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2018年2月号

花粉症の舌下免疫療法

耳鼻咽喉科 松本伸晴

花粉症の治療

スギ花粉症の治療法には薬物治療、手術治療、アレルゲン免疫療法があります。今注目されている治療法としてアレルゲン免疫療法があります。これまでスギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法は、皮下に注射する『皮下免疫療法』だけでしたが、最近ではアレルゲン免疫療法の研究が進み、舌の下に治療薬を滴下する『舌下免疫療法』の薬が登場しました。

アレルゲン免疫療法について

アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法です。これによりアレルギー症状を治したり、長期にわたって症状をおさえたりする可能性があります。症状が完全におさえられない場合でも症状を和らげ、薬の使用量を減らすことが期待できます。

原因となるアレルゲンを用いて行う治療法のため、原因となるアレルゲンを確定する確定診断が重要です。アレルゲンの特定のために一般的には血液検査や皮下テスト法が用いられています。

アレルゲンを投与することから、局所や全身のアレルギー反応がおこるおそれが有り、まれに重篤な症状が発現することがあります。治療は長期間(3~5年程度)かかります。また、すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。

皮下免疫療法と舌下免疫療法

皮下免疫療法は、皮下に注射する治療法で、病院内で行われます。注射であるため痛みを伴い、さらに治療のはじめは徐々に増量するため頻回に通院が必要となります。

一方、舌下免疫療法は舌下に治療薬を投与するため、皮下免疫療法のような痛みがなく、自宅で服用できます。しかし、服用量や服用方法、副作用に対する対応など、皮下免疫療法と比べてより治療に対する患者さんの理解が必要な治療法です。

現在スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉症と診断された12歳以上の患者さんが治療を受けることができます。他にダニのアレルゲンに対する舌下免疫療法も行われています。ヒノキや他の花粉についてはまだ舌下免疫療法のお薬は出ていません。

治療開始のタイミングについて

治療を安全に開始するためにスギ花粉の飛散時期(1月から5月)には舌下免疫療法を開始できません。ダニの場合もスギ花粉症を合併していることが多く、スギ花粉の飛散時期の治療開始はおすすめではありません。またどちらの治療も併用できますが、開始時期はずらさなければなりません。

舌下免疫療法をご希望の方の治療を受ける前の心構え

  • 1. スギ花粉が飛散していない時期も含め、長期間の治療を受ける必要がある。
  • 2. 治療薬の服用(舌の下に2分間保持)を毎日継続しなければならない。
  • 3. 少なくとも1〜2ヵ月に1度受診する。
  • 4. すべての患者さんに効果を示すわけではない。
  • 5. 効果があって終了した場合でも、その後効果が弱くなる可能性がある。
  • 6. アナフィラキシーなどの副作用がおこるおそれがある。