脳神経外科・脳血管内治療科・脊椎脊髄末梢神経外科・小児脳神経外科

脳神経外科 開頭手術手順

開頭手術の手順(脳腫瘍の場合)

開頭術は全身麻酔下に行います。

頭部の固定
手術顕微鏡を用いた手術の際にはミリ単位の手技となるため術中に頭部が動かないようにする必要があります。
そのため 頭部を3点ピン固定器にて固定して行います。
手術を開始する前に様々な術中モニタリングのセッティングを行います。
手術の内容に合わせて 顔面神経モニター聴性脳幹反応(ABR)誘発電位等の生理学的モニターナビゲーションシステム蛍光色素等を駆使して手術の安全性を高め、手術合併症のリスクを最小限にできるよう努めております。
皮膚の切開
頭部の皮膚切開の部位、大きさは選択する手術アプローチによって、また腫瘍の部位、大きさ、拡がり等によって異なります。
小さいものでは耳の後ろに5cm程度、大きいものでは左右の耳の間を結ぶような切開もあります。
基本的に 頭髪は最小限の部分剃毛(皮膚切開に沿って幅10mmほど剃ります)とし、緊急手術以外は従来行われていたような丸刈りにすることはありません。
そのため手術を終え退院されても社会復帰に支障を来たすことはありません。
腫瘍の部位、大きさ、手術手技の内容によっては「頚部における内頚動脈の露出確保」や「腹部からの脂肪採取」が必要な場合があり、頭部以外にも頚部や腹部に術創を設けることがあります。

皮膚の切開の代表的な画像解説

頭蓋骨の取り外し
皮膚切開の後、頭蓋骨にドリルを用いて数カ所穴をあけ、その穴と穴の間をさらにドリルで削り頭蓋骨の一部を取り外します。
頭蓋骨に開ける穴(骨窓)の大きさはそれぞれの手術に応じて異なります。
頭蓋骨の下には硬膜という真っ白でやや圧みのある白い膜があり、これが頭蓋骨を裏打ちしています。
頭蓋骨内部を「部屋」に例えると硬膜は「壁紙」のようなものです。
つまり頭蓋骨に穴をあけて脳に達するにはこの硬膜を切開する必要があります。
腫瘍の摘出

必要に応じて硬膜を切開し翻転すると脳が露出されます。
脳の表面に近い場所に脳腫瘍が存在していればこの時点で腫瘍が見えることになります。
さらに深い部分に腫瘍が存在しているのであれば、脳の隙間を少しずつ開きながら奥に入っていく必要があります。
脳室内に腫瘍がある際には一部脳に切開を加える必要があります。
また脳組織から発生し正常脳との境界がはっきりしないタイプの腫瘍では、正常脳組織を傷つけない範囲で腫瘍部分のみを切除する必要があります。

脳組織から発生したものでない腫瘍(ここでは髄膜腫という良性腫瘍を例に挙げます)であっても、よほど浅いところに生じた小さいものでない限り、一塊にポロッと取り出すことは不可能です。
多くの場合腫瘍の内側を少しずつかじるように取り出し、適宜止血を行い、またかじるという動作の繰り返しを行い腫瘍の内容量を減らしていきます。
メロンやスイカをスプーンでくりぬいていくようなイメージですが実際には一回でかじれる量はそれほど多くありません。
そして十分に内側の腫瘍を減らすことができたら(内減圧)、つぎに腫瘍の外側(被膜)を周囲の脳や血管、神経等からゆっくりと剥がしていきます。
まさに薄皮をはがすといった動作で最も気をつけなければいけない部分です。
後に述べますがこのときのくっつき具合が強いほど難易度は高くなりますし合併症、後遺症が出る可能性が高くなります。
うまく腫瘍が剥がれればすべて取り出す(摘出)ことができますが、剥がれず周囲の神経や血管を傷つけそうな場合にはあえて腫瘍を残さなければなりません。
縫合

無事に目的が達成されたら(腫瘍の全摘出をした、もしくは部分摘出ではあるが脳の圧迫は解除された等)止血を確認して硬膜をきちんと元通りに縫合します。
硬膜の下には脳とともに脳脊髄液(髄液)がありますので水漏れしないように切開した硬膜を縫合する必要があります。
縫合する際、腹部から腹直筋の筋膜を採取したり ゴアテックスという人工の膜を用いたりすることがあります。
そしてその上から フィブリン糊(生体から抽出されたのり製剤)で補修を行います。

手術のために一旦外した頭蓋骨の骨片をもとに戻し固定するため、また切削した部位の頭蓋骨欠損を補う目的にてチタン性のプレートとネジを用いて頭蓋骨を元の部分に固定します(整容的修復)。
他に整復材料として リン酸カルシウム製剤を用いることもあります。
切開した皮膚は 医療用ホッチキスやナイロン製の糸で縫合します。