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世界最高レベルの放射線治療を目指す

新百合ヶ丘総合病院
高精度放射線治療センター センター長
もり よしまさ
美雅 医師
【プロフィール】
1985年名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院で臨床研修。小牧市民病院ガンマナイフ部長。名古屋大学病院脳神経外科医員。半田市立半田病院脳神経外科部長。ピッツバーグ大学画像誘導脳神経外科手術センターに2年間留学(1996年4月~1998年3月)。名古屋共立病院院長。名古屋市立大学病院准教授。愛知医科大学教授。2018年8月より現職。
医学博士/日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医・指導医/日本脳神経外科学会脳神経外科専門医・指導医/日本救急医学会救急科専門医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 当院では2012年の開院当初から、ピンポイント放射線治療に優れた、コンピューター制御ロボットのサイバーナイフ治療を行ってきました。さらに2017年からはIMRT(強度変調放射線治療)が正確に行える最高峰の汎用リニアック型治療機のバリアントゥルービーム(エグザクトラック位置合わせ装置付き)を稼働して、がん治療の三本柱の一つの放射線治療(他は手術治療と薬物治療)を2台体制で行っています。私は昨年(2018年)8月から当施設に着任し、半年ほどになりました。これまでも治療経験豊富な宮﨑紳一郎医師、西川敦医師が診療に携わっていましたが、最先端の放射線治療を、さらに発展させたいと思っています。

    手術ができないので放射線治療、というのは過去の話で、放射線治療はがん治療の強力な武器です。初期がんではピンポイントの放射線治療が標準治療となる場合があります。がんが少し広がってきていても、手術・放射線の局所療法と、薬物治療の全体治療をうまく組み合わせて完治をねらいます。進行したがんでも放射線治療をうまく使って進行を遅らせたり、症状を軽くしたりできる場合もあります。最近では、根治治療と緩和治療の

  • 中間の状況となりますが、オリゴメタスターシス(少数転移)、オリゴプログレッション(少数進行)、オリゴリカーレンス(少数再発)の状況でも、積極的にピンポイント局所治療を加えることを検討します。また、アブスコパル効果(一部のがん病巣を放射線治療すると、がん細胞に対する免疫が活性化され、他の離れたがん病巣も縮小する)をねらった治療も考慮した方がよい場合もあります。

    私はこれまで、2年間のUSA留学以外は名古屋地方でガンマナイフ、サイバーナイフ、トモセラピー、ノバリス、バリアントゥルービームなど、種々の高精度放射線治療機器による脳・全身の治療に携わっていました。当院のサイバーナイフ、トゥルービームの2台体制はバランスがよく、患者さんのあらゆる状況に広く対処できる組み合わせです。また、がんの種類によっては必要に応じて当グループ関連施設の陽子線治療、BNCT(ヨウ素中性子捕捉治療)を勧めることもできます。この関東地方でも、各々の機器の特性を活かした、患者さんの状況に最適な低侵襲高効果の高精度放射線治療を提供していきたいと思っています。

高精度放射線治療センター/放射線治療科

診療時間:月曜から金曜までの午前中
放射線治療科を受診の際は事前のご予約が必要です
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

あきらめないがん治療に向けて

当施設では当院医師からだけでなく、他施設医師からの放射線治療紹介症例を多数受け入れています。紹介元の主治医の先生がたと連携して、患者さんの状況に合わせて、低侵襲(体にやさしい)で効果の高い高精度放射線治療を行います。

オリゴメタスターシス

オリゴメタスターシス(少数転移)・
オリゴプログレッション(少数進行)・オリゴリカーレンス(少数再発)

全身的に見て、がんの転移箇所が少なければオリゴメタスターシス、薬物治療などで散らばった他の小さい転移が治まって一部の腫瘍だけ増大しているだけならオリゴプログレッション、再発しても少ない箇所に限局していればオリゴリカーレンスといって、可能ならばピンポイント照射を組み合わせて治療することも検討されるようになってきました。免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できれば、アブスコパル効果をねらった部分的な放射線治療も有効である可能性があります。

サイバーナイフ・トゥルービーム

アブスコパル効果

一部のがん病巣を放射線治療すると、がん細胞に対する免疫が活性化され、他のがん病巣も縮小する現象です。免疫治療を行いながら脳転移(2カ所)をガンマナイフ治療したら、脳転移だけでなく肺がん自体と、もう1カ所の離れた肺内転移も著明に縮小した80歳代男性例、化学療法を継続していた卵巣がん手術後の方で3カ所肺転移が生じ、まず2カ所をサイバーナイフ照射治療した数カ月後に、もう1カ所の肺転移も縮小した50歳代女性例を経験しています。

FDG-PET検査

FDG-PET検査

国民の3人に1人ががんで亡くなるといわれています。がんの早期発見には検診を定期的に受けること、何か症状があれば早目に医療機関を受診することが大切です。当院でも行っているPET検査は、がんの診断に優れ、5ミリのがんも見つけられます。また、PET検査は進行がんでもがんの広がりを的確に把握するために重要な検査です。当院では、品質の高いPET診断態勢が高精度放射線治療を支えています。

放射線科コラム

マンモグラフィのススメ~乳がんの基礎知識~

放射線科 診療放射線技師 古田 恵美子


乳がんとはどんな病気?

マンモグラフィのススメ

現在、女性がかかるがんの1位を占めているのが乳がんです。乳がんは乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍であり、症状は、しこり、痛み、血液が混じったような分泌物が出るなど実に様々です。発症率は11人に1人のデータもあり、日本人女性の乳がん患者は急増しています。

乳がんは早期発見・早期治療が大切!

乳がんは早期に発見、治療することにより、2センチ以下のしこりで、リンパ節への転移がない状態であれば、10年の生存率が約90%まで上昇します。

早期発見のためにはどうすればいいの?

早期(病期0期・Ⅰ期)の乳がんは症状がほとんどなく、自己検診で気づくのは難しい。→マンモグラフィによる定期的な検診が乳がんの早期発見に有効です。

マンモグラフィ検診について

マンモグラフィ検診について

現在、日本では40歳以上の女性に対して2年に1回のマンモグラフィによる乳がん検診が推奨されています。現在、日本での40歳以上のマンモグラフィや乳房超音波による乳がん検診の受診率は20%程度です。この数値はアメリカ50%、イギリス70%の受診率と比較すると非常に低い値となっています。この結果、わが国では乳がん発生率が増加し、それに比例する形で乳がん死亡率も増加し続けています。

マンモグラフィってどんな検査?

マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影のことです。乳がんの初期症状のひとつであるごく小さな石灰化や腫瘍などを発見することができます。乳房を板で挟み込み、薄く伸ばして撮影します。薄く伸ばすことによって腫瘤と正常な乳腺の重なりが少なくなるため、がんが見つけやすくなります。また、放射線被ばくも少なくすることができます。検査時間は約10分~15分程度です。放射線被ばくを避けたい妊娠中の方、若年の方、痛みに弱い方などには超音波検査が適しています。

当院ではさらに精密な3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)撮影が可能です

当院ではさらに精密な3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)撮影が可能です

トモシンセシス撮影画像により、これまでの2Dの画像では観察が難しかった部分もより明瞭に見ることができ、見つけにくかった病変を発見しやすくなりました!

従来のマンモグラフィ撮影に加え、角度を変えて複数の方向から撮影し、収集したデータを3次元的に再構成して断層像を作成できる最新撮影技術です。右記の写真のように従来の撮影(2D撮影)では、乳腺内に隠れて見えなかった病変も、高画質なトモシンセシス(3D撮影)により見つけ出しやすくなります。当院では、外来でのマンモグラフィ受診の方には全員にトモシンセシス撮影を行っております。

当院では、マンモグラフィ撮影認定放射線技師を含む数名の女性技師が撮影を担当します。わからないことがありましたら遠慮なく質問してください。

専門ドック PET-CTがんドック

PET検査とは・・・

陽電子放射断層撮影装置のことで、ポジトロン・エミッション・トモグラフィーの略語です。カメラを用いて全身や心臓、脳などにおいて、病気の原因や病巣、病状を的確に診断する新しい検査法です。 検査では、まず陽電子(ポジトロン)を放出する検査薬(おもにブドウ糖と結合させた18F-FDG)を静脈から注射します。その陽電子が、体内のブドウ糖を過剰に摂取する細胞(代表的なものはがん細胞になります)から放出されたガンマ線を見つけ出します。それをカメラでスキャンすると、その部分が光って見えるためがんの早期発見が可能となります。がん細胞は正常な細胞に比べて約3~8倍のブドウ糖を消費する性質があり、その細胞の性質を利用して、PET検査は主にがん検診として利用されます。微小であっても悪性度の高いものであるかどうかの判断が可能であり、予想外の発見や、早期発見につながります。 また、治療方針を早く決めることができます。

こんな方におすすめです

・PETがん検診の積極的な対象は、中・高年者(特に50歳以上)が望ましいといわれています。
ただし、遺伝的に高い発がんリスクを有する方はこの限りではありません。
・がんの家族歴、喫煙などの危険因子を有するハイリスクな方に重点的にお勧めします。
※ご不明な点については、検診を受ける際に担当者にご相談ください。


PET検査の流れ ※完全予約制

安全性の高い検査

PET検査は胃のバリウム検査よりも低い被ばく量です。尿の排出などで翌日にはほとんど体内に残りません。副作用の心配もありません。

所要時間/約4時間 価格/108,000円(税込)

※毎週水曜日はレディースデイです。詳しくはお問い合わせください。
※人間ドック・PET-CTドックには昼食が含まれております。検査後、2階 「レストランNABE」にてお好きなお料理をお選びください。

予約・問合せ

予防医学センター TEL 0120-700-098
(受付時間 9:00~17:00 ※日曜・祝日・当院指定の休日を除く)

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
3月6日(水) 高齢者のひざの痛み
~変形性膝関節症の治療について~
整形外科
医長 松田 蓉子 先生
3月15日(金) 狭心症・心筋梗塞 ~気づかれない心臓の病気~ 循環器内科
土方 禎裕 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
3月28日(木) ついに来た!がん治療革命
-その光と影-
耳鼻咽喉科 部長
田路 正夫 先生
調布クレストンホテル8F
クレストンルーム(定員120名)
3月29日(金) ロコモ予防で元気に長生き! 骨軟部腫瘍研究所 所長
別府 保男 先生
小田急ホテル相模大野8F
相模野(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2019年1月の救急車受け入れ台数は709台でした。