広報紙 vol.27しんゆりニュースレター

繊細な手術手技により
機能的で整容的な
治療を行う

新百合ヶ丘総合病院
形成外科
部長
くりやま もとね
栗山 元根 医師
【プロフィール】
1997年千葉大学医学部卒業。同年千葉大学形成外科入局。2004年形成外科学会専門医取得。05年国立千葉東病院形成外科医長。07年千葉大学大学院博士号取得。同年高知大学第2外科助教(後に講師)、15年高知大学形成外科診療科長。19年4月より現職。
日本形成外科学会専門医・指導医・評議員/皮膚腫瘍外科分野指導医/小児形成外科分野指導医/千葉大学形成外科非常勤講師

繊細な手術手技により
機能的で整容的な
治療を行う

新百合ヶ丘総合病院
形成外科
部長
くりやま もとね
栗山 元根 医師
【プロフィール】
1997年千葉大学医学部卒業。同年千葉大学形成外科入局。2004年形成外科学会専門医取得。05年国立千葉東病院形成外科医長。07年千葉大学大学院博士号取得。同年高知大学第2外科助教(後に講師)、15年高知大学形成外科診療科長。19年4月より現職。
日本形成外科学会専門医・指導医・評議員/皮膚腫瘍外科分野指導医/小児形成外科分野指導医/千葉大学形成外科非常勤講師
  • 2019年4月より前任医師の退職に伴い、形成外科部長として診療を開始いたしました。

    形成外科は、「体表に現れる病的問題点を、外科的手技により治療する」診療科です。「再建外科」と「美容外科」に大別されますが、当院では主に「再建外科」を中心に診療を行っています。1970年代に独立した診療科として法整備された比較的若い科ですが、近年は診断・治療・基礎研究なども成熟化が進み、先天性形態異常・外傷・皮膚軟部腫瘍外科・マイクロサージャリーなどの専門化が進んでいます。

    昨年度までの当院の形成外科では、皮膚・軟部腫瘍を中心に、顔面骨骨折、交通外傷も含めて年間500~600件程度の手術の実績があります。しかし、人口の増加や高齢化、多摩地区における形成外科専門医の不足などに伴い、当院における形成外科診療の需要も増え、さらに高度な専門性も求められていると感じています。現在は常勤医1名と非常勤医3名の体制のため、これらの要望に十分にはお応えできていない状態ですが、本年10月からの常勤医増員も決まっており、それに伴って外来診療を月曜日か

  • ら土曜日まで週5日開設するとともに、救急の要請にも積極的に対応していきたいと考えています。

    私は形成外科学会専門医と博士号を取得後、形成外科医不在の高知大学に赴任して診療科を開設するとともに、主に外傷や悪性腫瘍切除後の組織欠損に対してマイクロサージャリー技術(顕微鏡下手術)を使用した再建手術に携わりました。乳腺外科と連携した乳房再建、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科との頭頸部再建、整形外科との四肢軟部組織再建など、身体のあらゆる部位の変形や欠損について、機能的かつ整容的な改善を図ることを専門としています。様々な他の診療科と連携して治療に携わることも多く、チーム医療を大切にしながら患者さんやご家族と真摯に向き合ってきました。

    今後も地域の医療に携わる先生方と連携を深めながら、「あの病院の形成外科に良い先生がいるよ」と噂されるように、質の高い医療を提供するとともに、コミュニケーションを大切にした信頼される医師を目指します。

形成外科の疾患と治療

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

乳房再建

乳房再建

日本では乳がん罹患率が上昇し、現在は女性11人に1人が発症するといわれています。2012年から人工乳房(乳房インプラント)が保険適用になったことを契機に、乳房再建を行う乳がん患者さんが急増しました。乳房再建には、インプラントの他に、自分の身体の一部(下腹部や背中の皮膚・脂肪や筋肉など)を移植する自家組織再建があります。

インプラントは体への負担が少ないですが、感染や変形などの長期的なリスクを伴います。自家組織再建は手術時に身体的な負担がある一方、これらの長期的なリスクはありません。また、発生頻度は稀であるものの、近年悪性リンパ腫(ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫:BIA-ALCL)の発生が報告され、日本でもインプラントの自主回収が開始されました。すでにインプラントでの乳房再建をされた方は、予防的に摘出する必要はないとされていますが、より注意深い長期の経過観察が必要となります。そのため、当院でも当面は自家組織による乳房再建を中心に行っていく予定です。

自家組織再建

眼瞼形成

顔は整容的に非常に重要なため、形成外科的な技術が最も必要とされる部位です。「目は口ほどに物をいう」の例えがあるように、目、特に眼瞼(まぶた)の動きや形は非常に重要です。逆さまつげ(睫毛内反)、眼瞼下垂、眼瞼外反や、眼瞼のしこり(腫瘍)などを手術的に治療しています。

眼瞼下垂では実際に視野が狭くなるほど眼瞼が下がってしまう前に、「目が重だるい」「目が開けにくい時がある」などの症状が出ます。また、頭痛や肩こり、自律神経失調症などの症状が出ることも分かっています。加齢による眼瞼下垂では、早い人ですと40歳代から症状が出始め、花粉症で目をこすってしまう方、コンタクトレンズを装着している方では、症状の出現が早まります。知らずしらずのうちに眉毛を上げて、おでこにシワを寄せて物を見ている人は眼瞼下垂の初期症状かもしれません。

皮膚軟部組織腫瘍

身体の各所にできるイボ・ホクロ・しこりなどの皮膚軟部組織腫瘍は、がんの可能性もあります。良性のものでも部位によっては生活上邪魔であったり、整容的に不具合があったりすることもあります。比較的大きなサイズのものでは入院手術が必要ですが、小さいものでは日帰りの外来手術が可能です。切除したものは病理検査を行い、悪性の細胞がないかきちんと診断をします。可能な限り目立たない傷痕(瘢痕)になるように手術を工夫しています。

臨床検査科コラム

心電図検査


診療検査科 生理検査室 巻嶋 渚沙


心電図とは

表1

心臓は1分間に約60~80回、1日に10万回以上休むことなく拍動を繰り返し全身に血液を送っています。その心臓の検査で最も基本的なものが心電図です。通常、病院で実施するのは標準12誘導心電図というもので、当院でも行っている検査です。電極を手首・足首・胸部に取り付け、心臓の拍動によって発生する電気活動を波形として記録します。検査中に体が動いてしまったり、力が入ってしまうと波形に影響が出てしまいます。ベッドに横になっていただくだけの簡単な検査ですが、不整脈・心筋梗塞・狭心症などを調べる上でとても重要です。

心電図の種類

上記で紹介した標準12誘導心電図は簡単な検査ですが、万能な検査ではありません。例えば、胸痛や動悸など何か症状が出ないと心電図に異常が出ない方では、検査を受けている時に必ず症状が出るとも限りません。その弱点を補うものが、運動負荷心電図や24時間ホルター心電図といったものです。運動負荷心電図は、運動時や運動後に症状がある方に有効な検査です。24時間ホルター心電図は、いつ異常波形が出ているのか確認したい時、日常生活で症状が出る方に有効な検査となります。

前述いたしました標準12誘導心電図は一番基本的で簡便な検査です。気になる症状がありましたら躊躇せず、心電図の検査をご希望されてはいかがでしょうか。

アンギオで撮影した頭部の血管と肝臓の血管

専門外来のご案内

腫瘍外来

腫瘍外来

たけだ ひろゆき
武田 弘幸 先生

非常勤医(聖マリアンナ医科大学 腫瘍内科 臨床腫瘍学 助教)
医学博士/日本内科学会認定内科医

がんに対する薬物治療を中心に、患者さん一人一人に最適な治療法を提案する外来です。

外来の特徴

およそ2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるといわれ、がんはけっして稀ではなく身近な病気となっています。がんに対する薬物治療は、再発あるいは転移したがんに対する有効な手段であり、また手術や放射線治療と組み合わせることで、それらの効果を高めることができる治療法です。近年、がんに対する薬物治療は大きな転換期を迎えており、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、治療成績が格段に向上してきています。最新の医学的根拠をもとに最善と考えられる治療のことを標準治療といい、腫瘍外来ではそれを実践することを第一として、がんを抱える患者さんに最適な治療法を提案します。

主な対象疾患、その治療方法

消化器がん(食道がん・胃がん・膵がん・胆道がん・大腸がん)、原発不明がん(がんの転移が判明しているものの十分な検査を行ってもがんが発生した臓器が特定できないがん)、その他、稀ながん(神経内分泌腫瘍や軟部組織腫瘍、消化管間質腫瘍[GIST]など)の薬物治療を主に担当しています。その他、各診療科にまたがる難解な病態についても(例えば、肺がんと乳がんの合併など)、臓器横断的な診療科の立場から治療法に関するアドバイスも行っています。また、がんに伴う症状や、治療によって起こる副作用の軽減を目的とした支持療法(吐き気・嘔吐に対する治療、痛みに対する治療など)にも積極的に取り組んでいます。

近年、オーダーメイド医療や個別化医療と呼ばれ、個々のがんが持つ遺伝子異常に基づいた治療の開発が進んでいます。2019年6月にがんの遺伝子パネル検査(多数の遺伝子異常を同時に調べることのできる検査)が保険適用となりました。現在、対象となるのは標準治療がない、あるいは終了見込みの進行がん(白血病を除く)の患者さんに限られますが、遺伝子異常に基づいた治療を受けられる可能性があり、いま期待されている医療です。検査の適応があり、希望される患者さんには検査が可能な施設への紹介を行います。

患者さんへ

現在は、がんに対する多くの薬物治療を、外来通院しながら受けることができます。がんを抱える患者さんが、できるだけ普段の生活を送りながら治療を受けられるように、患者さん一人一人の生活や考え方に合わせて最適な治療を提案します。腫瘍外来の受診を希望される方は、主治医とご相談の上、受診していただくようにお願いします。

診察日

◆月曜日 9:00~12:00/14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
10月2日
(水)
脳卒中の(在宅)リハビリテーション
~予防や最新治療について~
リハビリテーション科
科長 松本 浩一
10月15日
(火)
形成外科による再建手術
~機能的かつ整容的回復を目指して~
※12:30より東京交響楽団ミニコンサート開催
形成外科 部長
栗山 元根 先生
10月17日
(木)
漢方のはなし~
漢方で「元気」になる~
内科
医長 松元 かおり 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
10月8日
(火)
狭心症・心筋梗塞
~気づかれない心臓の病気~
循環器内科 土方 禎裕 先生 永山公民館/
5F ベルブホール(定員120名)
10月25日
(金)
すい臓がんについて
~症状・診断・治療戦略~
副院長/外科部長 田辺 義明 先生 調布クレストンホテル/8F
クレストンルーム(定員120名)
10月29日
(火)
手のふるえの新しい治療 脳神経外科(機能外科部門)
部長 仲野 雅幸 先生
小田急ホテルセンチュリー相模大野
8F 相模野(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2019年8月の救急車受け入れ台数は669台でした。