広報紙 vol.29しんゆりニュースレター

「私はあなたの専門医
です」といえるように

新百合ヶ丘総合病院
総合診療科 部長
かわしま あきひと
川島 彰人 医師
【プロフィール】
2006年帝京大学医学部医学科卒業。同年沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院初期臨床研修。08年同院総合内科後期臨床研修。11年同院総合内科医員。13年より現職。並行して11年より客船「飛鳥Ⅱ」世界一周クルーズ船医。16年より首都医校非常勤講師。18年より三菱ケミカル株式会社医療機器開発アドバイザーなど。
日本内科学会総合内科専門医・指導医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医/日本病院総合診療医学会認定医/日本医師会認定健康スポーツ医

「私はあなたの専門医
です」といえるように

新百合ヶ丘総合病院
総合診療科 部長
かわしま あきひと
川島 彰人 医師
【プロフィール】
2006年帝京大学医学部医学科卒業。同年沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院初期臨床研修。08年同院総合内科後期臨床研修。11年同院総合内科医員。13年より現職。並行して11年より客船「飛鳥Ⅱ」世界一周クルーズ船医。16年より首都医校非常勤講師。18年より三菱ケミカル株式会社医療機器開発アドバイザーなど。
日本内科学会総合内科専門医・指導医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医/日本病院総合診療医学会認定医/日本医師会認定健康スポーツ医
  • 4歳の頃、保育園に通っていた私の前に消防車と救急車が1台ずつ現れました。保育園のイベントでどちらか片方だけ乗りたい車を選ぶように園児はいわれたのです。私は迷わず消防車を選びました。なぜなら将来医者になったらきっと救急車には乗る機会があるだろうと考えたからです。

    私は幼少期より総合診療医として生きることを強く心に決めていました。田舎で育ったせいか、私の医師像は昔ながらの町医者そのもので、健康面で困っている人がいるならばその全てに手を差しのべ治療するというものでした。臓器別にわけるわけでもなく、患者さんを一人の人間として総合的に診てあげられる医者でありたいと思ってきました。

    しかし総合的に幅広く診るということは、逆にいえば結局どれも深く診ることができない、ということになりかねない。それでは意味がないと考えた結果、とにかく人一倍経験を積むべく、患者さんを一切断らない理念のもと救急車の受け入れ件数全国トップクラスの沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院に医師1年目から身を置きました。そこでは年間約340日、睡眠の3~4時間

  • を除き目が覚めている間は常に患者さんを診察しているといった環境で、来る日も来る日も目の前の患者さんを治すことだけをただひたすら考えて7年間過ごしました。そして医師8年目になった時、自分の医師としてのさらなる成長には新たな風を入れる必要があると感じ、当院に着任しました。医師10年目頃からは、これまで通り患者さんを診療することに加えて、自分が得た知識や経験を後世につなぐため教育機関で教鞭をとり、さらには医療機器開発にも携わるようになりました。いつしか社会貢献を意識するようになり、多様性のある働き方にシフトさせ、現在の医師14年目に至っています。

    当院における総合診療科では全ての症状に対応しています。まずはその症状に対してきちんと患者さんの話を聞き、病気の診断に必要な検査はできるだけ負担の少ないものから行うように努め、治療については当科で完結できるもの、高い専門性が必要なものを選定し、各科専門医と連携して行なっております。地域の医療に携わる先生方と協力して地域全体の医療を支えていきたいと考えております。

総合診療科より

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

医療機関で診察を受けられる全ての方々へ

医学の世界では、病気の診断の80%以上が問診(医療面接)で決まるといわれています。何か困った症状がある時に医療機関への受診を考えると思いますが、いざ診察室に入ってもその限られた時間の中で何を伝えればよいか意外と難しいですよね。「そんなの検査をすればわかるでしょ」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。検査をオーダーするのは医師ですので、どの検査(血液検査、心電図、レントゲンなど)を行うかによって異なりますし、例えば血液検査ひとつとっても、何の項目(血糖値やコレステロール値など)を調べるかが病気を見つけられるかどうかに影響します。またレントゲンについても同様で、どの部位をどの角度で撮影するかによって診断の精度が変わるのです。

では、診察室に入って何をどのように伝えるのが効果的かについて解説させていただきます。これはどの診療科を受診する際にも活用できますので、ご参考にしていただければと思います。

症状の伝え方

子宮頸がん
①いつからどのような症状があるかを伝える

病気の診断には時間経過が極めて重要です。鼻水と咳が3日前からとなれば風邪だろうと考える方が多いと思われますが、2ヶ月前からとなれば別の病気じゃないかと疑いますよね。つまりいつから症状が出たかはとても大切ですし、最初の症状や後から加わった症状など、時間経過を伝えるとよいです。

②症状の程度よりも性状(性質)を伝える

例えば痛みがある場合、いかに痛くて困っているかをたくさん伝えるよりも、どの部位にどんな痛み(チクチクなのか、鈍い痛みなのか、絞れられる感じの痛みなのか、など)があるのか、またそれは身体を動かすと痛いのか、安静にしていても痛いのか、持続して痛いのか、強弱の波があるのかなど、具体的に伝えるとよいです。

③過去の病気あるいは現在治療中の病気を伝える

今の症状に関連している可能性があるので大切です。よく高血圧は持病に入れずに伝えない方がいますが、風邪以外は全て伝えようというつもりでよいです。

④普段飲んでいる薬の名前と用量を伝える

お薬手帳があると明確に情報が伝えられます。しかし手帳を持っていない場合でも、例えば「糖尿病の薬を飲んでいます」と伝えるのではなく、薬の名前と用量を伝えるとよいです。なぜなら糖尿病の薬といっても複数の種類があるので、それによって考え方が変わるからです。加えていえば、長期に服用している薬がある場合、最近追加されたあるいは減量したなど変化を伝えることも大切です。

⑤その他、医師から質問される事柄

病気を診断する上で必要な事柄ですので、ありのままに回答するとよいです。

薬剤科コラム

薬をたくさん飲んでいませんか?

薬剤科 下平 貴弘


■ポリファーマシーとは

最近、ポリファーマシーという言葉をテレビや新聞で見かけるようになりました。これは、ポリ(poly:たくさん)、ファーマシー(pharmacy:薬)を組み合わせた造語です。ポリファーマシーとは、ただ単にたくさんの薬を飲んでいることではありません。薬が多くなるにつれて、薬物有害事象(※1)の増加、飲み間違い、服薬アドヒアランス(※2)の低下など、薬が関わる問題につながる状態のことです。

ポリファーマシーとは

■ポリファーマシーによる不利益

●薬が増えると、飲み合わせによる有害事象が出てくる恐れがあります。
●飲み方が異なる薬が増えることで、飲み間違いをしやすくなります。
●服薬アドヒアランスの低下による治療効果の低下や副作用の恐れもあります。
●身体的な不利益だけではなく、不要な薬の出費は家計を圧迫します。

■なぜ薬が増えてしまうのか

1.多病による複数医療機関・診療科の受診(図 例1)

新たな病状が加わる度に新たな医療機関または診療科を受診していると、それぞれ2~3剤の処方でも足し算的に服用薬が積み重なり、ポリファーマシーとなることがあります。

2.処方カスケード(図 例2)

薬物有害事象が起きていても、それは新たな症状だと思い、別の医療機関に受診し、新しい薬をもらってしまう。新たな薬が増えたことによりさらに薬物有害事象が増え、また薬で対処してしまう。このように、薬物有害事象を薬で対処し続けることを処方カスケードといいます。薬を止めれば治る症状が、薬が増えながら悪化していくという悪循環になります。

3.症状がないけれど続けている

入院患者さんに持参薬の確認に伺うと、一時的な症状で開始した胃薬やアレルギー薬などを漫然と飲み続けられていることがあります。症状・病気がないのに服用する薬は、体にとって不要な物質です。

■ポリファーマシーの対策

●かかりつけ医を持ち、かかりつけ医に薬剤処方状況の把握をしてもらいましょう。
●かかりつけ薬局を持ち、調剤と医薬品情報の一元管理をしてもらいましょう。
●お薬手帳を持参して受診時に医師に見せましょう。副作用の早期発見や、効果が重複した薬の処方を防ぐことができます。
●ご自身の病気の症状や原因を知り、薬がどのような役割をしているのか医師、薬剤師に確認しましょう。

ご自身や、ご家族の中でたくさん薬を飲んでいる方はいませんか?薬が多いと感じる方は、一度見直しをしてみることをお勧めします。ただし、ご自身の判断で薬を中断することは絶対に避けてください。


※1. 「薬物有害事象」は、薬剤の使用後に発現する有害な症状または徴候であって、薬剤との因果関係の有無を問わない概念です。
※2. 「アドヒアランス」は患者自身の治療への積極的な参加のことをいいます。

整形外科
人工関節置換術に対するロボット手術

当院は、東日本で一番早く、人工膝関節全置換術に対するロボット手術を行いました

人工関節置換術に対するロボット手術

2019年9月より、当院の整形外科では保険診療でのロボット手術を開始しました。ロボット手術は、人工膝関節全置換術・人工股関節置換術の新しい手法です。導入したのはMAKOの人工関節の手術を支援する、先進テクノロジーのロボットです。コンピューター制御された「機械の腕(ロボティックアーム)」を用いたロボット手術は、医師が操作をして動かすもので、傷んでいる骨を切除したり、人工関節(インプラント)の正確な設置をサポートします。


【ロボット手術とは】

ロボット手術は米国で開発され、ヨーロッパ、アジア諸国ですでに導入されており、これまでに20万件を超える手術実績があります。人の手のようにぶれることがなく、正確に動き、止まるので、ナビゲーションで計画した通りに手術器具を移動することができます。人工関節の固定も、正確な角度で設置することが可能です。このロボット手術は少しでも計画から外れた動きをしようとすると停止します。ナビゲーションシステムとあわせて使用することで、治療計画通りの安全かつ正確な手術を可能にします。


●ロボット手術は、保険診療で受けることができます。
●ロボット手術が適さない関節痛もあります。詳しくは、整形外科の担当医にお尋ねください。


予約・問合せ :コールセンター0800-800-6456
(月~土 9:00~17:00 ※日・祝日除く)

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
12月4日(水) 「頭蓋底外科」
福島孝徳先生との30年にわたる手術歴
脳神経外科(頭蓋底外科部門)
部長 増田 勉 先生
12月10日(火) 動脈と静脈 ~あなたの足は治療適応?~
※12:30よりクリスマスコンサート開催
血管外科 医長
百瀬 匡亨 先生
12月13日(金) 肝機能検査値の見方と肝臓の病気
※11:00/13:00よりプラネタリウム メガスター上映会開催
消化器・肝臓病研究所 所長
井廻 道夫 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
12月5日(木) 甲状腺の病気あれこれ
~手術の観点から~
耳鼻咽喉科 医長 大塚 邦憲 先生 小田急ホテルセンチュリー相模大野
8F 相模野(定員120名)
12月11日(水) がんの高精度放射線治療 高精度放射線治療センター長
森 美雅 先生
ベストウェスタンレンブラントホテル
東京町田/B2F翡翠(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

医学健康講座の最新お知らせはこちらから

2019年10月の救急車受け入れ台数は598台でした。