広報紙 vol.9しんゆりニュースレター

これからは先制医療で
健康寿命を延ばしましょう

新百合ヶ丘総合病院 消化器内科科長
予防医学センタ ー 消化器内科部長
はかまだ たく
袴田 医師
【プロフィール】
1992年筑波大学医学専門学群卒業。97年筑波大学 附属病院レジデント修了。 2002年筑波大学大学院 卒業。03年つくば双愛病院消化器内科。08年霞ヶ浦成人病研究事業団健診センター。14年6月より現職。

日本内科学会総合内科専門医/日本肝臓学会専門 医/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡 学会専門医/日本人間ドック学会人間ドック健診専 門医・指溝医/B本消化器がん検診学会
  • 当院の予防医学センターは、通常の人間ドック・健康診断の他にPET-CTがあり、全身のがんの発見に大きな威力を発揮していることが特徴です。脳ドック、肺ドック、脂肪肝ドックも行っており、オプションの各種検査も充実しています(内容は2ページに掲載)。
    当センターは2012年の開院時より開設され、開設当初はご利用者がひと月に100人に達しませんでしたが、その後はお蔭さまで年々増加し、現在ではひと月に1,500人以上の方にご利用いただいています。検査では高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、さまざまながんなどが見つかります。生存率が低いために恐れられている膵臓がんが、PET-CTにより治療可能な早い段階で見つかるケースもあります。
    間診医として患者さんと接する際には、できるだけ分かりやすい言葉でシンプルに説明することを心がけています。検査で病気が見つかった場合には、明確な治療方針をご提案して、前向きに治療に臨んでいただけるようお話ししています。
  • 最近は「予防医学」に留まらず、「先制医療」という考え方が広まってきています。これは、将来起こりうる疾患の発症前に診断・予測し、医療的介入をする予防医療のことです。例えば、「 胃がんを予防するためにピロリ菌の除菌治療をする」「 脳梗塞や心筋梗塞を予防するために脂肪肝を治す」ということです。病気の根っこの部分を治してしまえば、大きな病気になることもありませんし、医療費も節約できます。また認知症の予防には「30~40代からの生活習慣病の予防が必要だ」とも言われており、健康寿命を延ばすためには、ますます先制医療に力を入れて取り組むことが重要だと考えています。
    健康診断・人間ドックは一年に一回、何らかのかたちで受けていただくのが望ましいです。当院の予防医学センターでは、これからさらに多くのニーズにお応えできるようシステムを改善していく予定です。ご希望の方はお早めにお申し込みいただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。

予防医学センター

人間ドック・健康診断

人間ドックを受けるということは、病気を見つけ出し、少しでも早く治療をすることです。自覚症状がなく一見健康と思われる方 でも、思わぬ病気が潜んでいることがあります。病気の悪性腫瘍(がん)の初期にはほとんど何の症状もありません。また、まだ若いと思っておられる方にも、種々の生活習慣病が始まっていることがあります。
人間ドック

※当院レストランでの昼食付き

54,000円 受診前日より食事制限があります。受診当日に血液検査等、わかる範囲内での結果説明を行っております。胃検査はバリウム(X線)または内視鏡の選択制となっております。※受診当日の変更はできません。事前のお申し込みが必要です。内視鏡検査は鎮静剤の使用有無が選択できます。※鎮静剤使用時は当日の結果説明はありません。※ご希望の場合は後日、予約をいただいての結果説明となります(約3週間後の結果報告書到着後となります)。
生活習慣病健診 32,400円 受診前日より食事制限があります。胃検査はバリウム検査での実施です。内視鏡検査に変更ご希望の場合は4,320円の追加料金がかかります。
定期健康診断 12,960円 受診当日に食事制限があります。

脳ドック

画像検査にて脳の血管異常や脳腫瘍の有無を調べます。脳萎縮解析検査では頭部MRIの画像を基に早期アルツハイマー診断システム(VSRAD)を使用し、解析処理を行います。物忘れが気になる50歳以上の方にお勧めいたします。
脳ドック

(頭部MRI,MRA検査及び血液検査等)

54,000円
43,200円
脳萎縮解析検査あり(50歳以上推奨)
脳萎縮解析検査なし
脳MRI,MRA検査

(頭部MRI,MRA検査のみ)

48,600円
37,800円
脳萎縮解析検査あり(50歳以上推奨)
萎縮解析検査なし
学会推奨脳ドック 75,600円
64,800円
脳萎縮解析検査あり(50歳以上推奨)
脳萎縮解析検査なし

専門ドック

受診される方のニーズに合わせ、複数のコースをご用意いたしました。
PET‐CTがんドック

※当院レストランでの昼食付き

108,000円 がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む性質を利用します。ブドウ糖に似た薬を体内に注射して、約1時間半安静にしてからPET-CTカメラで撮影します。微小であっても悪性度の高いものであるかどうかの判断が可能であり、早期発見につながります。
肺ドック 32,400円 肺がん、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患の早期発見
検査項目:胸部CT検査、肺機能検査(肺年齢)、腫瘍マーカー(SCC、シフラ、CEA、ProGRP)
所要時間:約30分
婦人科検診

(頭部MRI,MRA検査のみ)

29,160円 検査項目:子宮頚がん細胞診(内診あり)、経膣超音波検査(子宮・卵巣)、感染症検査(クラミジア)、血液検査(貧血、甲状腺ホルモン)、乳がん検査(マンモグラフィー、乳腺超音波)
所要時間:約90分

オプションメニュー

各コースに追加できる検査項目です。単独受診ができます(診察、結果報告書等の文書料として合計金額に別途2,160円がかかります)。受診当日の追加はできませんので、ご希望の方は事前にご連絡ください。
呼吸器/循環器系検査…喀痰検査(肺がん検査)・心臓超音波検査、腫瘍マーカー(血液検査)検査…肺セット・前立腺セット・婦人科セット・消化管セット、CT検査…胸部CT検査・腹部CT検査・ファットスキャン検査(メタボリックシンドロームのCT検査)、脳MRI・MRA検査、消化器系検査…上部消化管内視鏡検査・ピロリ菌検査・ペプシノーゲン検査、婦人科系検査…マンモグラフィー・乳腺超音波検査・婦人科検診・子宮頚がん細胞診・子宮体がん細胞診・経膣超音波検査・HPV検査・婦人科感染症検査、その他…骨密度検査・甲状腺検査

放射線科からのお知らせ

「リニアックとは」

診療放射線科 科長補佐 村上 陽子 診療放射線技師

リニアックとは

リニアックは癌の治療に使われる放射線治療機器です。
治療台の上に数分間安静に寝ているだけの治療で、放射線が当たっている間、体に苦痛を感じることはありません。治療すべき患部が明確であれば、仕事やこれまでの生活を続けながら全身のどの部位でも治療対象となります。がんの種類やステージに合わせて、ひとりひとりの目的に合わせた柔軟な対応ができることがリニアックによる放射線治療の最大の特徴です。 また当院では、専用のコンピュータを用いて照射野の形状を変化させたビームを複数用い、腫瘍の形に適した放射線治療を行う新しい照射方法→強度変調放射線治療(IMRT)を行っております。腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になります。

リニアックによる治療の流れ

1.放射線治療科・リニアック治療部 初診受診

最初に担当医による診察を受けていただきます。治療の適否を判断したうえで、治療の目的、副作用、予想されるスケジュール等を説明いたします。治療にご同意いただけましたら、治療計画や治療開始日の日程調整をします。

2.治療計画

治療計画とは、患者さんおひとりおひとりの病状に合わせた放射線治療を行うための大切な準備作業です。毎日正しく放射線を照射するためには、毎日同じ姿勢で安静に寝ていただくことが必要です。撮影したCT画像から病巣を抽出し、専用の放射線治療計画用コンピュータで検討します。この際、担当医が患者さま個別に最適な治療法を計画するために、十分な時間をかけて綿密な作業を行い、より効果が高く、可能な限り副作用を低減させられるような放射線治療方法を計画します。治療計画のあと、看護師による治療オリエンテーションが行われます。

3.治療開始

治療計画の数日後に治療を開始します。原則として月曜日から金曜日の週5回(祝日は除く)治療を行います。外来通院治療の場合は、原則的に予約制となっております。治療は、照射部位確認のための照合作業を行い、必要に応じて微調整を行うため、30分前後の時間がかかります。原則週に1回、担当医の診察があり、副作用の確認や病状の確認を行います。診察日以外は、問診票を記入していただき、看護師が体調の確認を行います。

  • 4.治療中について

    治療効果を保つためには、なるべく予定されたスケジュール通りに治療にいらしていただくことをお勧めしております。しかしながら、副作用の状況等によっては、担当医の判断により治療が一時中断されることがあります。また、やむを得ない事情がある場合などはご相談ください。

    乳房温存手術後の放射線治療について、欧米の研究では乳房温存手術後10年での乳房内の再発は、放射線治療を行った場合約8%であるのに対し、行わなかった場合約25%に達することが知られています。

  • 乳房温存手術後の放射線治療

専門外来のご案内

  • パーキンソン病外来
  • パーキンソン病外来

    神経内科学分野の権威である水野医師によるパーキンソン病に特化した専門外来です。

    みずの よしくに
    神経内科(非常勤) 水野 美邦 先生

    専門:神経内科学
    昭和40年東大医学部卒、順天堂大学名誉教授、脳神経内科前教授

専門外来の特長

パーキンソン病外来は、パーキンソン病およびその関連疾患の方の外来です。パーキンソン病の他、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、血管障害性パーキンソニズム、本態性振戦などが含まれます。症状からいうと、手足のふるえ、歩行障害、動作緩慢、手足の筋肉が固い、よく転ぶ、失神をして転ぶ、手足が勝手に動くなどがあります。こうした症状にお悩みの方は気軽にお声をおかけください。

主な検査

主な検査は、脳のMRIと心臓のMIBGという検査です。
脳のMRIは特徴的な異常を見つけ出すために行います。脳梗塞がないか、被殻、頭頂葉などに萎縮がないかなどを調べます。 心臓のMIBGという検査は静脈に少量のアイソトープを打って、それが心臓にどのくらい取り込まれるかをみる検査です。パーキンソン病では取り込みが悪く、その他の病気では正常です。パーキンソン病では脳のMRIには異常はでませんので、他の病気との鑑別に行います。

主な治療

パーキンソン病の治療が主になります。最も効くのはL‐ドーパ製剤で、患者さんに最も適した飲み方を工夫します。その他にもいろいろな治療薬があり、患者さんの特徴をみながら、どれを使うかを検討します。
他の病気でもL‐ドーパを少し多めに使えば少し効くことがあります。多系統萎縮症では自律神経症状がでますので、起立性低血圧の治療や、夜間頻尿、便秘などの治療をします。血管障害性パーキンソニズムの場合は、脳梗塞が進まないよう血液をサラサラにする薬を使います。

診察日

◆火曜日 14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。
診察日

講座・イベントのご案内

◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)

4月11日(水) 放射線治療について
~知って納得、怖くない~
放射線治療科 医長 西川 敦 先生
4月20日(金) 耳鳴と難聴のメカニズムと対策
補聴器視聴もできます
耳鼻咽喉科 科長 伊藤 まり 先生
4月25日(水) 侮るなかれ、脂肪肝
~お酒だけが原因ではありません~
消化器内科 科長 袴田 拓 先生

◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30

4月19日(木) 手足のしびれ・腰痛と脊椎疾患
新しい治療法としての脊椎内視鏡のご紹介~
低侵襲脊髄手術センター長
水野 順一 先生
調布クレストンホテル
クレストンルーム(定員120名)
4月24日(火) 忍び寄る心臓病 〜隠れ心不全〜 循環器内科
岩宮 賢 先生
稲城市立ⅰプラザホール
(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2018年2月の救急車受け入れ台数は560台でした。