2019年8月号
痛みについて
痛みは体が危険に侵されているサインとして、手脚の皮膚や筋肉・関節・臓器にある受容器が「このままでは体が危ない!」と感じたときに感覚神経を通じて脳へ信号を送り痛みとして体に伝えます。痛みの把握は治療の手助けとなるため我々リハビリスタッフは患者さんに「どのように痛むのですか?」と尋ねることがあります。
痛みの有無を尋ねられたときに上手く伝えることができず悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。今回は痛みについてお話したいと思います。
急性疼痛と慢性疼痛
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怪我や病気など原因がはっきりと分かる痛みを急性疼痛といいます。急性疼痛は原因となる怪我や病気が治れば自然と痛みは消失します。
怪我や病気が治っても継続する痛みを慢性疼痛といいます。慢性疼痛で多いのは腰痛(58.6%)、肩の痛み(38.7%)、脚(37.9%)といわれています。
痛みを医療従事者に伝えるコツ
ポイントになるのは、いつ、どこ、どんな痛み、強さです。
「いつ」 | 安静にしていても痛むのか、動くと痛むのかです。 さらに、動き出しで痛む、ずっと動いていると痛む、特定の姿勢の時だけ痛むなど細分化されていきます。 |
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「どこ」 | 体の部位 頭、胸やお腹、腕や脚のことを示します。うまく言葉でいい表せないときは痛い場所に触れて「ココです」と教えていただけると助かります。 |
「どんな痛み」 | 刺すようなズキズキとした鋭い痛み、焼けるような痛み、重苦しい痛み、ギューッと締め付けるような痛み、ドクドクとした拍動性の痛み、ビリビリと電気が流れるような痛みなどといった痛みの性質です。 |
「強さ」 | 痛みの強さです。全く痛くない、少し痛い、かなり痛い、とても痛い等どれくらい痛みで苦痛を感じているのかを教えてください。 |
痛みの感じ方は人それぞれで、痛みによって対処法が変わってきます。上手に痛みを伝え、リハビリで痛みのない生活を手に入れましょう!
参考文献
1)標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 生理学:株式会社医学書院、2011
2)服部政治:日本における慢性疼痛保有率、日薬理誌、2006;217、176-180
3)標準整形外科学:株式会社医学書院、2011