2020年10月掲載
不妊治療に必要な栄養素
不妊症看護認定看護師 米田 泉
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今回は妊娠と栄養についてお話ししたいと思います。
妊娠を目指している方にとって、新型コロナウイルスの蔓延で不妊治療の自粛期間があったり、様々な心配事などで、今まで以上にストレスがかかっていることと思います。不妊治療はとにかくストレスがかかります。不妊治療に伴う通院と仕事との調整、パートナーや友人との関係、悩みを相談できる人がまわりにいない、などのことによりストレスは増します。ストレスを多く抱えると、ストレスに対抗するホルモンを作り出すビタミンCや、神経の興奮を抑えるカルシウムが消費されてしまいます。私たちの体は毎日の食事の積み重ねでできています。まずはバランスの整った食事で健康的な体を作り、赤ちゃんを迎える準備をすることは大切です。
しかし、そのことが負担となり必ず自炊した食事でなければいけないと抱え込むことはストレスに繋がります。自炊できない時にはコンビニや外食でも妊活向きな食事を選択することでストレスとなることを避けましょう。
妊活中におさえたい栄養素とおすすめ食材
- たんぱく質・・・妊活中から十分に摂っておきたい栄養素の一つ。たんぱく質は栄養素と結びつき、体のあちこちに運ぶ役割があります。
【たんぱく質を多く含む食品】肉・魚・大豆製品・卵 - 葉酸・・・赤ちゃんの脳の発育を助けたり、神経を作る葉酸。赤ちゃんの脳を作る為に必須となる栄養素ですが、赤ちゃんの脳は妊娠6週目までにはほぼ出来上がっていると言われています。妊娠を考え始めたら積極的に葉酸の摂取を心がけましょう。
【葉酸を多く含む食品】ブロッコリー・ほうれん草・枝豆・アボカドなど - 鉄・・・鉄は酸素を運ぶと言われる赤血球を作ります。女性に不足しがちな栄養素のひとつです。妊娠中は赤血球が赤ちゃんに酸素を届ける為に、いつも以上に鉄が必要になります。
【鉄を多く含む食品】ほうれん草、小松菜・ひじき・がんもどき・大豆・牛赤身肉・レバー・かつお・あさり - ビタミンE・・・アンチエイジング効果のあるビタミンE。ビタミンEには抗酸化作用があり、卵子の老化防止にも役立ちます。血流を良くしたり、ホルモンを調節したりと、冷えの改善も期待できます。
【ビタミンEを多く含む食品】かぼちゃ・ナッツ類・アボカド - 亜鉛・・・細胞分裂を促す栄養素の亜鉛。男性にも積極的に摂って欲しい栄養素です。
【亜鉛を多く含む食品】牡蠣・牛赤身肉・うなぎ・レバー・卵黄・高野豆腐・まいたけ
働きながら妊活する女性には毎日の食事を作るのは大変なことです。自炊できない時の対処法としてコンビニや外食で済ませる時の選び方を紹介します。
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コンビニ食は炭水化物が多いのが問題点。たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。選ぶポイントは、おにぎりや麺類にプラスしてサラダなど野菜を選ぶこと。スープをプラスするのもいいでしょう。
たんぱく質はサバ缶やサラダチキンなどをアレンジすると調理の手間が省けます。サバ缶なら野菜を加えて卵とじにしたり、トマト缶を入れて煮込んでもいいでしょう。サラダチキンなら、斜めに薄く切って卵にくぐらせてフライパンで焼き、ピカタにしたり、千切りきゅうりやレタス、トマトの上に裂いて盛り、みそゴマダレをかけてバンバンジーにしたり。最近のコンビニ食では1/2日分の野菜が摂れる〇〇なんて商品を選ぶのも良い選択だと思います。
外食での問題点は揚げ物が多く、野菜が少ないこと。外食の際には和食定食を選び、主菜は魚料理を選びましょう。魚に含まれる脂にはDHA、EHAが多く含まれ、脳を作る栄養素とも呼ばれています。
不妊治療ではがんばり過ぎないことも大切なことです。治療をしていること自体がもう十分に頑張っていることなのです。当院では不妊症看護認定看護師による不妊治療に関する相談、カウンセリングを随時受け付けています。ご夫婦での参加も可能です。
出来るだけリラックスできる時間を作るように心がけ、ご主人に相談しながら共に前向きに過ごされることを願っています。