2019年11月掲載

ドライスキンについて

皮膚・排泄ケア認定看護師 吉岡 百合子

  • ドライスキンについて
  • これからの季節は特に皮膚の乾燥が気になります。皆さんはどのようなケアをされているでしょうか? 今回は、皮膚の乾燥のメカニズムと、ドライスキンを予防するためのケアについてご紹介いたします。

ドライスキンとは

皮膚の表面にある角質層と呼ばれる部分の水分量が低下して、肌が乾燥した状態をいいます。加齢のほか、空気の乾燥や寒冷、摩擦などの刺激、紫外線の影響、洗いすぎなど、様々な要因により起こります。

ドライスキンでは、皮膚本来のバリア機能が低下して、皮膚のつっぱり感やカサつき、粉吹き、かゆみなどの症状がみられます。
男性では50歳ごろから、女性では40歳ごろからホルモン分泌の影響で皮脂の分泌量が減り、皮膚が乾燥しやすくなるといわれています。

ドライスキンを引き起こすメカニズム

健康な皮膚の角質層では、10~20%の水分を含んでいるといわれています。これが10%を切ると、皮膚がカサカサした状態になります。

この水分量を保つために角質層では、肌の潤いに重要な役割を果たす「天然保湿因子(NMF)」(アミノ酸や尿素など)、セラミドなどの「細胞間脂質」が存在します。また、皮膚の表面に分泌される皮脂などで構成される「皮脂膜」で皮膚を覆うことにより皮膚を乾燥から防ぐはたらきをしています。

空気の乾燥や寒冷、衣類による摩擦などの刺激、紫外線により皮膚へダメージが加わることで、皮膚表面の乾燥が進みます。

ドライスキンを引き起こすメカニズム

皮膚の洗いすぎやこすりすぎ、熱いお湯での入浴や石鹸の使いすぎ、不規則な生活や心身のストレスなどでも、皮膚は乾燥しやすくなります。

また、子どもは皮脂の分泌が少なく、女性は30歳代後半から皮脂の分泌が減少し、乾燥しがちになります。高齢者も皮脂や発汗量が減少し、皮膚も薄くなるため乾燥しやすいといえます。

予防のためのスキンケア

日ごろからの、適切なスキンケアが大切です。基本的なスキンケアでは、以下の3つを意識してみましょう。

①洗う:
皮膚についた汚れや化粧などをしっかりと洗い流す
②補う:
皮膚に不足している水分を補う
③守る:
空気の乾燥や紫外線などの外部刺激から皮膚を守る

①洗う

  • ドライスキンを引き起こすメカニズム
  • よく泡立てた石鹸などの洗浄料で、やさしく洗いましょう。ただし、洗いすぎは皮膚の表面を守る皮脂を過剰に除去してしまうため、時間をかけすぎずに素早く洗いましょう。

    洗顔料や石鹸などの洗浄料は自分の肌に合った低刺激性のものがおすすめです。入浴剤を使用する場合にも、刺激の少ないタイプや保湿タイプを選びましょう。

    入浴時のお湯(湯船、シャワー)の温度を、少しぬるめにしてみましょう。


②補う

  • ドライスキンを引き起こすメカニズム
  • 化粧水や保湿クリーム、保湿剤は自分の肌に合うものを選びましょう。

    十分な量を正しく使いましょう。

    入浴や手洗いの後は、こまめに保湿剤をつけましょう。


③守る

  • ドライスキンを引き起こすメカニズム
  • 室内の乾燥を防ぐため、加湿器などを活用しましょう。

    外出時には季節に限らずサンスクリーン(日焼け止め)を使用して、紫外線のダメージから皮膚を守ることも大切です。

    入浴や手洗いの後は、こまめに保湿剤をつけましょう。


これらの日常的なケアで改善がみられない場合や、乾燥やかゆみが強い場合には医療機関(皮膚科)を受診し、適切な指導や治療を受けるようにしましょう。