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膝疾患の治療・手術に
力を入れています

新百合ヶ丘総合病院
整形外科 部長
さいとう いずみ
齋藤 医師
【プロフィール】
1997年秋田大学医学部卒業。2001年横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学卒業。03年藤沢市民病院整形外科主任。05年国際医療福祉大学付属熱海病院整形外科講師。06年横浜市立大学付属市民総合医療センター難病医療センター助教。07年横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学助教。10年横浜市立市民病院整形外科医長。12年より現職。

日本整形外科学会専門医/日本リウマチ学会専門医
  • 整形外科では、骨折や靱帯断裂などの外傷(ケガ)、変形性膝関節症や変形性股関節症などの慢性疾患などを治療しています。年間の整形外科手術件数はおよそ700件、入院患者さんは常に40人ほどいらっしゃいます。

    特に、変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術と高位脛骨骨切術に力を入れています(詳細は2ページ参照)。軟骨が痛んだ膝を人工の膝に置き換える人工膝関節置換術は、ほとんどの病院が片膝ずつ行っていますが、当院では適応があれば両膝を一度に手術しています。そうすることで患者さんの負担が減り、退院時期も早まります。同じ変形性膝関節症でもスポーツをされる方には、高位脛骨骨切術を施行しています。この手術は、O脚で膝の内側に体重がかかって痛みが生じている膝のすねの骨、すなわち脛骨を切って膝の形をかえて、O脚を直し、痛みを改善させる手術です。人工関節と異なり大きな負荷にも対応できます。また、関節鏡(内視鏡)を用いた膝の前十字靭帯断裂再建術と、半月板断裂縫合術も得意としています。前十字靭帯は、実際の体の中では2本の靭帯からできていますが、この靭帯の断裂に対して、膝の内側の筋肉の腱を移植してそれぞれ作り直しています。実際の解剖に即した再建術なので

  • 「解剖学的二重束再建術」といわれています。また、従来、断裂した半月板は切り取られていましたが、将来的に変形性膝関節症になる可能性が高くなるため、できる限り関節鏡で縫っています。

    当科では、朝と夕方に必ずカンファレンスを行い、患者さんの情報を共有することで、すべての整形外科の医師がどの患者さんにも対応できるようにしています。2020年に新棟が増築されると、回復期リハビリテーション病床ができるので、自宅への退院が難しい患者さんには、そちらの病床へ移っていただくことができるようになります。また新棟増設に伴い手術室が増えるので、さらに手術件数を増やすことも可能になります。現在、外傷の方には手術まで1~2週間お待ちいただいておりますが、その待機期間の短縮が期待されます。

    近隣の病院や診療所の先生方とは、年に数回病診連携会を開催してコミュニケーションをとっています。信頼関係を築くことにより、多くの患者さんをご紹介いただけるようになりました。今後も地域の医療機関とは連携を密にしてまいります。そして、私たちが自信を持っている手術治療を広く知っていただき、ますます地域に貢献していければと思っています。

整形外科~膝の疾患と手術治療~

【 変形性膝関節症 】

歩き出す時や、階段の昇り降りなどの動作のとき、突然膝関節に痛みが走ったことはありませんか? 年齢を重ねるにつれて大きくなる膝関節の痛み…その原因のひとつが「変形性膝関節症」といわれています。変形性膝関節症は、膝関節に発症する慢性の関節炎です。多くが自然に発症してくるもので、レントゲンで関節のすき間(関節裂隙)が狭くなったり、骨棘(こっきょく:骨の一部が骨端部付近で棘状に突出したもの)が認められると変形性膝関節症と診断されます。

人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつおきかえじゅつ)

人工膝関節置換術

現在、変形性膝関節症の手術で最も多く行われているのが、人工膝関節置換術です。関節全体を入れ換えるのではなく、痛みの原因であるすり減った軟骨と傷んだ骨の表面部分を切除して、金属やプラスチックでできた人工の関節に置き換える手術です。痛みの大きな改善と、早期の回復が期待できる治療法です。骨の形は一人ひとり違うため、当科ではオーダーメイド(PSI)で人工骨を作成するシステムを導入しています。患者さんのCTやMRI画像に基づく3次元画像データから、専用の3Dプリンターを用いて製作した人工骨を使用することにより、より正確で安全な人工関節の設置、侵襲・出血量の低減や手術時間の短縮などが期待でき、身体への負担が少ない手術が可能となります。

当院では、適応があれば両膝を一度に手術します。また、膝関節の損傷が比較的軽度の患者さんの場合、膝の片側だけを置き換える部分置換型人工膝関節の手術を行います。全置換型と比べて小さな人工関節のため、骨を削る量や手術の傷も小さく、早期の回復が望めます。

高位脛骨骨切術(こういけいこつこつきりじゅつ)

変形性膝関節症の多くは、ひざがO脚であるために、膝の内側の軟骨が減って痛みが生じています。高位脛骨骨切術は、すねの骨(脛骨)を切って、すこしX脚に矯正する手術です。この手術を施行すると、体重がまだ正常な軟骨が残っている膝の外側にかかるようになり、痛みが軽減または消失します。日々スポーツをされる方、お仕事で体を使う方、O脚が原因で変形性膝関節症でお悩みの方にお勧めする手術です。

高位脛骨骨切術

膝近くのすねの骨(脛骨)の内側から切って、人工骨を挟み込み、金属の板(プレート)とねじ(スクリュー)で固定します。手術後1週くらいから徐々に体重をかける訓練をして、退院は手術後約1ヶ月です。手術後1~2年後にプレートとスクリューを取り除く手術を行います。人工骨は患者さんの骨と置き換わりますので、最終的に体内に金属などの異物は残存しない手術です。この手術が可能な患者さんは、①痛んでいる軟骨が膝の内側だけで、外側の軟骨は正常な方、②O脚が軽度の方(15度以内)、の条件を満たしている方です。

前十字靭帯再建術(ぜんじゅうじじんたいさいけんじゅつ)

前十字靭帯再建術

前十字靭帯は膝の真ん中にあり、繊維が二本に分かれています。受傷直後は腫れや痛みが強いですが、数週間で歩行可能になり日常生活もできるようになります。ただその後も「膝がぐらぐらする」など膝の不安定感、膝くずれ(膝がガクッとずれる)を自覚します。そのまま放置しておくと膝くずれを繰り返し、徐々に関節の軟骨や半月板などの正常組織が損傷する恐れがあります。そこで当院では関節鏡を用いた前十字靭帯再建術に力を入れています。患者さん自身のハムストリング(膝を曲げる腱)を採取して再建靭帯とし、骨に掘ったトンネルに通して金属製の固定具で固定します。昔は二本の繊維を一本として治していたのですが、今は二本それぞれを治すので「解剖学的二重束(前十字靭帯)再建術」と呼ばれています。入院は2週間程度。スポーツ復帰の目途は、筋力の回復具合によりますが、およそ9ヶ月後となります。

半月板縫合術(はんげつばんほうごうじゅつ)

半月板縫合術

半月板は大腿骨と脛骨の間の内側と外側両方にあり、三日月状の形をしています。膝の安定や衝撃吸収などの役割を担っています。半月板損傷は、主にスポーツ中、膝をねじったり無理な負荷がかかったときなどに起こります。受傷直後は腫れや痛みがあり、その後も膝が伸びない、曲がらない、動かした時に音が出る、などの症状があります。保存治療でも改善せず、痛みや機能障害が続き、日常生活やスポーツ活動などが著しく障害される場合、手術が必要になります。半月板損傷は、関節鏡を用いて断裂した半月板の状態を確認し、損傷し縫合が不可能な部分は切除しますが、正常部分はできるだけ残します。縫合が可能な場合は、できる限り半月板縫合術を行っております。

栄養管理科コラム

【適切な食事とは】

「適切な食事」とは、健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを基本とする食生活が、無理なく持続している状態のことです。病気になり「制限食や治療食が必要です」と言われると、「大変だ!」「食べるものがなくなってしまう」などマイナスなイメージしか沸かないかもしれません。しかし、大事なことは、自分の身体の状態に合った食事をすることです。自分の状態をよく知る、栄養・食事の正しい知識を得る、適切な食材を選ぶ、調理や味付けに工夫をするなど、ポイントを抑えると、「制限食・治療食」などの食事療法もただ大変なものではなく「適切な食事」になります。

病院では(各施設で名称は異なりますが)「糖尿病食」「腎臓食」「塩分制限食」「脂質制限食」など病気に合わせた治療食があります。医師の指示に基づき病院食は設定されています。しかし自宅ではどうしていいかわからないと不安になることも多く、やみくもに食べるのを控えればいいかというと、そういう訳ではありません。また、まだ病気と言われていないけれども「予備軍」であり予防が大事など、食事に困る場合は、まず自分を知ることから始めましょう。

『自分の必要量を知る』

(治療食が必要な場合は医師から食事・栄養素量の指示がある場合があります)

自分の必要量を知る

ある日の病院の食事
「春桜(行事食)」
海鮮さくらチラシ/鶏肉の春キャベツのせ/菜の花の煮浸/さくらの和風ゼリー

①まずはあなたの標準体重は?・・・計算してみましょう
身長m×身長m×22=標準体重kg

②あなたの1日の活動状態は?・・・当てはめてみましょう
身体活動量(運動量や仕事内容~体重1㎏に必要なエネルギーの計算)
・軽い労作(デスクワーク・座っていることが多い)の場合=25~30kcal
・普通の労作(立ち仕事が多い)の場合=30~35kcal
・重い労作(力仕事が多い)の場合=35kcal~

③あなたの1日に必要なエネルギー量は?・・・計算してみましょう
標準体重kg×身体活動量kcal=1日に必要なエネルギー量kcal(カロリー)

例:160cm デスクワークが多い人の場合
①適正体重(1.6×1.6×22=)56.3㎏
②身体活動量20~30kcal
⇒③必要エネルギー量 56.3×20~30=1126~1689kcal
必要エネルギー量:1700kcal程度
1回の食事:ごはん中茶碗軽く1杯、主菜…魚の場合80g・豚肉の場合120g、他野菜料理・果物などを目安にする

適正量を知ったら、現在の自分はどのくらい食べているのか、日々の食事量・バランスを見直してみましょう。食事療法は生活習慣病をはじめとする病気の予防に役立ちます。早いうちに「適切な食事」をしていると重度な病気を防ぐことが出来て「きつい食事制限」をする必要がなくなります。もしも医師に病気と診断されても、ある程度の制限を加えた食事療法は、間接的な疾病の改善や病気を悪化させないための重要な役割を果たします。食事療法を嫌なものと思わず、自分を知り自分に合った食生活に逆に楽しむことができるぐらいに気持ちを切り替えてみるのもよい方法です。

適正なエネルギー(カロリー)を守り、食品をバランスよく組み合わせた食事は健康の基本。高齢者、妊婦、交換制勤務労働者など生活ステージに合わせた栄養管理や、メタボリックシンドロームへの対策など生活習慣病予防の観点から、生活習慣、運動習慣、食習慣を見直して本当の自分を把握しましょう。
(栄養管理科 安藤 美和)

食生活指針(文部科学省、厚生労働省、農林水産省)

◇食事を楽しみましょう
◇1日の食事リズムから健やかな生活リズムを
◇適度な運動とバランスのよい食事で適正体重の維持を
◇主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを
◇ごはんなどの穀類をしっかりと
◇野菜・果物・牛乳・乳製品・豆類・魚なども組み合わせて
◇食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて
◇日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を
◇食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を
◇「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう

新百合ヶ丘総合病院 医学健康講座

日時 7月4日(水)14:00~15:00
テーマ 7糖尿病の食事について
講師 栄養管理科
望月 環子 管理栄養士
会場 新百合ヶ丘総合病院 3階
STRホール
予約 不要
参加 無料
※当日、直接会場までお越しください。
※都合により講師が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

専門外来のご案内

粒子線外来 村上昌雄

肝胆膵脾専門外来

肝臓がん・胆道がん・膵臓がんの診断・治療(手術、化学療法、放射線治療)を中心に、胆石症や他肝胆膵脾疾患の診断治療を行います。

たなべ よしあき
副院長・外科部長  田辺 義明 先生

日本外科学会指導医・専門医/日本消化器外科学会指導医・専門医/日本消化器病学会指導医・専門医/日本消化器内視鏡学会指導医・専門医/日本胆道学会認定指導医/日本移植学会移植認定医

専門外来の特長


他の臓器と同様に、肝臓胆道膵臓にも多くの良性悪性疾患がありますが、最近2人に1人ががんにかかると言われ、肝臓がん・胆道がん・膵臓がんも増加してきております。特に膵臓がんは早期発見が難しく、5年生存率はがんの中で低い傾向にあります。そのような肝胆膵領域のがんに対して適確に診断、治療を行っております。

肝胆膵手術は肝切除、膵切除等高難度の手術になりますが、状態と進行度に応じて手術、化学療法、放射線治療を選択、あるいは組み合わせて治療を進めます。また、良性疾患は胆石症が多い傾向で、胆嚢内結石は腹腔鏡下手術を、胆管結石に対しては内視鏡的治療を行い、入院も短期化しています。

主な検査・治療


詳細な問診後、血液生化学検査で炎症所見、貧血、肝機能や黄疸、腎機能、血糖、場合により腫瘍マーカー等の状態を確認します。その後、腹部超音波検査、腹部CT検査で原因となる病態を判断していきます。胆石症であれば、MRCPを行い、治療として多くは腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行します。胆管結石に対しては内視鏡的治療が優先となります。次に悪性疾患に関してはMRI、PET-CTを追加し全身検索を行い、がんの進行度を確認、治療方針を決定していきます。閉塞性黄疸を呈していれば、減黄目的に胆管ステントを挿入し、減黄後がんに対する治療を二段階に分けて進めることもあります。肝臓がんには、原発性肝がん、転移性肝がんがありますが、肝機能を考慮し、原発性肝がんは肝切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈化学塞栓療法を選択、転移性肝がんは手術、化学療法を組み合わせて施行していきます。胆道がんは、手術、化学療法を中心に行っています。膵臓がんは、手術(膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除等)、化学療法、放射線治療を組み合わせて治療します。

患者さんへ


肝胆膵領域がんの中でも、特に膵臓がんは症状出現に乏しく早期発見が難しいといわれています。何か不安な症状、不明な点がありましたらお気軽にご相談下さい。検査治療はガイドラインに沿い、患者さんの希望と個々の状態に応じて相談しながら進め、より良い治療を選択、心身ともに負担の少ない優しい医療を目指しています。

診察日

◆火曜日 14:00~16:00、木曜日 9:00~12:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
7月4日(水) 糖尿病の食事について 栄養管理科 望月 環子
7月20日(金) 生きるを、ともに、つくる ~人とのつながり~
講座前13:00より 「プラネタリウム上映会」 を開催します
看護部長 澤邉 綾子
7月25日(水) 結膜炎はうつる? ~治療と対策まで~ 眼科 医長
嶺崎 輝海 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
7月5日(木) 大腸がんのはなし
~早期発見と診断から治療まで~
消化器外科 部長
小林 徹也 先生
小田急ホテル相模大野
8F相模野(定員120名)
7月12日(木) がん医療のこれからと
食事の工夫によるがん予防
耳鼻咽喉科 部長
田路 正夫 先生
ベストウエスタンレンブラント
ホテル町田/B2翡翠(定員120名)
7月19日(木) 肩の痛みの病態と治療
~その肩の痛みはもしかしたら五十肩では
ないかもしれません~
整形外科 医長
藤澤 隆弘 先生
小田急ホテル相模大野
フェニックスⅢ(定員120名)
7月26日(木) 糖尿病と上手につき合い元気で長生き 糖尿病センター長
岩本 安彦 先生
ベストウエスタンレンブラント
ホテル町田/B2翡翠(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2018年5月の救急車受け入れ台数は587台でした。