広報紙 vol.19しんゆりニュースレター

広報紙 vol.19しんゆりニュースレター

糖尿病患者さんのトータルケアを目指す

新百合ヶ丘総合病院
糖尿病センター センター長
いわもと やすひこ
岩本 安彦 医師
【プロフィール】
東京大学医学部卒業。1973年同第三内科入局。78年~81年米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。帰国後、東京大学第三内科助手を経て83年自治医科大学内分泌代謝科講師。92年同助教授。94年東京女子医科大学第三内科(糖尿病センター)助教授。95年同教授を経て97年同主任教授、糖尿病センター長。2005年~11年同理事(兼)。06年~10年同副院長(兼)。11年~15年同常務理事。15年~18年朝日生命成人病研究所所長。18年4月~現職。東京女子医科大学名誉教授。日本糖尿病学会名誉会員、日本成人病(生活習慣病)学会名誉理事長。日本糖尿病合併症学会名誉会員、日本糖尿病学会指導医・専門医、日本内科学会認定医、日本糖尿病財団理事長。
  • 糖尿病は近年、生活習慣の欧米化と超高齢社会の到来により増加し、「21世紀の国民病」と呼ばれるまでになりました。私が医師としての道を歩み始めた頃には予測していませんでしたので、隔世の感があります。ありふれた、頻度の高い糖尿病が怖い病気であるのは、第一に、発症すると長い間付き合わなければならない慢性の病気であることと、第二には、長い経過のうちにさまざまな合併症が発症し、徐々に悪化する全身の病気であるからなのです。すなわち糖尿病と診断された方は、長期間にわたって治療を続け、合併症を起こさないようにすることが大切です。

    当病院に昨年4月から糖尿病センターが設立され、糖尿病診療に経験豊富な3名の常勤医が新たに加わり、非常勤医も含めて充実した体制が整いました。糖尿病センターでは、糖尿病患者さんの初期治療から、糖尿病合併症やさまざまな併発疾患に苦しんでおられる患者さんの治療に、多職種から成る医療スタッフとともに全力を傾注し、糖尿病患者さんのトータルケアを目指していく所存です。糖尿病センター内での内科医と看護師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、薬剤師との緊密なチーム医療を展開するとともに、腎臓内科、眼科、神経内

  • 科、循環器内科、皮膚科、歯科口腔外科および外科系各科など、幅広い院内他科との連携にも注力してまいります。

    糖尿病診療では治療中断を防ぐことがたいへん重要であります。今後もますます増加が予想される糖尿病患者さんの診療にあたっては、近隣の先生方との医療連携を積極的に推進し、地域としての糖尿病診療体制の充実に努めることが不可欠であり、当センターもそのためのお役に立てればと願っています。

    近年、糖尿病の薬物療法には目覚ましい進歩がみられます。新しく開発された治療薬を、個々の患者さんの病状、病態に合わせて適切に選択していくことが求められています。選択肢が増えてきている中で、私たちは患者さんに適切な治療法を提示・説明し、治療方針を選択してまいります。

    プロフィールにあるように、私自身は幅広い専門家が揃った総合内科の医局で医師としての研修をスタートし、内分泌代謝科、糖尿病センターで長年にわたって研鑽を積み、さらに成人病研究所で生活習慣病の診療と研究に邁進してまいりました。これまでの経験をいかし、当院糖尿病センターの発展に力を注ぎたいと考えていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

糖尿病センター/糖尿病・内分泌代謝内科

◆糖尿病センター/糖尿病・内分泌代謝内科 常勤医師

  • 糖尿病センター センター長 岩本医師
  • 糖尿病センター 部長 西野医師
  • 糖尿病センター 医長 秋山医師
  • 糖尿病センター 医長 宮崎医師

4名の常勤医師のほか、非常勤医師、臨床研修医が外来診療、病棟での診療を担当しています。

◆糖尿病の危険度チェックリスト~早期発見・早期診断のために~

チェック1

  • 近親者に糖尿病の人がいる
  • 肥満している
  • つい食べ過ぎてしまう
  • 運動不足である
  • 心身のストレスが多い
  • 4,000グラム以上の巨大児分娩の既往がある
  • 膵臓や肝臓が悪いといわれたことがある
  • 副腎皮質ホルモン剤を使用している

チェック2

  • 尿の量が多い
  • 体がだるい、疲れやすい
  • よく食べるわりに、体重が減ってきた
  • のどが渇き、よく水を飲む
  • 食べてもすぐにお腹が空く
  • 尿に甘ったるい臭いがある

※項目にあてはまるものが多い方は、早めに健診・検査を受けましょう!

◆糖尿病教育入院プログラムのご案内

糖尿病教育入院とは・・・教育入院は、患者さんやご家族の方に糖尿病を正しく理解していただけることを目 的にしています。糖尿病は治るものではなく、一生付き合っていく病気です。付き合い方を間違えないため にも、病気の正確な知識、食事、運動療法を身につけ、患者さんが意識を持って生活することが重要です。

プログラム内容
医師をはじめ、医療スタッフ(看護師・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・管理栄養士)が患者さんの療育 をサポートします。講義は約30分~1時間ほどです。

糖尿病教育入院プログラム講義内容
入院 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目
午前 運動療法 糖尿病
総論
薬物療法 フットケア針の処分方法 ビデオ学習
糖尿病疾患
壊疽
低血糖
高血糖
心臓疾患
午後 食事療法 回診 糖尿病腎症
ビデオ学習糖尿病総論
糖尿病の検査 シックデイ
災害時の対応
認知症
感染症
退院前
カンファレンス

※糖尿病教育入院プログラムの日程につきましては、入院初日にお配りいたします。日程は変更になる場合がございます。

医療福祉課コラム

考えているよりも「退院」は早いもの

医療福祉課 主任心得 嶋﨑 晃


当院を含め一般病院(急性期医療機関)では、一通りの治療が終了し、急性期(入院治療が必要な状態)を脱すると「退院可能」と判断されます。脳卒中の場合だと、平均2週間から1カ月程度で急性期治療が終了し、合併症などの心配がなくなれば、医師から「退院」を告げられます。
 病気やケガで入院前と同じ状態で退院できるとは限らないことに加えて、いろいろな家庭状況や生活環境からもこの「退院」の言葉に、慌ててしまうことがないよう私たち医療ソーシャルワーカーが、入院当初からできる限り相談しやすい関係を作れるように病室へご挨拶に赴くようにしています。
 「入院したばかりだから…」、「まだ退院といわれていないから…」と退院後に向けて、どうしてよいかわからないことをわからないままにせず、いろいろな選択肢があることを知って、患者さんとご家族で話し合うことが安心した退院に向けて必要であり、そのお手伝いをしたいと考えています。
 入院当初からでも早すぎることはありません。医療ソーシャルワーカー(MSW)へお気軽にご相談ください。

退院支援 在宅復帰までの流れ

専門外来のご案内

めまい外来

  • 武井泰彦医師
  • 「めまい」症状のある患者さんを診察し、原因となる病気を診断し、治療をする外来です。

    耳鼻咽喉科 非常勤医

    たけい やすひこ
    武井 泰彦 先生

1985年慶應義塾大学医学部卒業、同年慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室入局、1994年から1996年までパリのCollege de Franceに留学、国立病院東京医療センター、さいたま市立病院(科長)、杏林大学(准教授)、北里研究所病院(部長)を経て、2016年4月より稲城市立病院(部長)。耳鼻咽喉科専門医、めまい相談医、補聴器相談医。

専門外来の特徴

後述するように、めまいを起こす病気はたくさんあります。めまいの起こる状況や同時に起こる他の症状などからめまいの原因となる病気を診断し、その疾患に最も適した治療を行います。まず、めまいに関する詳しい問診、眼振や起立・足踏みなどの身体所見、聴力検査や起立動揺の検査などを行い、めまいの原因となった病気を診断します。病気を診断したら、投薬、頭位治療、リハビリテーションなどの治療、あるいは生活指導などを行います。

扱う主な疾患

良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、遅発性内リンパ水腫症、めまいを伴う突発性難聴、外リンパ瘻、ハント症候群、内耳炎などの内耳疾患、椎骨脳底動脈循環不全症などの脳の疾患、起立性低血圧、心因性めまい、頭痛に伴うめまいなどの非前庭性疾患などです。耳鼻咽喉科のみで治療できない場合は、その疾患を専門に診察する診療科(神経内科、心療内科など)を受診していただくこともあります。

主な検査・治療

十分な問診を行った後は、診察と検査を行います。すべての患者さんに行う検査は、眼振検査と聴力検査です。眼振は、赤外線CCDカメラを用います。座った状態での眼球の動き(自発眼振)や、寝たり起き上がったりするときの眼球の動き(頭位変換眼振)を診ます。めまいと同時に聴力にも異常が現れる病気と現れない病気があるため、聴力検査はめまいの診断には必要不可欠です。脳に何らかの問題(血管の狭窄、血液循環不全、脳梗塞、脳腫瘍など)がないか確認するために、MRI検査を行うこともあります。特に高齢者では脳に原因のあることが若年者よりも多いため、MRI検査を行うことが多いです。診断がつけば、疾患に応じて最適な治療を行います。良性発作性頭位めまい症であれば、頭位治療(一定の手順に従い頭を動かし、半規管内部の石を半規管から追い出す)が最適です。メニエール病では、薬物治療と生活指導が重要です。前庭神経炎・突発性難聴・ハント症候群などでは、発症直後はめまいの救急治療(安静・補液など)、急性期を過ぎればめまいのリハビリテーション(自宅で、マニュアルに従い体操を行う)が有効です。片頭痛持ちの患者さんに起こるめまいは、片頭痛に対する治療(薬物治療など)が主になります。同様に、不安症・パニック障害の患者さんのめまいには、抗不安薬や抗うつ薬などを投与します。

患者さんへ

めまいを治療するためには、まずめまいの原因となる疾患を診断することが最も重要です。めまいの原因疾患は1回の診察で判明することもあれば、すぐに判明しないものも少なくありません。従って、めまい症状が時間経過によってどのように変化するかを診ることが必要となります。そのため、診断がつくまで何回か通院していただきます。めまいの原因(病態)を明らかにすることにより、最も有効な治療を施すことができます。

診察日(受付時間)

◆第2・4土曜日 14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
2月1日(金) IVRについて
~放射線科領域の低侵襲治療・検査~
放射線診断科
医長 澁川 絢子 先生
2月6日(水) 肝疾患の新しい診断方法
~MREについて~
消化器内科
医長 松井 宣昭 先生
2月13日(水) ~脚の付け根にふくらみはありませんか?~
本当は怖い鼠径(そけい)ヘルニアのお話
消化器外科
医長 弘中 一平 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
2月12日(火) 腎臓病について正しく理解しよう
~ADLを落とさないための選択肢~
腎臓内科 部長
篠﨑 倫哉 先生
調布クレストンホテル8F
クレストンルーム(定員120名)
2月28日(木) 大腸がんのはなし
~早期発見と診断から治療まで~
消化器外科 部長
小林 徹也 先生
調布クレストンホテル8F/
クレストンルーム(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2018年12月の救急車受け入れ台数は593台でした。