広報紙 vol.26しんゆりニュースレター

手のふるえは、保険のきく
集束超音波治療(FUS)で
治せるようになりました

新百合ヶ丘総合病院
脳神経外科(機能外科部門)
部長
なかの まさゆき
仲野 雅幸 医師
【プロフィール】
1986年福島県立医科大学医学部医学科卒業。同年福島県立医科大学脳神経外科入局。大学病院・関連病院勤務。 98年(財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院附属福島医療クリニック勤務。2002年(財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院勤務。08年(財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院副院長。12年(一財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院院長代行。19年より現職。
日本脳神経外科学会専門医・指導医/日本脳卒中学会専門医/日本定位・機能神経外科学会技術認定医

手のふるえは、保険のきく
集束超音波治療(FUS)で
治せるようになりました

新百合ヶ丘総合病院
脳神経外科(機能外科部門)
部長
なかの まさゆき
仲野 雅幸 医師
【プロフィール】
1986年福島県立医科大学医学部医学科卒業。同年福島県立医科大学脳神経外科入局。大学病院・関連病院勤務。 98年(財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院附属福島医療クリニック勤務。2002年(財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院勤務。08年(財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院副院長。12年(一財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院院長代行。19年より現職。
日本脳神経外科学会専門医・指導医/日本脳卒中学会専門医/日本定位・機能神経外科学会技術認定医
  • 皆さん、こんにちは。本年4月に当院に着任しました、脳神経外科・機能外科部門の仲野雅幸です。

    脳神経外科は、脳や脊髄、末梢神経に関する疾患、すなわち脳血管障害(脳卒中)、脳腫瘍、脊髄末梢神経疾患、頭部外傷などを扱います。機能外科という言葉は聞き慣れないと思いますが、「機能的脳神経外科」ともいい、脳や神経に直接手を加えて治療を行う分野です。例えば、脳卒中の手術に際しては、手を加えるのは血管や血腫であり、直接脳に手を加えるわけではありません。脳腫瘍の場合も、特別なことがない限り、脳を摘出することはありません。機能的脳神経外科は、活動が過剰な脳の一部分に手を加え、脳の活動を調節することで治療効果を得るものです。

    さて、当院へは、日本で最初に「MRガイド下 集束超音波治療器 ExAblate 4000」という最先端の治療器が導入されておりました。集束超音波治療(FUS: focused ultrasound surgery)は、皮膚の切開が不要で、脳の深部を治療できる方法です。その原理は、約1000本の超音波を正確に一点に集中させ、そのエネルギーで目標部分の温度を上昇させ、熱凝固することで

  • 治療効果を得るものです。この治療は、従来は皮膚を切開して穿頭(頭蓋骨に穴を開ける)し、凝固電極を脳に刺入して通電することで行われていました。また、凝固の代わりに電極と脳刺激装置を体内に植え込んで行う脳深部刺激療法(DBS)もありますが、これも皮膚切開や穿頭、全身麻酔が必要です。これらの治療法に比べると、FUSは極めて低侵襲的で体にやさしい治療法といえます。FUSの治療器は、現在日本国内では当院を含めてたったの9施設でしか稼働していません。

    令和元年6月に、「本態性振戦」(明らかな原因がなく、ふるえのある状態)に対するFUSが保険適用となりました。FUSは、今まで手のふるえで不自由していたけれども、かといって頭に穴を開ける治療までは怖くて受けられない、という方にも安心して受けていただける治療法です。保険適用となったことで、今後さらに普及し、発展していくことと思います。ふるえのために不自由をされていた方々には、この治療によって、もう一度日常生活や仕事を取り戻していただきたく思いますし、また、最先端の治療器を有する病院の使命として、うまくそのお手伝いができれば、と考えています。

手のふるえで悩むあなたへ
FUS(集束超音波治療)センター

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

FUS(集束超音波治療)とは

FUS(集束超音波治療)とは
左から、大内医師〈神経内科〉、仲野医師〈脳神経外科(機能外科部門)〉山口医師(放射線診断研究所)、岩室医師〈順天堂大学医学部附属順天堂医院〉髙崎医師〈麻酔科〉、堀〈診療放射線技師〉

MRI画像を用いて脳深部にある振戦(ふるえ)の神経活動が異常な部分に、超音波のエネルギーを集中させて照射し、熱凝固することで、ふるえを軽減させる治療方法です。外科治療とは異なり、頭を切らずに治療を受けることができます。

また、被ばくを伴う放射線治療とも異なっています。患者さんの症状を見ながらの治療が可能で、有害事象が生じた場合には直ちに中止できます。入院期間が短く、身体への負担が少ないため、患者さんの早い社会復帰が期待できます。

「FUS」Q&A

問① FUSの治療の流れはどのようになっていますか?

答① FUSの流れは以下の通りです。

1)
全剃髪 : 髪があると超音波の通過の妨げとなるため、剃髪が必要です。
2)
局所麻酔でフレームを頭に取り付けます。
3)
MRI室で寝台に臥床していただきます。この際、頭部はフレームと共に固定されますので、頭を動かせなくなります。手足は動かせます。
4)
頭部にゴムの帽子をかぶっていただき、その中に冷却水を流します。これは、皮膚の温度が熱くなるのを抑えるためです。
5)
MRIを撮像して、目標となる治療部位を決め、超音波を軽くあてて、その部位に正確に照射されているかどうかを確認していきます。この際、症状が良くなるかどうかも確認します。
6)
本治療を行います。本治療ではそれまでよりも高エネルギーの超音波を2回から3回程度照射します。
7)
振戦の改善と、MRIで凝固巣が確認できたら治療は終了です。

問② 治療の時間はどのくらいですか?

答②
フレームをつけてから外すまで、約3時間です。4時間を超える場合も想定されます。

問③ 痛みはありますか?

答③
フレームの取り付けは、頭蓋骨にピンを当てることになりますので、局所麻酔薬の注射が必要です。注射の最初に痛みを感じますが、麻酔が効いてくると痛みは消失します。また、超音波照射中、頭蓋内の硬膜の温度も上昇し、痛みを感じることがあります。これに対しては、治療開始時から麻酔科の医師が一緒について、点滴などを用いて痛みを調節緩和いたします。

問④ 効果はいつ頃現れますか?

答④
治療には神経内科の医師が一緒に入り、神経症状を診ますので、治療効果はすぐに現れます。

問⑤ 合併症や、副作用などはありますか?

答⑤
治療中生じる恐れがあるのは、頭痛、めまい、吐き気が代表的なものです。それぞれ麻酔科の医師が対処いたします。術後に生じるものとして、ふらつき、顔面・頭皮のむくみが頻度としては多いですが、ほぼ一過性です。

問⑥ 安全な治療でしょうか?

答⑥
治療には、脳神経外科、神経内科、麻酔科、放射線科の4科の医師が同時に関わります。放射線科の医師は、画像上治療目標点を正確に確認します。また温度の上昇点が正確かどうか、常にモニターされています。目標でない部位の温度上昇が出た場合にはすぐに治療を停止できますし、治療器には温度のリミットを設定しているので、安全といえるでしょう。

問⑦ 入院期間や費用はどのくらいかかりますか?

答⑦
入院期間は約1週間です。ふらつきなどの症状が続く場合にはリハビリテーションを行っていただきますので、その際は入院が長くなる可能性があります。費用については保険適用となり、3割負担で40万円前後です(高額療養費制度を利用すると自己負担が軽減されます)。また別途食事代・個室代・テレビ代などの費用もかかります。詳しくは当院入院窓口までお問合せください。

放射線科コラム

血管造影装置について


診療放射線技師 山崎 理貴


◆はじめに

血管造影検査とは、X線透視下でカテーテルという細い管を使用し、血管内に造影剤を注入し病変を写し出す検査です。「IVR」とは「interventional radiology」の略語であり、血管造影検査により写し出された病変に、バルーンと呼ばれる小さな風船や、ステントと呼ばれる金網など、様々なデバイスで治療を行うことをいいます。これらには血管撮影装置が使用され、当院では様々な診療科が多岐にわたり検査・治療を行っています(表1)。

◆当院の血管撮影装置

表1.2018年血管撮影装置を活用した治療実績

当院の血管撮影装置

当院では、循環器専用血管撮影装置(Canon)と多目的血管撮影装置(SIEMENS)の2台の血管撮影装置を有しており、共に新しいX線検出器であるフラットパネルディテクタと最新の画像処理技術により、従来よりも高精細な画像をより低被曝で得ることができます。同時に2方向からの透視・撮影を行うことが可能なバイプレーン方式を採用しており、検査時間の短縮化、造影剤量の低減が図れます(図1)。

また、Cアームを回転させて得られた画像から、簡易的CT画像を作成することができます。 さらに回転3Dアンギオも可能で、作成した3D画像から血管の走行を確認し診断や治療に役立てています(図2)。血管内治療の支援に高い精度と高効率をもたらします。

バイブレーン方式血管撮影装置 アンギオで撮影した頭部の血管と肝臓の血管

◆おわりに

当院では、血管造影検査・IVRに熟練した医師だけでなく、専門的な知識と技術を持つ「日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師」が在籍し、治療内容に合った多種多様な画像支援で安全かつ円滑に医師が治療を進められるよう努めています。さらに、血管撮影装置の安全管理と放射線防護の最適化にも努めています。

専門外来のご案内

小児外科外来

小児外科外来


小児科

いとう やすお
伊藤 泰雄 先生

1968年慶應義塾大学医学部卒業。69年慶応義塾大学医学部外科学教室助手。74年ハーバード大学小児外科研究員。80年杏林大学医学部第1外科講師。94年杏林大学医学部小児外科教授。2009年国際医療福祉大学熱海病院小児外科教授。12年杏林大学名誉教授。15~19年武蔵野徳洲会病院小児外科部長。 日本外科学会専門医・指導医/日本小児外科学会専門医・指導医

小児外科外来では、15歳までの子どもの消化器病と一般外科を診察いたします。当院の小児外科は、 小児科の一専門外来であり、小児診療の一環として小児科と密に連携している点に特色があります。

外来の特徴

当外来では火曜日に一般外来を、金曜日に舌小帯外来を行っております。一般外来で扱う疾患としては腹痛、血便、便秘などの消化器病の他、鼠径ヘルニア(脱腸)、陰嚢水腫、停留精巣、移動精巣、臍ヘルニア(出べそ)、肛門周囲膿瘍、痔瘻、裂肛(切れ痔)、外痔核、包茎、包皮炎などがあります。舌小帯外来では、舌小帯短縮症と上唇小帯短縮症を診察しています。これらの病気については、次の項でご説明いたします。

舌小帯短縮症と上唇小帯短縮症の主な症状とその治療方法

舌小帯短縮症や上唇小帯短縮症は、舌や上唇の裏側にある粘膜組織が引きつれているために、生まれつき舌や唇の動きが悪い病気です。そのため赤ちゃんの時期に哺乳が上手にできなかったり、3~5歳になって発音がはっきりしなかったりします。日本小児科学会が2001年に舌小帯短縮症と哺乳は関係がないので治療の必要はないという声明を出したため、以来、全国の小児科医や助産師がこの病気に関心を示さなくなってしまいました。ところが最近、欧米では母乳栄養が推奨され、舌小帯短縮症や上唇小帯短縮症の早期治療が推奨されています。当院は舌小帯・上唇小帯短縮症を新生児、乳児期から積極的に治療して成果を上げている全国でも数少ない施設です。そのため遠方からも患者さんがお見えになります。舌や上唇の裏に水かきのような膜があり、哺乳が下手、授乳時に乳首が痛い、舌先がハート形、舌が短い、滑舌が悪い(あるいは将来の滑舌が不安)といった症状がある方は、どうぞご相談ください。1歳以下であれば舌小帯や上唇小帯は局所麻酔で切開できるので日帰り入院で済みます。1歳を過ぎると全身麻酔での形成手術が必要となる場合があり、その際は2泊3日の入院になります。

患者さんへ

小児外科外来は小児科と連携して地域貢献を目指しています。当科の診療能力を超えると判断される場合は他の小児専門施設へご紹介いたしますので、お気軽に受診してください。また舌小帯外来を初めて受診される場合は診察に時間がかかりますので、必ず電話で予約をしてください。

診察日

◆火曜日・金曜日 9:00~11:30
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
9月12日(木) あなたを支える緩和ケア
~がんと診断された時から~
緩和ケアチーム
田辺義明先生・中西英世先生・戸部有希子先生・榎本史子看護師・関塚 大薬剤師
9月13日(金) 本当に必要? 胃カメラ・大腸カメラ 消化器内科
医長 大久保 恒希 先生
9月17日(火) 手のふるえの新しい治療 脳神経外科(機能外科部門) 
部長 仲野 雅幸 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
9月20日(金) 股関節の痛みと治療法
~人工関節手術はこわくない~
整形外科 医長
小林 大悟 先生
ベストウェスタンレンブラントホテル
東京町田/B2F翡翠(定員120名)
9月24日(火) 前立腺がんの手術治療 泌尿器科 医長
鹿島 剛 先生
小田急ホテルセンチュリー相模大野
8F 相模野(定員120名)
9月25日(水) 自分でできるフットケア教えます
~自分の足でいつまでも歩けるように~
看護部
神川 由美子
小田急ホテルセンチュリー相模大野
8F 相模野(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2019年7月の救急車受け入れ台数は642台でした。