2019年4月掲載

がん化学療法について

がん化学療法看護認定看護師 有安 晴美

化学療法(がん薬物療法)とは?

  • 治療のスケジュールと進め方
  • 抗がん剤、分子標的薬、ホルモン製剤、免疫作用薬などを用いた治療の総称をいいます。注射や点滴、内服などで全身に行き渡らせることでがん細胞の分裂、増殖を抑えることにより効果を発揮する全身的な治療です。血液中に入った薬剤は、全身をめぐって体内のがん細胞を攻撃します。これにより、リンパ腫の病変がある部分だけでなく、検査ではわからなかったような小さな病変に対しても効果が期待できます。

手術前化学療法、手術後化学療法、化学放射線療法などの化学療法は局所治療(手術や放射線など)と併用することで治療効果を高めます。がんの種類、進行の度合いにもよりますが、化学療法の治療目的は、がんを治癒させるため、がんが転移・再発するのを防ぐため、がんの成長を遅らせるため、体のほかの部分へと転移しているかもしれないがん細胞を殺すため、がんによって起こっている症状を和らげるために行います。

治療のスケジュールと進め方
(どのくらいのペースで治療をするのか)

  • 治療のスケジュールと進め方
  • 化学療法では、最も効果的と考えられる薬の組み合わせとスケジュールがいくつか決まっています。これを「レジメン(治療計画)」と言います。がん薬物療法におけるレジメンは、治療の安全性と最大限の治療効果を臨床試験で検証し、そのデータをもとに作成されています。

    注射や点滴によるレジメンでは、治療する日(投与日)と、治療をしない日(休薬日)を組み合わせた周期があります。この周期は1コース、または1サイクルなどと呼ばれます。

化学療法では、何コースか繰り返して行われるのが一般的です。また、投与間隔も連日投与するものから、毎週、隔週、3週間ごとなどスケジュールも様々です。なお、治療の開始1コースは入院して行うことが多いですが、その後は外来にて通院治療となります。

患者さんへのメッセージ

日本人は一生のうちに2人に1人は何らかのがんにかかる時代になっています。がんは、すべての人にとって身近な病気です。がんは食生活や運動不足の解消、禁煙などで予防することができる病気です。しかし、心掛けていてもがんにならないようにすることはできません。健康診断などの検診で早期に発見すればするほど、治療効果は高いです。ちょっとした体調不良でも受診し、確認することが重要になります。

  • 治療のスケジュールと進め方
  • がんと診断され、治療の開始となると、今までの仕事(学校)や生活、治療のことなど、たくさんの不安があると思います。治療を受けても自分らしく生活できるよう、一緒に考えて、よりよい生活が送れるようサポートしていきたいと考えています。

化学療法の治療には副作用がつきものです。当院ではレジメン(治療計画)にあわせた、副作用対策を行っています。最小限の副作用で、今までの生活が継続できるよう支えていきます。院内には各種のチームサポーターがおりますので、痛み、薬、心の辛さ、食事、生活やお金のことなど、ひとりで我慢をすることなく、ぜひご相談ください。