広報紙 しんゆりニュースレター vol.1

開院5周年記念創刊号 2017年8月1日号

笹沼仁一院長

新百合ヶ丘総合病院 笹沼仁一院長

おかげさまで5周年を迎えることができました

新百合ヶ丘総合病院は、神奈川県川崎市北部の不足病床を補い、産婦人科・小児科を含む地域医療の充実と救急医療体制づくりに寄与することなどを目的として2012年8月に開院いたしました。
開院以来、地域医療と、南東北グループの得意な高度先端医療を柱として運営してまいりました。優秀な医師をはじめ職員の総数が増えたことにより、年々診療体制が充実してきております。昨年は救急車の受け入れが6000台を超え、手術も5000件を超えました。このほか外来も一日900名を超えており、これら外来受診の患者さんの数、救急受診の患者さんの数、また手術を受けてくださる患者さんの数は、ある意味で当院への信頼の証だと思います。その数に感謝して、さらに伸ばしていくことが目標です。今年で5周年を迎えることができたのは、ひとえに当院をご利用いただいている皆様、地域の皆様、病院や施設など関係者の方々のお力添えの賜物と、心から感謝申し上げます。

このたび開院5周年を記念して、広報紙を発刊する運びとなりました。各診療科の取り組みをはじめ、当院の中身を広く知っていただければ幸いです。また地域と連携する役割も担っていけることと期待しています。

当院はこれからも地域医療と高度先端医療の二つを両輪として、患者さんとご家族一人ひとりの信頼・安心を得られるよう、職員一同頑張ってまいります。三年後には増床を予定しています。外来診療を増やし、回復期リハビリテーション病棟と緩和ケア病棟を設けて、急性期を脱した患者さんに途切れのない医療を提供できるようになります。救急体制もさらに強化して地域に必要とされる医療を提供してまいりますので、ご期待いただくとともに、今後も皆様にはご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

インタビュー Intervew vol.1

身体にやさしいガン治療、治せなかったガンに挑む!

放射線治療科 サイバーナイフ治療部 部長 宮﨑 紳一郎 医師

順天堂大学医学部卒業。医学博士。三井記念病院、日本赤十字社医療センターなどを経て、2012年8月より現職。日本脳神経外科学会専門医。12年前より定位放射線治療に専従し、2012年8月から2017年6月までの治療例は6500例を超える。

身体にメスを入れることなく、病巣に向けて放射線を集中照射するサイバーナイフ

身体にメスを入れることなく、病巣に向けて

放射線を集中照射するサイバーナイフ


サイバーナイフと宮崎医師

サイバーナイフと宮崎医師

――サイバーナイフの特長とメリットをおしえてください。

サイバーナイフはがんに対する放射線治療の一つです。コンピューターで制御されたロボットアームによって、1200もの角度から細い放射線を集中的に照射できます。さらに巡航ミサイルに用いられている追尾システムを応用しており、呼吸などによる患者さんの動きがあっても、周囲の正常な細胞を傷つけることなく病巣に向けて正確な照射がくり返し可能です。これによりガンマナイフでは不可能であった径2.5cm以上の大きな脳腫瘍の治療が可能となり、また視神経や脳幹などの重要な組織の近くに存在する脳腫瘍も2~5日ほどでの分割治療が可能になりました。症状によっては通院治療ですみますし、治療期間の短いことが特長の一つです。また病巣以外の副作用を極力抑えることができるので、安全性が高い上に早期の社会復帰が期待でき、体力が不安な高齢者も受けやすいというメリットがあります。私は極小のがん細胞も鮮明に描写するPETCTとサイバーナイフを組み合せることにより、正確性の高いがん治療を追求できると考えています。

――宮﨑先生がサイバーナイフ治療を始めたきっかけをおしえてください。

私が三井記念病院の脳神経外科に勤務していた当時、脳神経外科部長を務めていた福島孝徳先生と10年にわたり一緒に手術をする機会がありました。その尊敬する福島先生のご縁で、サイバーナイフを開発した米国スタンフォード大学のジョン・アドラー教授が学会出席のために来日した際、お会いしたのがきっかけです。アドラー教授にサイバーナイフの話を伺いまして、「これは凄い。自らの手でサイバーナイフ治療をやってみたい」と強く思いました。福島先生にご相談したところ背中を押してくださり、患者さんの紹介をはじめとしたご支援をいただきました。それが12年ほど前で、その後はサイバーナイフ一筋です。


――当院でのサイバーナイフ治療例は6500例を超えていますね。

当院だけでなく、近隣の大学病院など他院からの紹介も数多く受けています。この5年で6500例ですから、間違いなく世界でも多数治療している方でしょうね。現在はサイバーナイフセンターの優秀な事務、看護師、放射線技師スタッフに恵まれて、予約受付から治療までスムーズにこなすことができていますが、予約をたくさんいただいている状況なので、可能ならばもう一台サイバーナイフが欲しいくらいです。サイバーナイフ治療はまだ世間一般には広く知られておりませんが、身体を切らないがんの治療として将来的にもっと需要が増えてくると思います。私はこれからも変わらず、目の前の患者さんを治すため、一人ひとりに全力を尽くしていきます。


■対象となる症状(サイバーナイフで行う手術)…脳腫瘍(良性脳腫瘍、 原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍)、その他の頭蓋内疾患、頭頸部がん(鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、 口腔癌、咽頭がん 、聴器がん、その他)、転移性脊髄腫瘍、体幹部腫瘍

■サイバーナイフ治療は、まずCT、MRI撮影を行い、病気の診断と場所を確定し、作成した治療計画に基づいて行います。治療期間は1~5日。1回の治療時間は35分程度で、短期入院、外来通院のどちらでも可能です。 ※保険適応についてはお問い合わせください。

…… サイバーナイフの治療をご希望の際は、まずお問い合わせください ……

◆サイバーナイフ専用ダイヤル◆TEL 044-322-0610 (月曜日~土曜日9:00~17:00)

開院5周年を迎えて

看護部 局長 窪 睦子

平素は格別の御高配を賜り、心より感謝申し上げます。 さて、この度新百合ヶ丘総合病院は本年8月をもちまして開設5周年を迎えることとなりました。これもひとえに地域の皆様の温かいご厚情の賜物と心より深く御礼申し上げます。 病院理念「すべては患者さんのために」を掲げ、「豊かな心と感性をもち、人間尊重に基づいた質の高い看護を提供する」との看護部の理念を大切に、これからも職員一同心を新たにして、地域の皆様の御期待に添えますよう一層努力してまいる所存でございます。 今後とも御支援御愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

専門外来のご案内

矢﨑俊二医師

物忘れ外来

思い出せない…年齢のせいにしないで物忘れ外来へ

神経内科 部長 矢﨑 俊二 先生

日本神経学会専門医・指導医/日本脳卒中学会専門医/日本老年医学会専門医・指導医/日本認知症学会専門医・指導医/日本成人病学会(生活習慣病)学会認定管理指導医/日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医/臨床研修指導医/日本医師会認定産業医/アメリカ内科学会Fellow(FACP)

わが国の認知症高齢者は現在約500万人いるとされています。また、アルツハイマー型認知症の予備軍と呼ばれるMCI(軽度認知症)は約440万人いるとされており、最近の研究では、MCIの人の50~70%は3~4年後に認知症に進行するとされています。一方、MCIと診断されてから5年後に知的に正常に回復する人は25~39%います。「もの忘れ外来」を受診して、MCIの段階で認知機能低下を見つけ、認知症の発症を予防することが大切です。

専門外来の特長

「もの忘れ外来 」は、認知症やもの忘れの症状のある初診・紹介患者様の外来診療です。入院診療はありません。

主な検査

診断スクリーニング用心理検査、血液検査(必要な場合)、頭部MRIまたはCT検査、頭部MRI-VSRAD検査、脳血流シンチグラフィ、DATscan、MIBG心筋シンチグラフィ、脳波検査など。

主な治療

MCI(軽度認知障害)の場合は、生活指導と脳トレーニングの指導を行い、定期的に経過観察通院をしていただきます。アルツハイマー型認知症と診断された場合は、治療薬(内服薬・湿布薬)で治療いたします。精神症状などの認知症の周辺症状が強い場合は、他院精神科で治療、または入院していただきます。

診療日

火曜日 8:30~12:00 金曜日 14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※諸事情により変更・休診になることがございます。あらかじめ、外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからお越し下さい。

講座・イベントのご案内

医学健康講座

※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
8月28日(月) 救急外来を受診するということは 救急科部長 竹本 正明 先生
8月29日(火) パーキンソン病と共に楽しく生きる 神経内科 水野 美那 先生

市民医学講演会

※時間…14:30~15:30
8月4日(金) 今から始める介護体操
~ロコモとロコモ体操~
リハビリテーション科
道岡優太 理学療法士
相模原おださがプラザ
多目的ホール(定員80名)
8月9日(水) 人間ドック/健診結果の見方 予防医学センター消化器内科
部門部長 袴田 拓 先生
小田急ホテル相模大野
8F相模野(定員120名)
8月30日(水) 侮るなかれ脂肪肝
~お酒だけがその原因ではありません~
予防医学センター消化器内科
部門部長 袴田 拓 先生
町田市文化交流センター
「けやき」5F(定員120名)

映画会

8月29日(火)11:30開場 ・12:00上映開始『徘徊 ママリン87歳の夏』(77分)。
会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)。入場無料・予約不要。

2017年6月の手術件数は480件、救急車受け入れ台数は590台でした。