1万件の救急要請にも応えられるようになるでしょう。今後も、近隣の地域にしっかりと根差した救急センターであり続けたいと思っています。

救急科の地域に密着したさまざまな活動

  • 近隣の消防署より救急業務協力に対して感謝状を授与されました

  • 近隣の消防署より救急業務協力に対して感謝状を授与されました

    当院はこれまでに、川崎市消防局長、東京消防庁、町田消防署長より、救急業務協力に対して感謝状を授与されています。今後も救急業務に協力し、地域の皆様に貢献してまいります。

  • 救急隊向け勉強会を定期的に開催
  • 救急隊向け勉強会を定期的に開催

    救急科の医師が講師を務める、近隣の救急隊員向けの勉強会を、当院にて年に3回開催しています。直近では今年7月23日・30日に行われました。講師は救急科医長の中野貴明先生で、テーマは敗血症と熱中症。川崎市、稲城市、町田市、横浜市の救急隊員が2日間合計で49名参加されました。

  • 伊藤先生のDMAT隊員としての活動
  • 伊藤先生のDMAT隊員としての活動

    救急センター長で日本DMAT総括隊員でもある伊藤敏孝先生。今年は日本DMAT隊員として、7月16日から20日まで、西日本豪雨で甚大な被害が出ている岡山県倉敷市へ赴きました。 伊藤先生は拠点となる倉敷保健所で、災害医療コーディネーターを務めました。保健所長をサポートし、病院・避難所への医療チームの派遣調整、避難所の衛生管理、状況やニーズの把握、各病院の回復具合の確認、市との交渉など、多岐に渡る仕事をこなしました。

  • JATECコースを当院にて開催
  • JATECコースを当院にて開催

    「JATECコース」は、外傷初期診療ガイドラインに基づいて標準初期診療手順が実践できるようになることを目標とした、医療スタッフのトレーニングコースです。昨年2017年7月22日・23日の2日間、川崎市におけるJATECコースが、当院STRホールにて開催されました【主催:日本外傷診療研究機構(JTCR)、共催:南東北グループ、新百合ヶ丘総合病院、横浜救急医療研究会】。救急科の3人の医師はコースコーディネーターとして活躍しました。

  • 川崎市防災訓練に毎年参加
  • 川崎市防災訓練に毎年参加

    昨年2017年は8月27日に川崎市総合防災訓練が、麻生区あさおふれあいの広場及びあさおふれあいの丘等の会場で実施されました。市民団体、民間企業、学校、指定公共機関、医療・福祉関係機関、行政機関等の約1800人が訓練に参加。また市民を中心とした多くの方々がこの訓練を見学されました。当院の担当は「避難所医療訓練」で、進行担当の救急センター長・日本DMAT統括隊員の伊藤敏孝先生と、看護師3人が参加。医療機関等による仮想避難所での避難者に対する応急医療訓練を行いました。

  • 救急の日キャンペーンを毎年開催
  • 救急の日キャンペーンを毎年開催

    昨年2017年は9月9日、新百合ヶ丘エルミロードの1F吹抜け広場にて、救急の日キャンペーンが開催されました。AED体験や、救急科医長の中野貴明先生によるミニセミナーが行われました。今年は9月8日(土)に同会場にて開催する予定です。

医療福祉課からのご案内

今年の夏は記録的な暑さが続き、最高気温が5年ぶりに更新されました。外に出ただけで汗が流れ出て、コンビニの梅干しが売り切れになった状況もありました。皆さん、おからだの調子はいかがでしょうか。

さて今回は、70歳以上の医療費自己負担が段階的に見直されており、この8月には外来上限額の引上げと3割負担の方の限度額が細分化されましたので、ご案内いたします。 社会福祉士 山本 裕美

平成30年8月から、70歳以上の皆さま(※)の
高額療養費の上限額が変わりました

(※)65歳以上の方で障害認定を受けて後期高齢者医療制度に加入している方も対象になります。

高額療養費の上限額が変わりました

高額療養費制度とは、ひと月に医療機関に支払った額が高額になった場合に、定められた上限額を超えて支払った額を払い戻す制度です。上限額は、個人や世帯の所得に応じて決まっています。
⇒平成30年8月から、上限額(月ごと・70歳以上)が下の表のように変わりました。 あわせて「限度額適用認定証」が必要になる場合がありますので、ご留意ください。

限度額適用認定証

専門外来のご案内

動脈疾患・静脈瘤外来

大動脈瘤(胸部・腹部)、閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患、また下肢静脈瘤を主とした静脈疾患を扱います。

動脈疾患・静脈瘤外来 金子 健二郎医師
かねこ けんじろう
血管外科 部長  金子 健二郎 先生

東京慈恵会医科大学卒/日本外科学会認定専門医/日本脈管学会認定専門医/日本ステントグラフト実施基準管理委員会認定/胸部ステントグラフト指導医/腹部ステントグラフト指導医/血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会認定/下肢静脈瘤レーザー焼灼術指導医/日本血管外科学会認定血管内治療医

動脈疾患・静脈瘤外来 小澤 博嗣医師
おざわ ひろつぐ
血管外科  小澤 博嗣 先生

東京慈恵会医科大学卒/日本外科学会認定専門医/下肢静脈瘤レーザー焼灼術実施医

専門外来の特長

多くの病院では血管病を扱う診療科は「心臓血管外科」や「循環器内科」が一般的ですが、当院では、心臓以外の血管に特化し、より専門的で高度な医療を行うため、「血管外科」として診療しています。我々血管外科医が扱う血管病は、心臓および脳を除く全身すべての血管に及び、胸部・腹部大動脈瘤(大動脈が膨らむ病気)や閉塞性動脈硬化症(動脈硬化により足の血管の狭窄や閉塞する病気)を中心とした動脈疾患、ならびに、下肢静脈瘤を主とした静脈疾患の診断・治療を行なっています。

主な検査・治療

血管の状態を把握する上で画像検査は重要です。超音波検査は、非侵襲的で、非常に安全な検査といえます。一方、大動脈など体の奥深くに位置する血管の描出には向きません。大動脈を含め体全身の血管の評価には造影CT検査が最適です。この検査は、点滴にて造影剤の注入を要するため、身体診察や問診をもとにこの検査が必要と判断された患者さんに適宜行っています。血管病に対する治療には、内科的治療(薬の服用)に加え、外科的手術(バイパス術や内膜摘除術)や血管内治療(ステントグラフト内挿術、バルーン拡張やステント留置などのカテーテル治療)、さらに外科的手術と血管内治療を組み合わせたハイブリッド治療があります。さらに、当科の特徴としましては、重要血管を巻き込むような大動脈瘤に対しても、枝付きステントグラフトを用いての治療を積極的に行っています。また、下肢静脈瘤に対しては、主に血管内レーザー焼灼術を行なっています。我々の一番の特徴は、これら全ての選択肢の中で、それぞれの患者さんに合ったベストな治療法を決定し、実際に治療を行うことといえます。

患者さんへ

血管病は、無症状なものから、症状があっても多彩で、典型的な症状がないものまで多種多様です。何らかの血管病でお悩みの方は我々にご相談ください。患者さんに向き合い、ひとりひとりにとって最適な治療を提供できるよう努めます。

診察日(受付時間)

◆下肢動脈専門外来(金子先生)…水曜日 午後(13:00~16:00)
◆静脈瘤外来(小澤先生)…火・木曜日 午前(8:00~11:30)
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
9月5日(水) 最近話題のロコモって何?フレイルって何?
~みんなで防ごうロコモとフレイル~
呼吸器外科 医長 志賀 光二郎 先生
9月26日(水) 脳卒中にならないために 神経内科 部長 水越 元気 先生
9月28日(金) 胆石のはなし 消化器外科 科長 金井 秀樹 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
9月6日(木) 鼻の構造と病気あれこれ
~花粉症が手術で治る時代が来た~
耳鼻咽喉科 医長
大塚 邦憲  先生
ベストウェスタンレンブラント
ホテル町田/B1F珊瑚(定員120名)
9月12日(水) アルツハイマー病と最近の検査と治療薬 神経内科 部長
矢﨑 俊二 先生
調布クレストンホテル/
クレストンルーム(定員120名)
9月20日(木) 頚椎疾患に対する低侵襲脊椎手術 脊椎脊髄末梢神経外科 医長
松岡 秀典 先生
小田急ホテルセンチュリー
相模大野/8F相模野(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2018年7月の救急車受け入れ台数は648台でした。